最終更新日: 2006.5/1
書名 | The Lord of the Rings: 50th Anniversary Edition |
著者 | J.R.R. Tolkien |
校訂 | Wayne G. Hammond / Christina Scull |
出版社 | Houghton Mifflin |
ISBN | 0-618-51765-0 |
価格 | $100 |
エディション | ハードカバー |
出版日 | 2004/10/21 |
書影 |
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目次 |
THE FELLOWSHIP OF THE RING BOOK ONE
BOOK TWO
THE TWO TOWERS BOOK THREE
BOOK FOUR
THE RETURN OF THE KING BOOK FIVE
BOOK SIX
APPENDICES
INDEXES
(*1)
本書のCONTENTS(目次) 頁では p.108 と誤って記されているが、実際には p.109。 |
関連リンク |
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(本書の入手日: 2004.11/3)
↑折込の中つ国地図を広げたところです。
↑マザルブルの書のカラー絵
英米での「指輪物語」最初の出版から50周年にあたる2004年に、 米国 Houghton Mifflin から出版された記念版の箱入り一巻本です。 この50周年記念版では、1954年当時は出版技術やコスト等の関係で実現できなかった、 マザルブルの書のカラー絵と折込地図の挿入、指輪に浮き上がる火文字を赤インクにする、 などが実現されています。また、Appendices(追補編)に、 ホビットの家系図が2つ(BOLGER OF BUDGEFORD と BOFFIN OF THE YALE)追加されています。
50周年記念版では、 これまで出版された LotR では、最もトールキンの意図に正確なテキストになるよう、 『J.R.R.Tolkien: Artist and Illustrator』などの、 非常に優れた仕事をしている Wayne G. Hammond、Christina Scull 夫妻が、 Christopher Tolkien、Douglas A. Anderson らと協力して校訂が行われているのも注目すべき点で、 徹底的な見直しにより、新たに多数、訂正・変更が行われています。 巻頭付近にある、ハモンド&スカル署名の文章、 "Note on the 50th Anniversary Edition" で紹介されている、 この版での訂正例の中から、3つばかりあげておくと、 Numenorean(s) は、従来版の表記だと u にだけアクセント記号があるNúmenorean(s)だが、 o にもアクセント記号がついて、Númenórean(s)となり、 シルマリルの物語などでの表記と整合性が取られています。あるいは、 HoMeでクリストファーが指摘していた、FotRでの、 渡し場から、ブランディワイン橋までの距離記述の矛盾や、 メリーが用意した小馬の頭数記述が訂正されていたりします。 また、追補編の年表や系図などを拾い読みしてみると、 サムの年表上の生年の誤り、 UT等で指摘されていたヌーメノール王が一人抜けている件、 シルマリエンの生年の誤り等の、 周知の誤りなども、 訂正されていました。 尚、これら気づいた変更点は、 高橋誠さんのサイト、 赤龍館のメーリングリストにも報告して、 中つ国補完計画 に反映していただいていますので、 興味ある方は、そちらをご覧下さい。
本書の箱と表紙は黒基調で、表紙は革のような質感があります。 本当の革張なのかどうかは分かりませんが (革のようなコーティングを施した紙という可能性もありますので)、 手触りや見た目は結構良いです。 表紙中央には、サウロンの目が見える一つの指輪の周りにエルフの3つの指輪が、 金とオレンジの箔押しされていて、とってもクール。 箱の裏側の中央には、トールキンによるオルサンクの絵。 表紙を開いたところの見開きは赤い紙になっています(隠れ赤表紙?)。 また、本の各ページの側面が金箔張りなのが、インパクトあります。 栞として使う赤いリボンもついています。
サイズは 縦 24cm × 横 16cm 程で、厚みは約 6.5cm、 頁数約1200頁ある、ハードカバー一巻本なのでそれなりの重量はありますが、 本を持った感じは、ハードカバー一巻本ということから、 想像してたよりは重たくなかったです。 実際に箱抜きで計ってみたら、 約1.8kgで、 手元にある別のハードカバー1巻本 HarperCollins のアラン・リー挿絵入りのものより 400g 程度軽い。 その挿絵入り一巻本は読むのに骨が折れる代物でしたが、個人的に、 400g の差は結構体感的に違いがあって、50th Anniversary Editionの方は、 それほど骨折らずに読めています。
