屋久島旅行記その2

屋久島旅行記メニュー 1.屋久島旅行記その1(イントロ&豆知識)
2.その2(志戸子ガジュマル園&白谷雲水峡)
3.その3(屋久杉パーク)
4.その4(フルーツガーデン・鹿児島市内)

さて、レンタカーを用意したら、まずはおじさんの教えてくれたホテルでご飯を食べようと車を北に走らすが、ホテルがどこにあるのか分からないまま、気がつくとそこは「今日行く予定の場所その1」の「志戸子ガジュマル園」だった……。

志戸子ガジュマル園

ガジュマルの木
ガジュマルの木。これで一本の木だ。
ガジュマルというのは「屋久島の豆知識」にも書いたけれど、気根というのがぐにぐに出るので有名な木だ。分類としてはイチジクの仲間になる。

気根というのは空気中に出ている根っこで、ガジュマルの場合はそれが枝だからぐにぐにと地面に向かって伸び、それが地面に入って根っこになると、今度はそこから幹が伸びてきて、幹から枝が生え、更にその枝から気根が伸びて地面に付き、という具合にいくらでも広がっていく木なのだ。ガジュマルは世界的には「バニヤン」という名前で知られているが、北限はこの屋久島。東南アジアには多くのバニアンが生えているのだが、インドには1本のバニアンが直径10m、なんていうのまであり、このバニアンはインドの商業カーストの1つの名前にまでなっている。(長距離貿易をする人たちのカースト名。「バニヤン」の人たちはバニヤンの木の中に祠を作り、相互扶助の場としていた)

それにしても、本当に見れば見るほど面白い。木に張り付いている木があって、親に張り付いている子供のようだ。気持ち悪いほど細い気根がぐにぐにと伸びている木もあるし、何だか魔法使いのような木もある。我々は勝手に「あの木は魔法使いの木」とか「あの木は○○の木」とか名前を付けながら、にぎやかに見学していた。あぁオフシーズンで良かった……。


白谷雲水峡
気根杉。張り付いている細い
木のような物が、気根。
気根杉。とにかくでかい
なんとかお昼を食べてから、白谷雲水峡へ。これがまぁ、すごい山道をえっちらおっちら登っていって、これでもかこれでもかと走らないと全然着かない。しかも道は急カーブを何度も描き、山側は溝、谷川は本当の谷、どう見ても1車線しか無い細い道、という悪条件である。
「オフシーズンで良かったよね……」
「交差できる場所、絶対ないよ……」
などと、泣き言を言いながら走る。

下の方から山の上に見える道路を指さして、「あの道路の辺りにあったりしてね」「あんな雲の上にあるはず無いよ」などと話していると、そんな道路よりもっと雲の上まで走らされたりして、この頃から私達は「なんだか考えていた屋久島と違う……」と認識を新たにし始めた……。

やっと「白谷雲水峡」に到着すると、すごい寒い!!!! レンタカーのおじさんが「雲水峡の辺りは標高が高いから、ここより7度は温度が低いから」と言っていたが、なるほど本当だ。吐く息は白いし帽子をしていないと頭が痛くなる。

さて、雲水峡の入り口のおじさんに、「ここは木道などは一切無く、森の雰囲気を見るには最適の場所だけど、沢に入るともう戻って来れないから絶対に入らないで下さいね。あと、凍ってる所もあるので気をつけて歩いてくださいね。あんまり道標もないから、ピンクのリボンを目安に歩いてくるんだよ」と注意される。

そして最も大切は注意としては、「4時には下山しないと、暗くて足元見えなくなりますからね」

この時点でもう2時だったので、地図を見ながらどうするか悩む。良さそうな杉は一応見ておきたいが、全部回るとすごい距離なのだ。おじさんによれば「見ておくと良いような立派な杉は屋久杉ランドの方にあるから。ここは森の感じを楽しむための場所だよ。」とのこと。

ルートを決めたら、あとはどかどか歩くだけだ。
最初のうちはそんなに大変な森ではないので、「ピンクのリボン」とか考えるまでもない。ちなみにピンクのリボンというのは下の写真のピンクのまるで囲まれた辺りに見えるが、これは枝などに括ってある。だが後の方になると、本当にこのピンクのリボンが命綱になるのだ。

白谷雲水峡。○の中がピンクのリボン。

「どこ〜〜?ピンクのリボン、見える〜〜?」
「あれだよ、あれ!!」
と叫びながら歩くことになる羽目に……。

さて、この写真を見ていただけるとお分かりかと思うが、この写真のモデルさんはマキシスカートを履いている。がしかし、この雲水峡という所は、スカートで来るような場所ではなかったのだ。よく見ていただくと、彼女がスカートをたくし上げているのが分かると思う。

だが実はこのモデルさんはちゃんと足の方はトレッキングシューズを履いていて、写真を撮っている方は靴が普通のドタ靴だったのだ!! もう、二人とも屋久島を舐めていることこの上ない……。「豆知識」にも書いたが、屋久島は苔だらけなのだ。とにかく苔だらけな上に湿っているので、滑る滑る。靴はトレッキングシューズでないとダメだし、道の凹凸はこの写真なんかまだまだ甘い方なので、スカートを履いたが最後裾はたくしっぱなしでないと歩けない。

やはり下調べは大切だと思った……。

さて、その苔の話である。この下の写真を見て欲しい。左下のふわふわしているのが苔だ。指を入れると楽に第一関節まで潜り込むことができる。ちょっとすごい……。このふわふわが屋久杉の洋服なのだから、屋久島は大変だ。

それにしても、「森の雰囲気を見るには最適な場所」というだけあって、とにかくすごい。本当に山なのだ、山。森なのだ、森。
左下のふわふわが苔。



歩いている道は幅が40pくらいしかなかったり、その40pをもし踏み外したら、すぐ下はどこまでも崖だったりするのだ。杉の木の根本をガシガシ登っていくと、周り中「これはどこにも道がないのでは……」と思うような小高い山になっていて、よく目を凝らすと「これはどう考えたって道じゃないだろう……」というような道があったりするのだ。

いやぁ、「人間が手を入れないようにしている森」のというのはこういうことなんですね……。

(しかしおたくな私はこの素晴らしい自然を前にして、「三国志の武将達はこんなところで戦ったのだろうか……」「蜀は山険阻にして天然の要塞だったというから、これよりもっとすごかったのだろうか……」「では横からの一撃を食らったりするとこの様な崖をズザザザザと滑り落ちていき、「殿!! 末将(と書いてそれがしと読む)にお掴まり下さい!!!」「うぅむ、大事ないわ!!!」などという展開になったりしたのだろうか……」と煩悩を全開していたのでした……。


雲水峡を見終わって、宿に行く。ロビーでチェックインしようとすると、お兄さんが屋久島のことについて色々教えてくれる。「屋久島の豆知識」はこの時教えてもらったのだ。

お夕飯はメチャメチャボリュームがあった。屋久島の名物は「トビウオ」「鯖」「ポンカン」「タンカン」で、トビウオの刺身、鯖の刺身、鹿児島名物「豚骨(豚骨が箸ではがれるほど柔らかく煮込んだ料理。男料理らしい)」などの他に天ぷらとか小鉢とか、もう食べきれないだろう!!というくらい料理が出てきて、結局夜食べようと思っていたおやつは東京までお持ち帰りとなった……。


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