(クリックで拡大表示)
スーパータリカン
機種 スーパーファミコン
発売元 トンキンハウス
開発元 ファクター5
発売日 1993年9月3日
定価 7,500円(別)
プレイ人数 1人プレイのみ
ステージ数 12面
ライフ制 あり
残機制 あり
コンティニュー あり
パスワード なし
難易度選択 あり




ストーリー

惑星自由連合軍のパトロール・宇宙船「アバロン1」の特殊戦闘員である主人公は、全銀河の暗黒を支配する邪悪な機械生命体の魔の手から、惑星カタキスを解放するという指令を受けた。
連合軍の特殊戦闘員は、強力な最新兵器テクノロジーによって武装する。それが攻撃用バトルスーツ「タリカン」である。「タリカン」を身につけることによって、ひとりの人間が、数百人の軍隊と同じ戦闘能力を持つことができるのだ。
惑星カタキスでは、地上や地下のダンジョンにおいて狂暴な敵が次々と、またパワーアップしながら出現することだろう。指令を達成するためには、「タリカン」の能力を最大限に活用しなければならない。今よりカタキスの大気圏に突入する。「タリカン」、出撃準備よし!

『タリカン』シリーズ唯一の日本版

 『スーパータリカン』は1993年にスーパーファミコンで発売された、サイドビューのアクション・シューティング・ゲームである。本作はドイツの制作会社ファクター5(Factor 5)によって作られた。『タリカン』シリーズは日本では無名だが、コモドール64やアミガで大ヒットし、海外では今でも人気がある。『スーパータリカン』はそのスーパーファミコン版であり、日本でも発売された唯一の『タリカン』である。
 1作目の『タリカン』は、1990年にドイツの天才ゲームクリエイター、マンフレッド・トレンツ(Manfred Trenz)によって作られた。『タリカン』と、その続編『タリカンII』はコモドール64、アミガで大ヒットし、さまざまな機種に移植されている。続く3作目は、アミガ版は『タリカン3』、メガドライブ版は『メガタリカン』のタイトルで発売された。そして『スーパータリカン』は、『タリカン』、『タリカンII』、『タリカン3』の要素をミックスしつつ、独自の要素を加えた、スーパーファミコン・オリジナルの作品である。
 ちなみに『タリカン』という奇妙なタイトルは、主人公ブレン・マグワイアが着用するバトルスーツの名前である。その由来としては、1作目の開発中タイトルは、ドイツ語で「ハリケーン」を意味する『Hurrican(ハリカン)』だったが、最終的に電話帳で見かけたイタリア人の名前「Turricano(タリカーノ)」をもじって、『Turrican(タリカン)』となったのである。

『タリカン』の魅力

 『スーパータリカン』、そして『タリカン』シリーズは、日本のさまざまなゲームから着想を得ている。スプレッドやレーザーといった多数の武器を使い分け、敵を撃ちまくりながら進んでいく、という基本は『魂斗羅』だ。しかし『タリカン』はそこに、広大なマップを探索するという、『メトロイド』的な要素を加えた。また、プレイヤーはボールに変身して地面を転がったり、ボムを敷設することができ、これも『メトロイド』そのものだ。そして、銀色の重装甲をまとった主人公や、幻想的な背景グラフィックなどは、データイーストの『サイコニクス・オスカー』を参考にしている。タリカンのフワーッとした奇妙なジャンプは、まさにオスカーと同じ「デコジャンプ」だ。さらに、敵を踏みつけて倒すことができたり、空中に隠されているブロックなどは、『スーパーマリオブラザーズ』をほうふつとさせる。
 このように、『タリカン』シリーズが成功した要因は、日本の名作ゲームのいいところを絶妙にミックスしたことだ。中でも、特にユーザーに愛された部分は、適度な探索要素だろう。当時は一本道のアクションゲームが主流だったが、『タリカン』のマップは上下左右にスクロールし、プレイヤーにかつてないスケール感や開放感を提供した。ステージクリア式のマップは『メトロイド』ほど複雑ではなく、ただゴールにたどり着くだけなら、迷ってイライラすることはない。しかし、そこまでの道のりは何通りもあり、新しいルートを開拓したり、隠しアイテムを探す楽しみがある。特に1UPアイテムの数はかなり多く、プレイヤーを10機以上稼ぐこともできる。あまりアクションが得意でない人も、マップを注意深く探索し、1UPアイテムを回収していけば、攻略できるようになっているのだ。
 日本人の感覚からすると、日本のゲームにはない、海外独特の雰囲気もユニークだ。まず主人公のタリカンからして、ブリキのガラクタのようで、どう見てもカッコ悪い。日本版を発売したトンキンハウスが、アニメ調のパッケージイラストでごまかそうとしているのが笑いを誘う。敵キャラクターもどこかコミカルで、システム的には「戦争ゲーム」だが、殺伐感は薄い。しかしこの辺りも、本作が海外で広い層に支持された理由のひとつだろう。
 また、『タリカン』シリーズの成功を語る上で、ドイツの偉大なゲームサウンドクリエイター、クリス・ヒュルスベック(Chris Hulsbeck)による素晴らしい音楽は外せない。20年以上に渡りゲーム音楽を作曲しているヒュルスベックは、日本のゲームファンで古代祐三を知らない人間がいないように、海外ではまさしく伝説的な存在である。代表作の『タリカン』シリーズをはじめ、日本でも発売されている『ジム・パワー』や『ファイナリスト(Tunnel B1)』、『スター・ウォーズ ローグ スコードロン』シリーズ等も彼の作品だ。
 『スーパータリカン』でも、ヒュルスベックの美しい音楽を存分に堪能することができる。ステージ1の「Bionic Action」、最終ステージの「Air Combat」、エンディングの「Freedom」などは、1993年のCD『タリカン・サウンドトラック』にも収録されている名曲だ。主に『タリカン3』、『メガタリカン』と同じ曲が使われているが、ドルビーサラウンドを採用したこのスーパーファミコン版は、あらゆるスーパーファミコン・ソフトの中でも、突出した存在感を示している。

