「被団協」新聞 − 1998.10月号



1面 アメリカの臨界前核実験に抗議   松谷裁判10周年のつどい
2面 署名運動の意義   広島、長崎の平和祈念館建設 被爆者減が来年度予算に反映   核かくしかじか
3面 高校生の「平和像」運動 98年度慰霊事業への国の補助 中央相談所講習会スタート
4面 相談のまど−介護保険法 

アメリカが臨界前核実験を強行−日本被団協・各県被団協が怒りの声明・行動

 アメリカ政府は9月27日、ネバダ核実験場の地下で、臨界前核実験を強行しました。「バグパイプ」と名付けた今回の実験は、核弾頭の老朽化による変化を調べるのが目的と説明していますが、核兵器の使用を前提にした威力保持の実験にほかなりません。しかもこの種の実験を2005年まで、毎年4回のペースで行なうというのです。

 報道によるとロシアも臨界前核実験を行なうといっています。

 日本被団協は、新たな核兵器開発競争につながる米ロの核実験に抗議して、次の抗議(要旨)をクリントン大統領あてに送りました。 (全文へ)

 貴国は、ありあまる核兵器を所持している。世界世論が核兵器廃絶の方向へ向かっているとき、これに逆行して、核兵器の使用を前提にした大量殺人計画の進行を、被爆者は座視することはできない。  しかも貴国は、インド、パキスタンが行なった地下核実験を、口をきわめて非難し、制裁を加え、脅迫さえした。その舌の根も乾かぬうちに、自国の核実験の強行である。

 貴国の核実験によってあらたな核兵器開発競争が激化し、地球環境の急速な悪化と、核戦争による人類絶滅の危機が深刻化することを、許すことはできない。

@臨界前核実験の今後の 計画を中止せよ。 A核兵器放棄宣言せよ。 B核兵器廃絶への実効ある行動を開始せよ。 C期限を切って核兵器廃 絶国際条約を締結せよ。

 アメリカの臨界前核実験強行に、広島、長崎はじめ各都道府県被団協はいっせいに抗議の声と行動を起こしています。


松谷裁判10周年のつどい − 「つどい」をバネに最高裁での勝利を

 長崎の被爆者・松谷英子さんが、長崎地裁に原爆症認定の裁判を起こして満10周年の9月25五日、東京・神宮外苑の日本青年館で「松谷裁判10周年のつどい」が開かれ、80人が参加しました。

 日本生協連の鏡良美組合員活動部長が「裁判10年のつどいをバネに、最高裁での勝利へ」と開会あいさつ。

 松谷さんは、原爆症認定の最初の申請が却下されたときから、福岡高裁で勝利するまでの苦しみと喜びを語り、「厚生省はひどすぎます。戦争被害はがまんするのがあたりまえ、ということがまかり通ってはたまりません」と決意をのべ、激励の拍手をうけました。

 弁護団事務局長の中村尚達弁護士は、「松谷裁判10年の歩み」を報告、「松谷さんは年毎に若くなっている」など、くだけた口調で、裁判の歩みと争点を講演しました。

 日本被団協の小西悟事務局次長は、「松谷裁判10年の歩みと運動」について報告、「松谷裁判は、核兵器と被爆者行政にたいする政府の姿勢を変えさせるたたかい」と発言。

 DS86批判など風刺いっぱいの笑劇「マッチャ裁判」には、爆笑とヤジが飛び交いました。  参会者からの発言があって、藤平典日本被団協事務局長の閉会のことばでつどいを終えました。

 参加者の声

 「つどい」では、会場から9人の発言がありました。

 千葉土建の田中さんは31,000円の募金を集めた経験をのべ、知恵を絞った資金対策を提案。

 千葉原水協の椎葉さんは、「松谷さんの訴えは世界大会に参加した若者たちの心を打った。毎日のように署名がかえってきている」と報告。

 神奈川の武田さんは、被爆体験を語りながら草の根で署名運動をすすめている経験を報告。

 神奈川民医連の中村さんは、「1職員5人以上の署名にとり組んでいる。若い人の反応が強い」と発言。関東圏での責任を果たそうと提案。

 日本青年団の坂野さんは、ネットワークとして意欲的にとり組んでいる状況を報告しました。

 署名41,000を提出

 「つどい」に先立って、朝8時半から最高裁西門前で原爆松谷裁判ネットワークのビラ配り、10時から書記官要請と署名提出、11時から司法記者会見がありました。

 この日の提出署名は41,000人分で、累計87,000人となりました。

 今回提出分は、被爆者や支援者から原爆松谷裁判ネットワーク事務局(日本被団協内)に届けられた個人署名が多いのが特徴でした。 トップへ   原爆松谷裁判


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