2枚の折込み地図(中つ国全体の地図と、ローハン・ゴンドール・モルドール周辺地図)は、 A3程度の大きさ。 各々、本の最初と最後の見開きにくっついており、 保護の為、出荷時は開かないようにしてるのか、 購入時の状態では薄い糊張り (両面テープかな?)で閉じられていたので、 できるだけそれを慎重にはがす。 薄くはがれやすくはなってるんで、 あせって外さなければ地図に傷つくことはないのだろうが、 気が流行るんでついつい強引にはがしそうになって傷つけそうになってしまうも(^^;、 無事開くことができました。大きくて見やすくてグッドな地図です。
トールキン自身が作成した、 マザルブルの書のカラー絵は、 Book2 Chapter5 "The Bridge of Khazad-dûm" の直前に、 三葉挿入されています。とっても、いい感じ。
本書は、出版50年記念版に相応しく、 全体にトールキンの本来の意図や希望を尊重するよう丁寧に作られていますし、 新たにテキストも校訂されていることもあり、 買ってよかったなぁと満足度は高く、 重さ大きささえ気にしなければ、 現在出版されている LotR 原書の中でも特にお奨めできる一冊です。
50周年記念版は、本書、米国 Houghton Mifflin のもの以外にも、 英国 HarperCollins からは、装丁の異なる、 The Lord of the Rings: 50th Anniversary Deluxe Edition(関連リンク参照)が出版されています。 こちらは、定価£100で、定価$100の Houghton Mifflin 版と比べて値段が随分高い設定ですから、 Houghton Mifflin版とは品質等で異なる点のある、 より豪華な版かもしれませんが、詳細は不明です。 また、amazon.co.uk の The Lord of the Rings: 50th Anniversary Deluxe Edition ページに幾つかレビューがついているので、そちらが参考になるかもしれません。
HarperCollins からは、前述 50th Anniversary Deluxe Edition より安い定価 £35 の、 The Lord of the Rings [Single volume 50th Anniversary edition](関連リンク参照。" [Single volume 50th Anniversary edition]"は、Tolkien.co.uk 内の紹介頁での表記です)も出版されているようですが、 こちらも詳細は不明です。またどうやら、 [Single volume 50th Anniversary edition] のISBN: 0261103202 は、 以前1994年出版のハードカバー LotR 1巻本で使われていたもののようです。 絶版で使わなくなったISBNの再利用的なことなのかも知れませんが、 [Single volume 50th Anniversary edition] だと思って、 注文した人のところに、ISBNが同じということで、 旧い版が来たりすることはないのだろうかと気になります。
(2005/12/3 追記) 本50周年記念版出版から1年後の、2005年、10月~11月に、新たに、 英国 HarperCollin、米国 Houghton Mifflin からハードカバー3巻本やペーパーバック版など、 様々なエディションの50周年記念版が相次いで出版されています。 それら、2005年出版の 50th Anniversary Edition は、 テキストは2004年版そのままではなく、 2004年版の校訂では見落とされたエラー、新たに混入していたエラー等、 改訂されています。 また、本書の "NOTE ON THE 50TH ANNIVERSARY EDITION" でも出版予告されていた、 注釈巻である The Lord of the Rings A Reader's Companion も同時に出版されています。 2005年版各エディションと A Reader's Companion については、関連リンクと、 そのリンク先参照。
Houghton Mifflin 社サイトの『The Lord of the Rings: 50th Anniversary Edition』案内ページでは、 ページ数が 1216頁になっていて、 一方、ネット書店 amazon.co.jp の同書の頁では 1157頁と表記されていますが、 書誌情報などで、同じ本なのに、頁数表記が違う場合、 数え方が違う場合はよくあります (単純に片方が間違っている場合もあるでしょうが)。 LotR 50th Anniversary Edition の場合、 頁番号がローマ数字の部分と、アラビア数字の部分があり、 それぞれ別個に頁が振られていて、 さらに頁番号がふられていない部分もあるのですが、 amazon の場合、この本については、 アラビア数字部分の最後に表記されている頁番号を、頁数として表記しているようです。
参考までに、LotR 50th Anniversary Editionの頁構成を書くと、
のようになっています。頁番号対象外のブランク頁やカラー頁、 単純に全部あわせても、Houghton Mifflin 社サイト表記の1216頁にはならないのですが、 ひょっとしたら挟み込みの地図を、大きさ、あるいは、折り数を基準に、 複数ページ分と数えているのかもしれません。