Hofheim-Instruments RD-400DX  その4
宮古島遠征、他

  公開:2024年7月19日〜
更新:2024年7月28日 *ミラーの遮光板 を追加

 
来間島・竜宮城展望台にて(満潮時)。干潮の時は、その3の冒頭に掲載したように息をのむ程美しいが、満潮だとご覧の通り。
干潮時の宮古島の海は、世界一美しい。池間島への道も、ぜひ干潮時の真昼に見て欲しい。

今年も宮古島へ

 ネオワイズ彗星を宮古島で見て以来、毎年ここに遠征に来ている。昨年、一昨年は天候に今一つ恵まれなかったが、今年は海の日に行ってきた。梅雨明けはしているけれど月齢は7.2。 0時頃まで月が出ているし、海の日の連休だから大混雑?で条件は良くないだろうけれど、1週前の新月期に休めなかったので仕方が無い。0時を過ぎれば静かになるだろうし、そこから暗い天体を見ればいいか、と割り切った。

 観望場所へは19時半に到着。強くは無いけれど風があるので、シュラウドは無し。21時過ぎから、明るいメジャー天体を中心に見始めた。高品位屈折・低倍で見る、針を刺すような星像が335×でも得られ、さすが宮古島の空 + ザンブト・ミラー + Apollo 11だ! アンタレスが伴星を伴ってきりりと美しい。しかし23時頃までは危険な暑さで、車のエアコンで時々涼まないと、全く体が持たない。また、0時頃までは観光客が東平安名崎の灯台をめざして引っ切り無しに通行していたので、車内で休むにはちょうど良かった。

 さて0時を過ぎると誰一人としていなくなり、さあ、本気モードで観望だ。と思いきや、小さな雲に目的天体が遮られる事多々。なかなか集中できない。こういった時は、NL Pure 10×で観望だ。WXは重量オーバーで割愛。やっぱり手持ちで星を見るなら防振がほしいなあ。そうこうしていたら、宮古島特有の、突然の雨が襲ってきた。でも慣れてきているので、降る前に察知して片付けしているので、被害は無い。で、結局3時前には退却となった。


写真左:南南西に立ち上る天の川(7月15日1時)。写真右:南側を見上げた空(7月14日0時15分)。
CANON RF10-20mm F4 L IS STM (10mm。Lee No.3 ソフト・フィルター/レンズ背面)+ EOS R5。F4、30秒、ISO:8000、固定撮影1発撮り。

 2日目(7月14日)は定番の美しい海を見て、美味しい食事にありついて、これはこれで大満足。今回は昼が満潮だったので、いつもの美しい海の色は今一つ(冒頭の写真)。観望地には21時に到着。状況は前日と同じ。突然の雨で一旦片づけた後、2時頃から再び望遠鏡を組み上げて観望開始。ところが、この望遠鏡のデフォルト:Apollo 11で193×でさえ星がボテッとしている、宮古島らしからぬ空だ。仕方ないので、Ethos 21mm 101×で暗めの天体にもチャレンジした。いままで見れなかった、たて座の惑星状星雲IC1295が同定できたりしたけれど、2時間程して再び黒い雲が。さっさと片付け、4時に退却。そこから結構な降雨となった。写真は、Sigma 14mm F1.4ではなく、RF 10-20mm。F4で暗いので露出は30秒(固定)。だから、拡大すると盛大に星が流れる。しかし、このレンズにしたのは、単なる記念撮影と割り切ってのことで、Skymemoまで持ち込む重量の余裕はない。
 今回は沢山の天体は見れなかったけれど、それでも充実感はあったし、望遠鏡の改善点、課題があぶり出せたのは収穫だった。
 

バックラッシュの改善 (という訳で、以下は遠征後の改良)

 水平回転が以前ほどスムーズではなくなり、視野を移動する時にバックラッシュが生じていた。これはけっこう興ざめする。ED-400Xの付属のミラーは12.8sでザンブト・ミラーは9sと4s軽減されている。アイピースはパラコアII + Ethis 21mmと重い時もあり、本体に1s×2の錘を装着して対応している。本体の総重量は増えていないので、これは純粋に水平回転の摩擦が増えたせいだ。そこで、ランプ印テフロン ドライというものを購入して水平回転部に噴射した。これが奏功して実にスムーズになった。

