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TOP mook 動物ジャーナル バックナンバー 動物ジャーナル97・『動物たちのためにできること 杉本等追悼集』

■ 動物ジャーナル97 2017 春

  紹介 『動物たちのためにできること 杉本等追悼集』

青島 啓子


『動物ジャーナル90』(2015夏)に「ありがとう グッドバイ さよなら マスター」を書いて下さった石川幸子さんが、杉本さん一周忌の後、このままではいけないと、追悼集刊行を企画なさいました。
 このほど、三回忌にあたる17年五月二十三日を刊行の日付として出来上り、先ずは寄稿その他の関係者に配られようで、私も頂戴いたしました。
 B5版百六十ページ、ずっしりと重く(試みに量りましたら430グラム)、重いのでテーブルに置いたまま、表紙のねこさんに促されるようにページを繰ると、杉本さんの大きな写真が次々に現れ、杉本さんにもう一度会えた!と思ったことです。
 目次の二ページ、レイアウトのうつくしいこと。五六年ごとに区切りが付けられて、要請書その他のタイトルが並びます。合間に友人知人の寄稿も置かれ、どんな方たち?と読んでゆくと、すでに偲ぶ会に出席した気分になりました。

 本論はもちろん杉本さんの書かれた文章です。要望、要請、抗議、質問、訴え。記憶が次々に甦り、熱気が思い起されます。読みふけって、ずいぶん時間が経ってしまいました。イラストのタッチも懐かしい…など呑気に眺めていて、ふと「文章だけでない。背後に様々な行動があった。相談の電話、抗議乃至説得の電話、のらさん捕獲にお出かけその他その他」と思い出し、ご多忙を想像すると気が遠くなりそうですが、[人生で大切なのは「余裕」と「ユーモア」](6ページ)が不意に現れて、やはり人生も達人の域にあるお方だったと納得しました。

 大量の文章は遺された中から厳選されたものとのこと。巻末の年譜「活動の記録」には、請願書からチラシ、取材された新聞までが網羅され、この本に掲載されたものはページが示されています。
 読みたければ直ぐ読める仕掛けはとてもありがたいもの。けれども掲載欄に示されるページは飛び飛びであったり何ページも空白であったり、その少なさが全体の大量であることを想像させます。
 これらの資料は散逸させてはならないと、つよく思いました。
 そして考えたのは──発行人石川さんは上田市のお方。上田市といえば「無言館」を思い浮べます。戦没画学生のように無言を余儀なくはされず、戦争、人権、死刑制度等々にも及んで「命」について充分発信なし得た人の「集積」を対置できないものか──ということでした。  
 もしそういう一部屋ができたら、それは「動物愛護の原点を考える」場所となるでしょう。資料も集り、若い人の勉強の場ともなるでしょう。……ここで、本書159ページ「未来につながる活動を」(09年)に引戻されます。右頁の杉本さんにじっと見つめられているような気がしました。
 重たい!と多少不満に感じながら最終ページにまで至りました。読後感は「重い…」でした。
 これだけ立派におまとめになった石川さんのご苦心を思います。杉本さんは「石川さんはゲーテの妹」とおっしゃってました。私は「ゲーテの妹って聞いたことあったな」くらいですが、杉本文書を支える働きをなさったと推量します。そしてこの御本が総仕上げであったかと。
 こういうふうに造りあげて下さった石川さんと令弟、関って下さった皆さまに深く感謝いたします。
 タイトルもすてきです。杉本さんの業績を振返るのだけでなく、「動物たちのために“これからも”できること」!と、呼びかけられているようです。それを私どもは大切に受け止め、大いに活用もするつもりでおります。どうもありがとうございました。 
(あおしま けいこ・『動物ジャーナル』編集人)

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