スーパー
AV オーディオ・ビジュアル
アクション。

「魂斗羅」のパワーが再び全開。
待ちうけるのは、
超強力エイリアン軍団。
ハイテクを駆使した驚異の
バトルフィールドが出現する。


多次元スクロールで、
意表をつくゲーム展開。
ビルとランスの2P同時プレイ可能。
巨大メカや内臓グラフィックなど、
鮮烈なビジュアル世界。



スーパー魂斗羅
機種 ファミリーコンピュータ ステージ数 8面
発売元 コナミ ライフ制 なし
開発元 コナミ 残機制 あり
発売日 1990年2月2日 コンティニュー 3回
定価 5,800円(別) パスワード なし
プレイ人数 2人同時プレイ可能 難易度選択 なし
ストーリー
遊び方
アイテム
敵キャラクター
AREA 1 BASE AREA 1
AREA 2 BASE AREA 2
AREA 3 JUNGLE
AREA 4 BASE AREA 3
AREA 5 BASE AREA 4
AREA 6 ALIEN AREA 1
AREA 7 ALIEN AREA 2
AREA 8 ALIEN AREA 3
エンディング



 「ワガ“レッドファルコン”ハ エイエンニ フメツナルゾ ・・・・・」
 ファミコン版『魂斗羅』のエンディングで表示された戦慄の報復声明。その言葉通り、エイリアン軍団が再び人類に、そしてファミコンユーザーに挑戦してきた。いま、あの魂斗羅がファミコンで再び起つ!!
 1983年のファミコン発売から、実に7年を経た1990年。この年、ゲームファンの関心は、11月に発売されることになるスーパーファミコンへ集中しつつあった。その一方で、研究し尽くされたファミコンのハード性能は限界以上まで引き出され、当初では考えられなかったほどハイレベルなファミコンソフトも数多くリリースされるようになっていた。
 そんな中、怪物ソフト『ドラゴンクエストIV』の発売を9日後に控えた1990年2月2日、ファミコン版『スーパー魂斗羅』が発売された。残念ながら、またしても売上げでは大差で『ドラゴンクエストIV』に及ばなかったものの、ファミコン版『スーパー魂斗羅』は、前作に熱狂したファミコンユーザーの心を確実につかみ、前作に劣らぬ高い人気を獲得している。

ゲームの半分以上が新作と言っていい

 ファミコン版『スーパー魂斗羅』はそのタイトル通り、シリーズ2作目、アーケード版『スーパー魂斗羅』の移植である。アーケード版の発売からわずか1年で移植されたファミコン版『魂斗羅』に対して、ファミコン版『スーパー魂斗羅』は、アーケード版の発売から2年が経過しての移植となった。
 2年前に発売されたファミコン版『魂斗羅』は、アーケード版にかなり忠実で、アーケード版と比べても見劣りしない移植度だった。まだアーケードとファミコンのハード性能の差が、それほど激しく開いていなかったためだ。だがこのファミコン版『スーパー魂斗羅』では、アーケードとファミコンのハード性能の格差は歴然としたものになってしまっている。アーケード版『スーパー魂斗羅』の大迫力のグラフィック、サウンド、そしてド派手な演出は、さすがにファミコンのハード性能では再現しきれなかったのだ。アーケード版の劇的な進歩に対してファミコン版『スーパー魂斗羅』は、見た目のうえではファミコン版『魂斗羅』とあまり変わらないレベルにとどまっている。
 アーケード版で好評だった、「なんだここは?」「油断するな!」のデモはカットされてしまった。画面を埋め尽くす巨大な敵も、巨大な爆発もかなりスケールダウンしている。エイリアンにも、アーケード版ほどの圧倒的なリアリズム、グロテスクさはない。やかましいくらい激しかったサウンドも、おとなしいものだ。
 だがそうしたパワーダウンを、サービス満点のアレンジやプラスアルファで補ってしまうのが、当時のコナミ移植の素晴らしさだ。前作と同じく、梅崎重治氏を中心とした一流スタッフが移植にあたったファミコン版『スーパー魂斗羅』は、4つものオリジナルステージを始め、新しい敵、新しい罠など、前作以上に大量のオリジナル要素が追加されている。まさにゲームの半分以上が新作と言っていいほどで、アーケード版をプレイした人も物足りなさを感じることなく楽しめる、大充実の内容になっている。その結果、ファミコン版『スーパー魂斗羅』もやはり前作に引けをとらない、ファミコンアクションの中でもトップレベルの完成度を持つ名作に仕上がっていると言えるだろう。

