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→2001.11. 9 ザクセン=アンハルト州立劇場 サロメ
→2002. 2. 6-13 ベルリン州立歌劇場 リング四部作
[2002年]
春立ちてラインの黄金光増し
乙女3人水中自在
のそのそと追うはきらきらアルベリヒ
愛をあきらめ太っちょ観念
クラークのローゲ当夜の主役にて
滅亡予言のキャラクタ強し
虚勢張り陰謀めぐらし地底行き
若さも残る長(おさ)シュトルクマン
最初からたそがれムードの入城は
神々分かれて花いちもんめ
今はなき外相ほほえむプログラム
ベルリン州立来日7回
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ベルリン州立の「リング」,私は,結婚20周年の記念日が幸せな『ジークフリート』の日となる第3サイクルを選びました――その後「たそがれ」てしまうのかも。
昨夜(6日)が「ラインの黄金」でした。14年前のリングでは,「ラインの黄金」だけどうしても避けられない出張があって見られなかったことを思い出しました。
遊園地みたいに明るく楽しい「トーキョー・リング」の序夜を見たあとでは,奇才クプファーの演出もかなり古典的な感じがします。まあ,よくわからないところもたくさんあったけれど。
梅の香の森をかすめてワルキューレ
リング2日目,日はまだ高し
4時半に千余人休暇ではせ参じ
リタイア組も多いようだが
まだ若いジークムントの晴れ姿
マイアー=リンデも意外と可憐
伸び盛りシュトゥルックマンは四十二歳
若さと野望のヴォータン好調
ポラスキのブリュンヒルデは大女
次夜3幕まで長きやすらぎ
充実の夫婦喧嘩は30分
恐ろしげなるフリッカ適役
フリッカはヴァルトラウテに変身し
戦士8人活躍縦横
途中まで意外とフツーのクプファー氏
やたら転がす歌手床の上
大詰めはやはり泣かせる父の歌
人間的なる神様あわれ
往年の巨匠をしのぐ遅さにて
B氏悠然 歌手は大変
「火を放て!」 ローゲ命受けチカチカと
格子のネオン赤く輝く
終演後オケメンバーもステージへ
深いピットを出て晴れやかに
*97年10月公演のときにこの部屋に出したものを一部流用
(一応発句には季語を入れているのですが,あとはもちろん式目はでたらめです。)
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前回(97年10月)の私が見た日の『ワルキューレ』と比べると,主な6人のうち,ポラスキ(ブリュンヒルデ),ラング(フリッカ),パーペ(フンディング)が共通でした。
シュトルックマン(ヴォータン)は昨日の『ラインの黄金』よりずっと調子を上げ,老成した神でなく,権力への野望を抱く「若さ」のある神を好演しました。
春の雪ジークフリート声若き
はちまきしめて魚屋のおやじ
フランツより身軽に走るミーメ役
序夜のローゲのグレアム・クラーク
3階で巨大ふいごが回転し
端(はな)から自分で鍛えりゃよかった
角笛で大蛇覚まさせ刀抜く
眠りしファフナー身長縮まり
木の上で一部始終をヴォータン見
さらに好調,Viva シュトルクマン
道案内小鳥リアルに空を飛ぶ
空虚な床に横たわるひと
ポラスキは20分かかって目を覚まし
打って変わって声つややかに
トンネルの初リングから15年
あのコロ,君も若かった
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朝,粉雪がちらちらする寒い日でした。(こういうのは「春の雪」とはいわないのでしょうが。)
初めて見たクリスティアン・フランツ,不安定なところもあったけれど,若々しいいい声で,声量も少なくとも後半は十分でした。ただ,見かけがまったく中年オヤジで,英雄にはほど遠い。もっと年上だったけれど若々しかったルネ・コロをつい思い出してしまいます。
シュトルックマンはさらに好調で,深みもあるけど老いぼれていないさすらい人を好演,次はもう出ないのがもったいないようです。(4夜全部出る役はないようにできているので仕方がないけれど。)
幕間に聞いたうわさによると,ポラスキの声がいやで3幕は見ないで帰ってしまった人もいたようですが,『ワルキューレ』のときとはずいぶん違って,つややかな声で,まあ一応初々しい花嫁でした。次夜はどうなるのか,楽しみでもあり,心配でもあり。
演出については,いろいろおもしろくて,見飽きませんでした。ただ,第3幕で,ブリュンヒルデが体育館のような何もない床で寝ていて,以後ほとんどグレーの暗闇の中で進行し,大詰めの歓喜が半減した感じでした。
今まで気づかなかったのですが,「序夜」は「Vorabend」だけれど,「第1夜」以降は「Erster Tag」…で,「夜」という言葉はないんですね。日のあるうちから始めないと終わらないからか。
ついにあとひとつ,「たそがれ」が迫ってきました。
