聖ニコラウスとは
4世紀のミュラの司教であったとされる。ニコラとミカエルが混ざり、「ミコラ」と呼ばれることがある。東方正教会のみならず、西欧においても、数多い聖人の中でも別格の扱いを受ける。
古いロシアの格言では、「もし神が死んでしまっても、われわれにはまだミコラさまがいる」とまで言われている。
一番良く知られている彼についての「伝説」は、「売られてゆく3人の娘を救うために、彼女らの結婚の資金になる贈り物を投げ込んだ」、というものである。それ以外にも、子どもを救うなどの数多くの伝説が残っている。
彼の死亡した12月6日の聖ニコラウスの日には扉の前に贈り物を入れてもらう靴を置く風習がある。改めて言うまでもなく、クリスマスの「サンタ・クロース」の原型とされる聖人である。
構図の特徴は
彼の肖像性は、極めてはっきりしている。すなわち、短めの波うつ白髪と豊かな髭をもち、額の大きな老人である。表情は、両眉を上げ、大きな目を見開いている。
構図は、通常、真正面を向いて、正面を正視している。左手には聖書。右手で祝福のジェスチャーをしている。
服装は、司教服を着ており、十字架を縫い込んだ肩衣(オモフォリオン)をまとっている。
右上に挙げた聖ニコラウスのイコン(部分)は13世紀初頭にさかのぼるもので、伝承ではノブゴロドよりもたらされたとされている。複雑で厳粛な表情や、引き延ばされた顔面、ハローと呼応しあう円形の広い額など、思わず引き込まれる荘厳さを持ち合わせた別格の聖ニコラウス像である。
聖ニコラウスを描いた代表的なイコン