基本はファミコン版『魂斗羅』を踏襲

 ファミコン版『スーパー魂斗羅』はアーケード版『スーパー魂斗羅』の移植だが、基本的なシステムやプレイ感覚は、むしろ前作であるファミコン版『魂斗羅』のほうを踏襲している。
 操作面では、アーケード版『スーパー魂斗羅』で新たに追加されたジャンプ調節と、段階式のパワーアップはどちらも削除された。この2つの新システムはゲームを奥深いものにする反面、敷居を高くしている部分もあった。その点ファミコン版『スーパー魂斗羅』の操作方法、システムは前作と全く同じままなので、誰にでもとっつきやすい。
 アイテムも、アーケード版のハイパーシェルは削除され、前作にあったラピッドビレッツ、バリア、スペシャルがそのまま継承されている。それぞれの武器の強さも、アーケード版よりファミコン版『魂斗羅』に近い。すなわち、アーケード版ではマシンガンが恐ろしく強かったが、ファミコン版での最強武器はやはりスプレッドガンである。
 前作との唯一の違いは、ファイア・ボールの削除およびファイヤーガンの追加だ。ファイヤーガンはアーケード版のボムに相当する武器で、当たると炸裂するという性能は同じ。ただしアーケード版と違い、ショットボタンを押したままにして離すと、強力なビッグファイヤーを撃つことができる。これはシリーズで初めての、「溜め撃ち」が可能な武器である。
 また、アーケード版『スーパー魂斗羅』はかなり難易度が高めで、特に2周目は上級者への挑戦状だった。だがそれに比べると、ファミコン版『スーパー魂斗羅』の難易度はかなり低くなっている。2周目以降も、アーケード版のようにとてつもなく難しくなるわけではない。全体の難易度としてはファミコン版『魂斗羅』と同じか、それより少し易しいくらいだろう。前作同様、家庭用らしく誰でも楽しめるレベルに調整されており、その狙い通り、幅広いファミコンユーザーに親しまれることに成功している。
 このようにファミコン版『スーパー魂斗羅』は、アーケード版『スーパー魂斗羅』の「移植」であると同時に、あくまでファミコン版『魂斗羅』の「続編」でもある。当たり前のように聞こえるかもしれないが、本作はこの2つの側面が絶妙なバランスでミックスされているのだ。

大量のオリジナル要素

 ファミコン版『スーパー魂斗羅』のステージ構成は、アーケード版の全5ステージから、4つのオリジナルステージを含む全8ステージにほぼ倍増した。しかも1つのステージの長さは、アーケード版『スーパー魂斗羅』やファミコン版『魂斗羅』より少し長いくらいである。
 また、スクロールが前作やアーケード版より多彩になっている点も大きい。アーケード版にはない前作の滝ステージのような上スクロール面があり、下スクロールで降りていく珍しい面もある。さらにシリーズ初の強制縦スクロールも登場した。しかもこれらが、1つのステージ内で横から縦へ、縦から横へと切り替わるのである。とにかく場面ごとに変化があって飽きないし、マップに広さを感じさせる。
 ステージの内容は、2つのトップビュー面はアーケード版にかなり忠実だが、サイドビュー面はファミコン版オリジナルのアイデアにあふれており、アーケード版のギミックは残しつつも、エリア3の後半あたりからアーケード版とはかなり違った展開を見せ始める。エリア6でアーケード版の最終ボス「天王鬼ギャバ」を倒すのだが、何とその後もゲームは続き、エリア8にファミコン版オリジナルの最終ボス「陰獣キムコウ」が待ち受けている。この新しいボスエイリアンは上下2つの顔を持つ独特のデザインで、ギャバに負けないインパクトがあった。
 このように敵も、ファミコン版オリジナルキャラがたくさん登場し、アーケード版以上にバラエティ豊かになっている。1面の戦車や4面のマザーエイリアンなど、アーケード版の魅力的な敵がいくつかカットされてしまっているのは残念だが、新しく加わった敵も十分に魅力的だ。例えば、エリア3に登場する4本足の巨大メカ「烈撃六連機動砲スパイダル」。こいつの滑らかな歩きぶりは実に素晴らしく、頭の上に乗ったり足の下に潜れるのも面白い。パッケージイラストにも大きく描かれており、中ボスながらファミコン版『スーパー魂斗羅』を代表する敵のひとつと言えるだろう。
 また敵だけでなく、新しい罠も多数追加されている。大地震で地面が次々と陥没したり、いきなり天井全体が落ちてきたりと、前作やアーケード版以上に罠のスケールが大きく、驚かされる。

