J.R.R.Tolkien: Artist and Illustrator

最終更新日: 2005.2/28

書名欄と書影欄のリンクは、インターネットから書籍を購入できる amazon.co.jp の各書ページです。
書名 J.R.R.Tolkien: Artist and Illustrator 米国版(Houghton Mifflin版) / 英国版(HarperCollins版)
著者 WAYNE G.HAMMOND AND CHRISTINA SCULL
出版 Houghton Mifflin Company / HarperCollins
ISBN0-618-08361-8 / 0-261-10360-1
価格$25 / £16.99
エディションペーパーバック
書影 Artist and Illustrator
関連リンク

(本書の入手日: 2002.4/6)

ハモンド&スカル夫妻によって、 トールキンの味わい深く貴重な絵が多数採録された一級のトールキン資料であり、 正確で広く深い知識に基づく考察が読める一級のトールキン研究書です。

本書は出版後に、ダグラス・アンダーソン(Douglas A.Anderson)やトム・シッピー(Tom Shippey)といった、 名高いトールキン研究家達が発表した著書や文章の中で、 重要な資料としてこの本をあげたり参照していますし、 トールキン関連の重要文献の一つでしょう。

クリストファー・トールキンが、 no study of J.R.R Tolkien's written work can be complete without also looking at his art. と発言したことが本書の中で紹介されていますが、 本書は、指輪物語、ホビットの冒険、シルマリルの物語等のトールキン作品が創作される過程において、 描いた絵が重要な役割を果たしていたことを読者に教えてくれて、 クリストファーのその発言が正しいことがよく分かります。 本書で基本的に年代順に語られていく、トールキン絵画の歴史は、 トールキンの創作と生涯について、新鮮な視点を読む者に与えてくれます。 トールキンと絵画については、ハンフリー・カーペンターによる優れたトールキン伝記、 『J.R.R.トールキン 或る伝記』でも、 ほとんど語れていない部分ですから、 トールキンファンなら、とても興味深く読むことができると思います。

また、この本は画集としてトールキンの絵を眺めているだけでも非常に楽しめる本です。 僕は、ホビット村とお山の絵や、スマウグの絵、鷲とビルボの絵など、 お気に入りの素敵な絵を、何枚かスキャナーで読みとって印刷して部屋の壁に貼ってますが、 すごくいい感じです。

現在入手しやすいのはソフトカバーのペーパーバック版だと思いますが、僕が所有しているのもそれです。 本のサイズは大判の画集サイズで、中の紙も画集に相応しい質が良いものが使われており、 印刷・発色も良質です。 米国版(Houghton Mifflin版) と、英国版(HarperCollins版)がありますが、両者は同等品で特に差は無いです。

(2004 7/9追記) 英国、HarperCollins からは、ハードカバー版 ISBN:0261103229も出ています。ハードカバー版は一時、前述のソフトカバーのものに比べて入手が難しくなっていたのですが、 今年に入って、増刷あるいは新装されたのか、また手に入りやすくなったようです。 その替わりなのでしょうか、 HarperCollins 版の方のソフトカバーは、現在入手しにくくなっています (米国 Houghton Mifflin 版ソフトカバーはこれまで通り、入手が容易です)。


トールキン関連書籍紹介に戻る