■新十三塚駅第2展示室

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民営化後の物列車
19.12.02 古い記述を修正

当駅は実に2年9ヶ月ぶりの更新になります。碧電開業から5年の日が見えてきた今日まで、民営化後のJR貨物列車をほとんど扱ってきませんでした。別に毛嫌いしていたわけではないのですが、やっと掲載に漕ぎ着けたというところです。
 掲載写真を選んでいると、見る見るコマ数が膨らみました。引退し、新会社のメンバーになることがなかったEH10,EF60,61,62がなくなり、形式数は国鉄時代より減っていますが、継承されたEF65、EF66を中心にバリエーションがなかなか多彩なのです。その奥深さに今さらながら気づいたわけですが、第4展示室開設の機会となる今回は今後の予告編的な意味も持たせ、極めて断片的ながらも特徴ある機関車を中心に選定してみました。
 また、深夜帯ながらも通過する形式であるM250系(スーパーレールカーゴ)は2007.7.5、別列車を待っていたところ、大雨の影響で遅れてきたために撮影できました。光線状態はよくありませんが、地元では滅多に撮れないものですので、差し替えを行いました。
 現状、撮影から10年以上が経過した写真ばかりになっています。EF641000や既に全機が引退したEF200の新塗装、EF210の新塗装機についても今後掲載を考えています。

(1)車籍復帰組も活躍−EF65−

新会社発足当時、碧海エリアを通る貨物会社のELはEF65、EF66のみ。JRマークが貼り付けられただけで、国鉄メークを保っていました。両形式ともさまざまなバリエーションが登場している今では想像もできないほど地味なものではありました。しかし、旅客会社で相次いで登場していたジョイフルトレイン用特別塗装機に刺激されたのでしょうか、間もなく社員のデザインよる試験塗装機が登場しました。「JR」の2文字にこだわりすぎた嫌いはありましたが、ファンの間では「色ガマ」と呼ばれて注目を集めました。
 好景気にも支えられて需要は順調に伸び、機関車の増備が計画されましたが、国鉄型EF66のマイナーチェンジ車であるEF66の新製だけでは追い付きません。そこで、国鉄清算事業団から19両のEF65が購入され、89.3改正による増発に向けて車籍復帰したことも話題となりました。

茶色塗装のEF659
新鶴見機関区の一般公開でEF66901と並ぶEF659(稲)1992.8.30 新鶴見機関区

 国鉄清算事業団からの車籍復帰組中、9号機は貨物用にもかかわらずイベント機のような茶色塗装でデビューし、ファンを驚かせました。稲沢機関区配置の地元機でしたが、基本的には貨物が運休する時期にしか帰省しなかったせいか、ついに貨物列車を牽く姿は撮れませんでした。運用中に走行装置のトラブルで走行不能になり、現地で解体という不運の最期を迎えたとのことです。

更新色試験塗装?EF6521
更新色の試験塗装とも言えるEF6521(稲)

 同じく車籍復帰組の1両、EF6521は同時期に新製されたEF81500やED7950と同様の塗装をまといました。前面の飾り帯がなくなり、ナンバーが向かって右側に寄せられているのもEF81500同様です。この塗装を基本に、裾にブルーの帯が入ったものが更新工事施行車の塗装となりましたが、まだ更新工事が始まる前で、21号機は後に一般塗装に改められています。
 個人的には裾の帯はない方がよいと思います。

元JR-Wの更新機EF651093
つくばエクスプレスの甲種を牽くEF651093(岡)

 ブルートレインなど、客車列車の大幅な衰退によって旅客会社のELは余剰となり、EF65では経年の新しいPF型が貨物会社に移籍しています。JR西日本から購入された1093号機は更新工事を受け、からし色に塗られた貫通扉は広島工場施工車の特徴です。また、元々貨物会社所属のPFがナンバープレートもからし色なのに対し、ブルーである点が異なっています。

稲沢機関区の試験塗装
稲沢機関区の試験塗装機EF65116。

 1987年に登場した試験塗装機は碧海エリアでも見ることができました。地元の稲沢機関区では116号機が対象となりました。これもJRを意匠化して大きく描いていますが、デザイン的にもう少し洗練されていればと惜しまれます。
オリジナル塗装に戻されたあとは残り少ない国鉄色として注目されました。

長期にわたり試験塗装を維持
EF651059(新)牽引の3363列車

 EF651059は2009年3月に廃車になるまで試験塗装を維持していました。撮影当時、新鶴見機関区のEF65は両数が多く、なかなか姿を現しませんが、東海道線が主体の運用に充当されると数日にわたって東海地方で見られるようになり、ファンの目を楽しませてくれました。

PF形思い出の試験塗装
大きなJRマーク入りではない試験塗装は少なかった。EF651065(新)

 新鶴見機関区もう1両の試験塗装機、1065号機です。雑誌で初めて見たときは前面と側面が別の機関車のように見えました。色数を減らすためにも黒塗りはやめるべきだったでしょう。地元での作品がなく、首都圏で撮ったものでお許し願います。EF651019(レインボー専用機)の「エルム」を待っていたら、直前にやってきて驚きました。

