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(08/7/13作成)
(10/10/13追記)
(12/2/1追記)
(12/4/23追記)
(14/3/23追記)

[ヨハネ受難曲の「稿」と「版」]


■初録音
 「マタイ受難曲」の場合は、SP時代、1939年のメンゲルベルクの録音があまりにも有名ですが、「ヨハネ」の初録音はLPになってからの1954年と、割と最近のことになります。オリジナルは「東」のDeutsche Schallplattenと「西」のDeutsche Grammophon Gesellschaftとの共同制作によるものでした。楽譜はもちろん旧バッハ全集ですが、「古楽器」であるヴィオラ・ダモーレやヴィオラ・ダ・ガンバはそれぞれヴァイオリンとチェロで代用されています。まだそういう時代だったのですね。
Günter Ramin/
Thomanerchor Leipzig
Gewandhausorchester Leipzig
MEMBRAN/223240-311
(Recorded in 1954)

■第1稿
 現時点では、Veldhoven盤とEgarr盤が「ちゃんとした」第1稿の録音です。
真正の第1稿
Jos van Veldhoven/
The Netherlands Bach Society
CHANNEL/CCS SA 22005
(Recorded in 2004)

*Pieter Dirksenという人が復元した楽譜を用いています。CARUS版の校訂者とは異なり、初演の時にはフルート奏者がいなかったというのがDirksenの見解ですので、フルートのパートはありません。したがって、第9曲のアリアのオブリガートなどはヴァイオリンで演奏されています。

Richard Egarr/
Academy of Ancient Music
AAM/AAM002
(Recorded in 2013)

*Richard Egarr自身が復元した楽譜を用いています。
Dirksenとは逆に、フルートは参加していたという立場をとっています。さらに、3番のコラールと38番のレシタティーヴォが、Dirksenの楽譜とは異なっています。

折衷的な第1稿
Monica Huggett/
Cappella Romana
Portland Baroque Orchestra
AVIE/AV 2236
(Recorded in 2011)

*「1724 version」と明記されていますが、単に楽器編成からフルートを除いただけで、楽譜は新バッハ全集を使用しています。

誤って表記されているもの
Sigiswald Kuijken/
La Pettite Bande
CHALLENGE/CC72545
(Recorded in 2011)

*ライナーでは「第1稿を使った」とありますが、実際は新バッハ全集。1987年に録音したDHM盤でも「1724年稿」と記載されていましたが、使っていたのは新バッハ全集。

■第2稿
 以前は、「付録」として第2稿で差し替えられた曲だけを収録したものがありましたが、最近になって全曲盤も登場しています。
真正の第2稿
Peter Neumann/
Kölner Kammerchor
Collegium Cartusianum
MDG/332 0983-2
(Recorded in 1999)

Philippe Herreweghe/
Collegium Vocale Gent
HM/HMC 901748.49
(Recorded in 2001)

樋口隆一/
明治学院バッハ・アカデミー合唱団・合奏団
MEIJI GAKUIN/BAMG-0007/8
(Recorded in 2004)

*演奏はちゃんとした第2稿ですが、ライナーでの解説(樋口)の第4稿に関する記述は誤りです。

Simon Carrington/
Yale Schola Cantorum
Yale Collegium Players
REZOUND/RZCD-5017-18
(Recorded in 2006)

折衷的な第2稿
Stephen Cleobury/
The Choir of King's College, Cambridge
The Brandenburg Consort
HOUSE OF CLASSICS/220277
(Recorded in 1996)

*BRILLIANTと同じ素材。CDとDVDが同梱されていて、CDでは新バッハ全集で演奏した後に、第2稿だけに含まれる5曲が演奏されています。ところが、「同じ音源」とされているDVDでは、タイトルに「1725 version」と表示、確かに第2稿の曲が演奏されていますが、2曲目から10曲目までは新バッハ全集を使用、指揮者のスコア(ベーレンライター版)を見ると、巻末の「付録」と本体を交互に開いている様子がよくわかります。

Nico van der Meel/
La Furia
Concerto d'Amsterdam
QUINTONE/Q 08001
(Recorded in 2007)

*表記は「1725 version」ですが、3曲目、9曲目などは1739年のバージョン。

Benoit Haller/
La Chapelle Rhenane
ZIG ZAG/ZZT 100301.2
(Recorded in 2008)

*いろいろな版から、寄せ集められています。

■第3稿
 もはや失われてしまったアリアやシンフォニアが含まれている稿ですので、楽譜の復元は困難を極めることでしょう。当然のことながら、この稿による録音はありません。しかし、近い将来には間違いなくマニアックな指揮者が録音するに違いありません。その時には真っ先にこのサイトでご紹介させていただきます。
■第4稿
 バッハが最後に演奏した形であるこの稿は、最近注目を集めています。録音としては4種類のものが登場しています。ただ、ビラー盤には「第4稿」という表記はどこにもありません。
Hermann Max/
Rheinische Kantorei
Das Kleine Konzert
CAPRICCIO/60 023-2
(Recorded in 1990)

鈴木雅明
Bach Collegium Japan
BIS/CD-921-22
(Recorded in 1998)

Georg Christoph Biller/
Thomanerchor Leipzig
Gewandhausorchester Leipzig
RONDEAU/ROP4024/25
(Recorded in 2007)

Konrad Junghänel/
Cantus Cölln
ACCENT/ACC 24251
(Recorded in 2011)

■シューマンによる改訂稿
 メンデルスゾーンが「マタイ」の蘇演を行ったように、シューマンも1851年にデュッセルドルフで「ヨハネ」をロマンティックに改訂して演奏しました。それを再現した録音が出ています。
Hermann Max/
Rheinische Kantorei
Das Kleine Konzert
CPO/777 091-2
(Recorded in 2006)

■それ以外の録音
 一般には新バッハ全集による折衷案が広く用いられています。古い録音では、それと殆ど変わらない旧バッハ全集でしょうか。さらに、稿以外にも、オリジナル楽器の使用や、それに伴う演奏様式の変化なども、最近の演奏の特徴です。合唱の人数をどのように解釈するかという点でも、さまざまな主張を込めた多くの実践がなされています。


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