シリーズの可能性を押し広げた作品

 グラフィックは、仕方のないことだがアーケード版に比べるとかなり見劣りする。またファミコン版『魂斗羅』にあった、デモシーンや動く背景といった演出がほとんどなくなっており、やや寂しい印象も受ける。ただし、色がカラフルになった、弾が見やすくなった、そして前作以上のデカキャラなど、正しく進歩している部分ももちろんある。そもそもファミコン版『魂斗羅』の時点から、そのグラフィックはファミコンとしては十分に高いレベルだった。本作も、飛躍的な進歩はないものの、前作と同等のレベルをきちんと保っていると言えるだろう。
 サウンドについても、グラフィックとほぼ同じことが言える。ただしBGMにおいては、前作にない画期的な試みがなされている。本作はファミコンで初めて、オーケストラヒットのサンプリングを使用しているのだ。アーケードと同じ迫力、とは行かないが、ファミコンで「ギャギャン!」と鳴るのは大きな驚きだった。おなじみのパターンクリアBGMを聴き比べてみれば、同じ曲でも迫力は前作と段違いである。
 使用曲はおおむねアーケード版と同じだが、アーケード版の未使用曲がエリア5のBGMとして使われていたりして面白い。原曲はアーケード版のサントラCDで聴くことができるが、ファミコン版は例によって曲のテンポが早くしてあるため、いっそうノリのいい名曲となっている。サウンド担当は前作に引き続き、前沢秀憲氏だ。
 このように、ファミコン版『スーパー魂斗羅』は前作と比較して、システム的にも技術的にも目立った変更はほとんどない。そのため一見すると「前作と同じ」に見えてしまう一面もある。だがシステムに余計な変更を加えないことで、前作の高い完成度をそのまま引き継いでおり、前作のファンなら違和感なく楽しめる続編になっていると言える。
 そして実際のゲーム内容に目を向ければ、ファミコン版『スーパー魂斗羅』は魂斗羅シリーズの進化の中で、確かに意義のある作品だ。本作以前の家庭用作品、ファミコン版『魂斗羅』とMSX2版『魂斗羅』は、あくまでアーケード版『魂斗羅』の移植であり、個々のオリジナリティはあくまで細かいアレンジの域を出ていなかった。だがファミコン版『スーパー魂斗羅』には、アーケード版の内容にとらわれない、全く新しいギミックがいくつも追加されている。次々に切り替わるスクロールや、地形全体を使った罠など、ギミックそのもののスケールを大きくすることで、純粋なゲームプレイの面白さに力を注ぎ、ハード性能の差を補っているのだ。
 本作の、こうした自由な発想から生まれたアイデアは、後の『魂斗羅スピリッツ』、『魂斗羅 ザ・ハードコア』といった、家庭用“完全オリジナル”作品にも受け継がれていく。つまりファミコン版『魂斗羅』が家庭用魂斗羅の基本を作った作品なら、ファミコン版『スーパー魂斗羅』はシリーズの可能性を押し広げた作品。シリーズがアーケードの移植から、家庭用オリジナルへと本格的に脱却する、その転換点となった作品と言えるだろう。
 ただこうした事情からもわかるように、魂斗羅シリーズにとってファミコンを始めとする8ビットマシンは、すでに力不足となりつつあった。アーケードに負けない、そしてアーケードをも上回る、よりハードで、より過激で、よりリアルな魂斗羅。それを表現するためには、もっとパワーのある、新たなゲーム・ハードが必要とされていたのだ。



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