『スーパータリカン・ディレクターズカット』

 最初に述べた通り、『スーパータリカン』は、日本で入手できる唯一の『タリカン』である。シリーズ中、ファンの評価が最も高いのは『タリカンII』だが、『スーパータリカン』の出来も決して悪くない。『タリカン』がどんなゲームかを知るには、十分な内容と言えるだろう。アクションゲームとしては、操作性は良好で、処理落ちや画面のチラつきもほとんどない。これはファクター5の高い技術力によるものだ。
 他のシリーズ作品と比べて気になる点としては、妙にシビアなジャンプを要求される場面がいくつかあることと、何よりも全体的なボリューム不足だ。伝統的に、『タリカン』シリーズは5つのワールドから構成されており、それぞれが2〜3つのエリアに分かれている。だが『スーパータリカン』には4つのワールドしかなく、ボスキャラクターの数も圧倒的に少ない。何より、オープニングデモに登場する敵の親玉「ザ・マシーン」と戦うことなく、唐突にゲームが終わってしまうのが不自然だ。『タリカン3』や『メガタリカン』のラストには、ちゃんと「ザ・マシーン」との対決がある。
 だが、これには理由がある。当初ファクター5は、8メガロムを想定して『スーパータリカン』を制作していた。だがゲームがほとんど完成した時点で、急遽4メガロムに変更しなければならなくなったのである。ゲームをロムの容量に収めるため、彼らはすでに完成していた多くの敵キャラクターや、プレイヤーの追加武器、さらにはステージそのものを、丸々カットすることを余儀なくされた。ファクター5によれば、それらの製品版に入らなかったデータは今も残っており、いずれ機会があれば、本来の内容を再現した『スーパータリカン・ディレクターズカット』をリリースしたい、と発言している。

その後の『タリカン』シリーズ

 『スーパータリカン』の成功を受けて、1995年にはスーパーファミコン版『スーパータリカン2』も発売されている。この作品は海外の複数のゲーム誌上で、「史上最高のアクションゲームのひとつ」という評価を受けた。『スーパータリカン2』はまさしく傑作だが、この完全オリジナルの新作は、『スーパータリカン』や初期のシリーズとはかなり違ったゲームになっている。『魂斗羅スピリッツ』や『魂斗羅 ザ・ハードコア』のようにド派手なアクションが中心になり、広大なマップを探索する要素はほとんどなくなったのである。この『スーパータリカン2』も日本で発売される予定だったが、残念ながら中止となっている。
 『タリカン』シリーズで有名になったファクター5は、1994年にはコナミのゲームボーイ版『魂斗羅スピリッツ』も制作している。近年の代表作としては、ルーカスアーツとのコラボレーションによる『スター・ウォーズ ローグ スコードロン』シリーズや、プレイステーション3の『ライズフロムレア』などがある。だが『タリカン』シリーズは、『スーパータリカン2』を最後に、公式な続編は発表されていない。それでも今なお、海外の熱心なファンによって、専門のファンサイトが運営され、多くのクローン(同人作品)が制作されるなどの活動が行われている。



Main