春節にたそがれを待つ神の城
開演4時はまだ日が高く
4日目はモチーフすべて顔なじみ
1幕2時間たちまちに過ぎ
電飾の糸紡ぎ出すノルンたち
新婚家庭は朝に輝く
立ったままのグラーネ引いてライン行
出迎えハーゲン ちとお人好し
去る見年<サルミネン>悪の権化のなつかしき
やっと出番の合唱迫力
特設のリングでハーゲン夢を見て
薬頼みのうつろな挙式
大詰めはますます遅いバレンボイム
葬送の後愛の救済
最後まで舞台に残るアルベリヒ
炎も水もなく大団円
一月に18公演ご苦労さま
垂れ幕「SAYONARA」,紙吹雪散る
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初デート ベルリン・シュターツカペレにて
飾る「リング」は二十周年
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やれやれ,終わってしまいました。
これまで歌手のキーポイントとなってきたシュトルックマン,クラーク,マイヤーが出ない「たそがれ」(第3サイクルは「たそがれ」にマイヤーが出ない)は,歌については寂しさもありましたが,「総合力」でやはり感動の舞台でした。
ハーゲン,グンターの兄弟がともに悪さに欠けていたのが残念でした。グンターはまあ弱いところがあっていいけれど,ハーゲンはドラマを動かす人ですからね。ついつい15年前のサルミネンを思い出してしまいました。
この日(2月13日)は今回の公演全体(「リング」12夜,オーケストラ・合唱の演奏会6回)の最終日で,カーテンコールではオーケストラのほか裏方さんたちもステージに登場,紙吹雪が舞いました。
バレンボイムが最後に手を振って拍手が終わると,幕の向こうでは金管合奏でスザートの曲(だったか)と Happy Birthday が演奏されました。だれかの誕生日祝いだったようです。
さて,次に「リング」を見られるのはいつのことか。
ドイツのザクセン=アンハルト州の州都デッサウのオペラが来日公演中ですが,9日の『サロメ』(オーチャード・ホール)を見てきました。何も予備知識はなく,チラシにつられて行ってみたのですが,いやあ,すばらしい見もの,そしてなかなかの聞きものでした。
オケがは舞台の上,下手後方に陣取り,後ろの方はそでに隠れて4分の1ぐらい見えていて,指揮者はほぼ真横を向いていました。演出はヨハネス・フェルゼンシュタインで,ワルター・フェルゼンシュタインの長男だそうです。
タイトルロールはラッパ来年,と変換されるのが当然のエイラーナ・ラッパライネンという人で,「ネン」という語尾から察せられるようにフィンランド人で,カナダ生まれ,たぶん30代始めぐらい,なんと元ミス・カリフォルニアだという美人で,スタイルも抜群の人でした。これが最初から挑発的な服装で登場します。胸はしっかりガードしたワンピースですが,背中はまったくオープン,下は前後とも燕尾服のしっぽみたいで太ももは常にあらわです。これが走り回り,寝転がりして,時にお尻も丸見えでした。
ヨカナーンに迫るところや,その前にナラボートを誘惑するところなど,かなりの激しさでしたが,それに比べると7つのヴェールの踊りはややおとなしく(?),黒のキャミソールみたいなものを着て始まり,最後はスケスケの横断幕の向こうで全部脱いでいました。しかしすごかったのはむしろその後で,ヨカナーンの首を手にすると,踊りの後着ていた長い服を脱いで(逆光の中ではっきりは見えなかったけれど,たぶん)全裸になり,そのまま最後まで突っ走ります。考えてみると,なるほど,ワイルドの原作には7つのヴェールの踊りの詳細は書いていないし,その後の恍惚の中で脱ぐ方が「必然性」があるのかもしれません。
やや小柄でもあり,容姿は10代なかばという設定にぴったりでしたが,そういう年頃の娘を持つ身としては複雑な心境でもあります。
これで歌もすごかったら化け物ですが,こちらはぐっとおとなしくまとめていました。いや,もちろん水準以上です。
ほかの歌手はみななかなかの水準で,中でも開口一番登場するナラボート役のレイド=スミスという人の美声は印象的。
あと,ヘロディアス(シュトライトベルガー)の衣装もすごくてほとんど下着のみのよう(ときどきガウンをはおるが)。ただし,ラッパライネンよりだいぶ年上のようで,あらわな腹部をオペラグラスで子細に観察するのは自粛しました。
オケは,プログラムのメンバー表によると,作曲者の指定通りの人数より少し少ないようです。指揮(ゴロー・ベルク)は,何というか,きちんとしてはいるが,それ以上どういう音楽家なのかはよくわからず。
ラッパライネンは今回のツアーではゼンタ(『さまよえるオランダ人』)と両方で出ずっぱり。20日間にサロメを10回,ゼンタを4回歌うことになっています。
しかも明日(13日)からは4夜連続。大丈夫かなあ。
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