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問題世界の要素間の関係を重視し、その構造を系として全体的に捉えていく中から、個と全体、そしてホロン的な視点を持ち、さまざまな同形性を見出していく必要がある。

■「システム」とは何か

 「システム」とは、相互に作用する中数の要素から構成される問題世界の「モデル」である。中数の要素からなる世界とは、統計的な手法でしかアプローチできない大きな数の要素の世界と、(微分方程式などの)機械論的な手法でアプローチできる小さな数の要素からなる世界の間に広がる問題世界である。
 そこには階層的秩序をはじめ、オーガニゼーションや目的性など、要素同士の相互関係の「構造」に基づく、オーガナイズされた複雑性がみられる。


■「システム」の特性

 「システム」問題には、「全体は部分の総和以上のものである」いう非線形の「構造」を成す、「創発」と呼ばれる特性がみられる。したがって「システム」問題は、問題世界をばらばらの要素に分解することができない。そこに要素還元主義の「世界観」は成り立たないのである。


■似たものを探し出せ(「同形性」の抽出)

 現実世界のいたるところに「システム」はみられ、それらにはいくつかのグループの「モデル」の根源的な共通の「構造」である「同形性」がみられる。「同形性」は、システム問題をシステムとして解く上での、カギとなるものであり、同様の問題に対する私たちの「方法」の枠組み(テンプレート鋳型)となるものである。それを見出すための三つの視点、

  ○相似
  ○相同
  ○説明

が重要である。
 「一般システム理論」は、システム問題世界の同形性を抽出し、体系化するための「方法論の方法論」である。


■バランス感覚

 未解決の問題を解くために、「要素還元主義」が「システム思考」に取って代わられるわけではない。問題を解く上で重要なのは、どちらか一方ではないのだ。

(1)全体性の重視
 あるものの共通部分(同形性)を抽出するためには、全体をみなければならない。
(2)個々(部分)の重視
  あるものの共通部分(同形性)を抽出するということは、個々のものの差異を認めるということである。
(3)多方向の視点
  問題世界は、階層構造(ハイアラーキ)をなし、ある部分として記述・表現されうる構造は、その下層の全体として記述・表現される。

という三つの「ヤヌス=ホロン的な世界観」の、「バランス感覚」を保つことが重要なのだ。


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