二〇〇八年十二月も二十四日になって、下関市長名で封書が届いた。表題は[「下関市動物愛護管理センター」における致死処分設備について]。
内容は、同市が来年度上記「センター」を開業予定であること、そこでの致死処分装置として吸入麻酔剤を使う画期的なものを導入すること、の案内であった。添付資料にはこの「センター」概要、吸入麻酔剤(セボフルラン)再利用システム概要、装置導入への取組み解説の三種。
おおまかにまとめてしまうと、セボフルランはヒトの外科手術に用いられるもので、動物に苦痛がない。そのため職員の精神的負担が軽減される。この麻酔剤は常温保存でき、危険性がない。また再利用可能なのでコストも抑えられ、地球温暖化物質回収装置(特許取得済み)により環境への配慮も満たされる。ついでながら、このリサイクルシステム設備工事費は約一億円(処分装置を除く)とのこと。
案内文はこのセンターへの支援をよろしくという文言(外交辞令?)で締めくくられていた。
さて、一見いい事ずくめの装置だが、殺すことに変りはない。当会としては「支援はできない」ことを明確にしておく。
そして付け足したいのは、殺される動物が装置に入れられるまでの恐怖や絶望を推量すれば、死ぬ過程が生物学的に安楽であろうと、容認できるものではないということである。動物たちのその瞬間以前の状況を、関る職員が無視できるのだろうか。その点では何も好転しないのではないか。
また、莫大な設備費にも驚く。一億円を超える設備と維持経費を「殺さない」活動に投入する方向へはいかないのか。特許取得などと書かれていると、利権がらみ?と邪推してしまう。(現行の炭酸ガス致死が安楽でないことも動機づけに挙げられていたが、多くの場合ガスの濃度や操作の未熟があると指摘されている。)
結局、殺す装置である。愛護団体ならばこれを推奨するとは口が裂けても言えない筈。推奨する団体があるとすれば、「紛い物」と自ら証明するようなものであろう。
まともな団体は殺さない活動の実践あるのみ、努力して、殺させなければよい、ただそれだけのことである。
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