1. 四酸化三鉄と三酸化鉄、2.
三酸化鉄の結晶模型、3.
三酸化鉄の結晶模型の作り方 目次へ戻る 次のページへ
酸化鉄には、黒さび(Fe3O4)の他に酸素の割合がFe3O4より少し多いFe2O3(三酸化鉄)もあります。Fe2O3は赤い色をしていますが、あか赤い色は珍しかったので昔から顔料として使われました。日本ではベンガラといって神社の鳥居などに使われました。この2種類の酸化鉄は、どちらも鉄と酸素の化合物であるのに、Fe3O4は黒い色で、Fe2O3は赤い色です。また、Fe3O4には強い磁性があり、わずかですが電気伝導性がありますが、Fe2O3はその百万分の1くらいしか電気を通しません。
このようにFe3O4とFe2O3の性質が違うのは、鉄イオンの電荷が異なるからという説明で済ますことが多いのですが、Fe3O4の結晶構造を知ると、Fe2O3どのように違っているのか比較してみたくなります。東京でわかば科学クラブを主催している名倉弘さんからのようぼうもあって、Fe2O3の結晶模型も作りました。
三酸化鉄(Fe2O3〕は、鉄イオン(Fe3+)2個と、酸素イオン(O2-)3個の割合で結合しています。 酸 素イオンは、 図・4のように、少 し離れて3個が三角形を形づくって並んでいます。このよう に並ぶと、隣り合った3個づつの 酸素イオンの中心にくぼみができます。酸素イオン1個当たり2 箇所のくぼみ(A、B)ができますが、そのうち1カ所 に鉄イオンが入っています。 ただし、3個の酸素イオンに対して鉄イオンは2個しかないので、3ヶ所のくぼみのうち1ヶ所には鉄イオンがありません。 鉄イオンは上下の並 びで見ても斜めの並びで見ても2 個毎に空所があります。この鉄イオンの中心を結ぶと蜂の巣 のような六角形になり ます。 この上に酸素イオンの層が 図のように重なります。3段目の 酸素イオンの層は、1段目の真上 にきます。4段目は2段目の真上 です。 酸素イオンの層は2段で1まわりしますが、鉄イオンの層は3 段で1まわりするようにずれて重な ります。したがって、酸素イオンと鉄イオンの並び方が、1段目と同じになるのは7段目です。 Fe3+の周りには6個のO2-が、O2-のまわりには4個のFe3+が接しています。 |
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材 料:
鉄イオン(Fe3+)用・・・3.5cm球 18個
酸素イオン用 ・・・
5.0cm球 24個 (Fe3+18個に対してO2-は27個あるはずですが、ケースに入るのが24個です。)
プラ板(B-4版、厚さ0.5mm) 2枚
クリスタルボックス 1個
灰色と赤の水性塗料、木工ボンド
下図(三酸化鉄の結晶模型ー2億倍)
作り方:
1.発泡スチロール球を、鉄イオンは灰色に塗る(球のまま使う)。酸素イオン用
は 赤に塗ってから半分に切る。
2.プラ板を、下図ー2に合わせて切る。(3枚)
3.下図ー2(1段目)にプラ板をのせて、セロテープなどで止めてから,半分に切った発泡スチロール球(酸素イオン)を、下図に合わせて接着する。よく乾いてから、裏にも発泡スチロール球を接着
する。同様に、2段目、3段目(1段目と同じ)を作る。
4.図に合わせて、鉄イオンを酸素イオンの上に接着する。(3段目は図ー4に合わせる。)端にくる鉄イオンはつまようじを間にいれて補強 する。
5.下図に合わせて、1段目の上に2段目を重ねる。3段目は、酸素イオンが1段
目と同じ位置になるように重ねる。