全部マンドラゴラ・図鑑

全部マンドラゴラ

魔女の薬草「マンドラゴラ」。その真の姿を紹介します。

植物としてのマンドラゴラ

Mandragora officinarum L.

☆特徴
太い分岐する塊根を持つナス科の多年草。
葉は根生し、披針形から長卵形で長さ30cmほど、葉縁は波状で、暗緑色。
花は白または青紫色で、長さ3cm、葉の間に1花または群生し、春の中頃から終わりにかけて開花。
オレンジ色で球形に近い多肉質の果実を付ける。

☆分布
地中海南東地域の原産。
日当たりの良い、痩せた砂地に見られる。
野生のM. officinarum野生のM. officinarum ☆栽培
野生植物である。
歴史的庭園や薬用植物園のコレクションとして、まれに栽培される。
北ヨーロッパでは温暖な場所で栽培するか、冬季の保護が必要。温帯では夏期の保護が必要になる。
種子が熟すとすぐ蒔くか、株分けによって繁殖する。


☆成分
アトロピン(atropine)、スコポラミン(scopolamine)、ヒヨスチアミン(hyoscyamine)などのアルカロイド類。

☆用途
乾燥した根、まれに生の葉を鎮静、幻覚、瀉下、催吐、鎮痛薬とする。
19世紀までにはヨーロッパの多くの薬局方に継続的に収載されており、1877年には公式なホメオパシー療法の処方薬として取り入れられた。しかし、その激しい毒性のために今日では薬用とされない。
葉はかつて潰瘍の外用され、根は痛みの軽減、神経の病気の治療に、また媚薬として広く用いられた。
古代外科手術では、根を酒に浸し麻酔薬とした。
よく似たM. autumnalisや有茎のM. caulescensの根も、同じ薬用に利用された。

Mayappleメギ科のMayapple ☆名称について
ヨーロッパで"Mandrake"といえばマンドラゴラ属のことであるが、北米で"Mandrake"といえばメギ科のMayapple(ポドフィルム、アメリカハッカクレン)のことである。
またMandrakeのローマ字読みが「マンダラゲ」に似ていることから、仏法典に出てくる「曼荼羅華」と混同されるが、曼荼羅華はチョウセンアサガオ(エンジェルストランペット)のことである。

関連リンク

Wikipedia:アルカロイド

分 類

界 : 植物界 Plantae
門 : 被子植物門 Magnoliophyta
綱 : 双子葉植物綱 Magnoliopsida
目 : ナス目 Solanales
科 : ナス科 Solanaceae
属 : マンドラゴラ属 Mandragora

M. officinarum L.

学名:マンドラゴラ・オフィキナルム

  • officinarumは「薬用の」の意。

分布:地中海南東地域

M. officinarumの果実M. officinarumの果実

M. autumnalis Spreng

学名:マンドラゴラ・アウツムナリス

  • autumnalisは「秋の」の意。

分布:地中海沿岸
野生のM. autumunalis野生のM. autumunalis

M. caulescens Clarke

学名:マンドラゴラ・カウレスケンス

  • caulescensは「有茎の」の意。

分布:ヒマラヤから中国西部
野生のM. caulescens野生のM. caulescens