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交通事故の基礎知識 3 人損編
私は交通事故・離婚・相続等感情的にこじれた案件の解決を得意としています。私は嘗て数社の損害保険会社の顧問をしていました。損保の実情・手の内には比較的明るいです。そこで,それまでの損保の顧問をした経験から,弁護士をつけると有利な事柄や,皆さんが知らなかった事項について説明してみます。 交通事故には健康保険が使えないと誤解している方がとても多いです。しかし交通事故によるケガも健康保険上の「傷病」ですから,健康保険を使って治療が出来ます。ところが病院は「保険扱いには出来ません。自由診療扱いにして下さい」と言ってきて,患者さんの保険扱い要求を嫌がります。しかしそれは間違いです。病院は自由診療のほうが,保険扱いの点数の制約がなく,保険診療より治療費を多額に取れるからそう言うだけです。本来交通事故の治療について保険扱いにできない理由は全くありません。自由診療による請求額が高すぎると保険会社からマークされている病院もあるほどです。
一般的に言って,自由診療は患者さんにとってマイナスです。なぜなら自賠責保険の治療費等の損害賠償額の限度は120万円ですから,自由診療だと,あっという間に120万円を越えてしまうからです。特に過失相殺がある場合は問題です。被害者に過失があるとき,その部分は自分で負担しなければなりません。ですから負担額は健康保険を使って少なめにしておいた方が得なのです。また健康保険を使っていれば,自賠責の限度額120万円を超えた場合でも,7割は健康保険が負担してくれます。もちろん相手方が任意保険に入っていれば自由診療でも治療費は相手方の保険で支払われるわけですが,相手方保険会社は治療費がかさむと損害賠償額も膨らんでくるので,治療を打ち切るよう要請してくることがあります。そうなると,治療の継続が困難になる不利益も生じてくるのです。
例外的に自由診療でもよい場合は,被害者の過失がゼロの場合です。この場合は,保険診療だと3割の自己負担が課されますが,保険を使わなければ100%加害者の負担となるからです。ただこの場合でも,保険会社は損害賠償額が過大なることを嫌がりますから治療費が過大になりすぎないよう注意することが必要です。
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