錘の位置の変更

 パラコアII + Ethis 21mmだと、45°位より下を向けると、重さで勝手に鏡筒が下に下がってしまう。以前は勢いが付いて下がって危険なこともあった。今はストッパーが着いているけれど、ここは何とはしたい。バネを利用したいけれど、水平回転の板が薄く、テンションがかかる強度は無い。また、エンコーダーのアームもあるので、バネ機構の装着は無理だ(収納の際、箱にも首尾良く収まる必要もある)。


ストッパーと水平回転部の板厚。縦の黒棒は、エンコーダー装着アーム。

 そこで、まず錘の位置を変更した。少しでも本体から離すのが目的。この錘は1個1s。手持ちのクランプを利用して、ご覧の通りにしてみた。さらに0.5sのものも中央に装着した。また、これはぶら下げるのが簡単だけど、動かす度に振り子様振動が生じるので、袋から出してベルクロ帯で本体に直付けした。これで、パラコアII + Ethis 21mmを使用時でもフリー・ストップとなった。


遮光板の装着の改良

 アイピース装着の対側には、遮光板が一端はねじ止め、もう一旦はベルクロでの装着だ。ところがベルクロは小さい円盤なので、微風でもすぐに剥がれてしまう。ここも手持ちのクランプ(以前購入したら、1袋に何個も入っていた)、固定。

シュラウドとミラーの遮光板

 シュラウドは再制作したけれど、針金が円形にテンションが保てず、程なくミラー内側に垂れさがるようになってしまった。しかしそもそも、このドブで遠征する所はめちゃくちゃ空が良いので、シュラウドは無くても良い環境だ。オーストラリアの砂塵や結露からの保護には必要だけれど、とりあえずミラー周囲の遮光板の高さを上げることにした。 使用した素材は、ハンズにあったカンキ化工材 塩ビ つや消し黒 400×550×0.3mm。つや消しの感じが良く、0.3mmは重すぎず強度もまあまあなので、ちょうど良かった。かつては本当に面白くてここにしかないものがあった東急ハンズから、普通のDIYショップになってしまったハンズに嘆いていたが、まだここにはこれがあった! これを3枚、ベルクロ・テープで連結。これけではきれいな円形が保てないので、ゴム紐で上部を固定し、さらに内側に1mmのカーボン棒1mm×1mを養生テープで留めることにした。棒は1mmより太いとうまく曲がってくれないのと、固定もあれこれ試みたが、前述した方法が一番簡単なのと、1mmのカーボン棒なら、スーツケースに曲がって収まる。とりあえず次回の遠征はこれで行こう。

使用アイピース

 ほとんどは、Apollo 11 193×で見ているが、もう少し低倍・広視野用にはEthos 21mm 101×だ。以前はMasuyama 32mmも使用することもあったけれど、星像がEthos 21mm程良くないので、今は遠征には持って行かない。惑星には Powermate 2× + Apollo 11 335×で、さらなる倍率が欲しい時はEthos SX 4.7mm 451×を使用。これ以上の倍率は、あまり使用しない(ハワイで惑星状星雲ならあり得る)。

  口径 f 焦点距離 倍率 実視界 見掛視界 アイ・レリーフ 射出瞳径 パラコア位置
RD-400DX Zambuto + Paracorr II 407mm 5.2 2118mm ×1.15          
Ethos     21mm 101 1.0° 100° 15mm 4.0mm A
Apollo 11     11mm 193 0.44° 85° 18mm 1.9mm C
Ethos SX     4.7mm 451 0.24° 110° 15mm 0.9mm H
                   
                   
with Powermate 2X 407mm 9.06 3684mm (1842×2)        
Apollo 11     11mm 335 0.25° 85° 18mm 1.2mm -
                   
RD-400DX Zambuto 407mm 4.53 1842mm            

 
  内容追加中。続く.....

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宮古島への便は、美しい島々が見えるのが楽しみだ。写真上が池間島。

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