(2)旅客会社からも転籍して大所帯に−EF66−

新会社発足時には901、1〜39が貨物会社へ、経年の新しい40〜55が西日本会社の所属となりました。貨物会社発足後の主な変化としては、100番台の新製、21号機以降への冷風装置の取り付け、更新工事とそれに伴う塗装変更、西日本会社所属機の編入が挙げられます。
 特に基本番台においては、パンタグラフの相違(PS17,PS22)、冷風装置の有無、更新、未更新、塗装(原色、更新色、新更新色)と、バラエティーに富んでいました。基本番台ではただ1両となった27号機は更新車ながらオリジナルの塗装をまとい、装飾帯の撤去も見送られています。

EF66100番台
裾に帯が入った2次車の1両、EF66116(吹)

 好調な需要の伸びに対応するため、機関車の増備が計画されましたが、開発に時間がかかるため、国鉄時代のEF66を基本にマイナーチェンジを行ったEF66100番台が登場しました。1990年の撮影ですが、この頃のコンテナ列車にはまだ国鉄時代の黄緑色のコンテナが目立ちます。

EF66初期型更新車
更新色になったEF66の1号機が先頭の重連貨物

 EF65に引き続き、EF66も更新工事が始まり、100番台に準じた更新色に塗り替えられました。しかし、前面形状の制約上、塗り分け線がまっすぐ通りません。また、EF66の特徴であった前面ナンバー回りとヘッドライトカバーを結ぶ飾り帯が撤去され、その痕跡が残る処理もちょっぴり残念です。

EF66新更新色
入院中、病室からアクセスした某画像掲示板で初めてこの塗装を見ました。

 EF66更新色の評判はよくないのでしょうか。2004年から新更新色が登場しました。更新色と言いながらもオリジナル塗装に近いものになっています。この54号機は新更新色第1号で、裾の帯がやや太めの白であることが特徴になっています。また、同機はJR西日本から購入された元ブルトレ牽引機ですが、おでこに弁当箱(冷風装置)が載せられ、貨物ガマらしくなりました。

(3)民営化後の新形式

1990年、待望の完全な新形式EL、EF200の試作機が完成しました。今後、列車の増発が難しいと考えられたことから、1600トン列車の運転によって輸送力増強を図る方針が採られ、EF66の1.5倍の出力のハイパワー仕様となりました。しかし、輸送需要が予想されたほど逼迫しなかったことや、旅客会社が貨物会社のための改修に消極的なこともあり、前提となる地上設備の整備が進みません。20両の量産機が登場しましたが、とうとう本領を発揮することなく2019年3月限りで全機が引退しました。

 輸送量の伸びはその後頭打ちとなり、1996年には主にEF65の置き換えを目的としたEF210がデビューしました。牽引力はEF66並とされ、EF200並の走行システムを用いれば4軸のD型で実現可能と思われましたが、ED500-901が試作に終わったように、信頼性の面で不安が残るようで、手堅くF型になりました。パンタグラフが下枠交差型に戻ったことも加わって、ハイパワー新鋭機のイメージからは一歩後退したような印象を受けます。

 需要の多い東京ー大阪の貨物輸送は在来のEL牽引による貨物列車では到達時間、コストの両面でトラック輸送の方が有利で、そのシェアはトラック輸送が優位に立っていました。しかし、地球温暖化防止のためのモーダルシフト政策にも後押しされ、鉄道輸送への移行を進めるにあたり、電車化によって到達時間の短縮が図られることになりました。2002年に貨物電車M250系の製造が開始され、試運転、習熟訓練の後、2004.3のダイヤ改正以降、東京(貨タ)−安治川口(USJの玄関口、ユニバーサルシティー駅のひとつ手前です)で1往復が運転されています。なお、列車の性格上、碧海エリアは上下とも深夜帯の通過です。

EF200-901
待望の完全な新形式EL、EF200の試作機

 EF200の試作機は試験に供された後、量産機と共通化改造を受け、量産機と区別されることなく使用されました。VVVFインバーター制御、後の車輌に大影響を与えたシングルアーム式パンタグラフ、1067mmゲージでは世界最大級と言われる6000kWの出力は新会社第1号として歴史に名を刻むものになったと思います。
 廃車後、日立製作所(水戸)で保存されました。

EF210-901
衣浦臨海鉄道碧南市発のフライアッシュ(石炭灰)列車を牽き大府を発車したEF210-901(岡)

 1996年に登場したEF210の量産先行試作機です。出力の数字はEF66を下回りますが、インバーター制御で粘着力が向上しており、同等の性能を有するものとして使用されます。EF66との運用持ち替えが行われることもあります。
 なお、この列車は大府以西の設定なので本来は対象外ですが、衣浦臨海鉄道からの継走列車であることから掲載しました。

スーパーレールカーゴ(SRC)
約3時間の遅れにより碧海エリアで撮影できたSRC

 東海道新幹線の開業前、夜間に貨物電車が運転される構想がありましたが、それから40年を経て、在来線で実現しました。東京(貨タ)−安治川口を途中2回の停車(乗務員交代のため)のみで駆け抜け、東海道線ではかつての151系「こだま」や現行のサンライズエクスプレスをも上回る最速列車になっています。

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