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TOP mook 動物ジャーナル バックナンバー 動物ジャーナル83・「隠岐の島の猫が殺されている」について

■ 動物ジャーナル83 2013 

  「隠岐の島の猫が殺されている」について

動物虐待防止会



 島根県隠岐郡海士町で十年以上前から「海士町猫の不妊手術の会」が献身的に活動されていることは、何度かご報告しました。
 無医村であるため、獣医師を招くのにはそれなりの費用がかかるのですが、交通費を海士町が負担すると決定されたのも目覚しい出来事で、それを知らされた時の興奮を今でもあざやかに思い出します。
 毎年何度かのキャンペーンがあり、今では行政に引取られるのは皆無とうかがっています。
 この活動を牽引する頼もしい方は、松田順子さん。折々お電話でもおしゃべりしていますが、十月末に少々暗い声の電話をいただきました。内容は、隠岐郡四町村の或る所で、捕獲器で猫をつかまえて殺しているらしい。なんとかやめさせるよう、行政へ要望書を出してほしい、とのことでした。
 それから作業にかかり、提出先は県知事にすると決め、十一月十八日付でファクシミリ送信(19日朝)。回答期限26日を無理と連絡もあり、十二月十一日付の回答を得ました。
 次ページ以降に、当会の文書及び島根県からの回答書を掲載いたします。



 島根県知事 溝口 善兵衛 様

動物虐待防止会  代表 青島 啓子

「隠岐の島の猫が殺されている」件について(照会)

呈上 私たちは動物につらい思いをさせなよう希って活動するボランティアグループです。
先ごろ 貴県隠岐郡海士町・隠岐海士町不妊手術の会 松田順子氏から、次のような情報がもたらされました。それは、 
  隠岐の島の或る地域では、町議会議員が所有者不明の猫を捕獲器で捕獲し処分
  している。
  行政へ持込んでいるのか、独自勝手な方法で殺害しているのかは不明。
  使用する捕獲器は、以前行政が所有していたものらしい。

というものでした。

当会はこれを無視できない事として、事実確認を含め、二三お訊ねいたします。
1)このような事実があるのかどうか。どの地域で起っていることか。
2)事実であった場合、貴 行政府はどう対処されるか。
3)貴県では過去に、行政が捕獲器を貸し出し、捕獲を許していたが、2005年動物実験の
  廃止を求める会(JAVA)の要請により、これを取り止め捕獲器を回収したと聞いてい
  る。当時の捕獲器所有数と回収数を知らせていただきたい(残存捕獲器が未だに使用さ
  れているかもしれないめ)。

当会がこれを「無視できない事」と考える理由は以下の通りです。
ご承知の通り「動物の愛護及び管理に関する法律」において猫は愛護動物とされて
おり、行政は所有者以外からの引取りはこれをしてはならないことになっています
捕えた猫を行政に持込んだ場合、どういう方法で所有者確認をしているのか。或い
は捕獲者が勝手に殺害しているのならば、行政はそれを放置・黙認しているのか。
いずれにしても、法の精神に照らして由々しき問題となりましょう。
また、捕獲器の回収が完全ではなかった(意図的か否かは知らず)とすれば、
JAVAの要請を疎かにしたことになり、別の問題に発展します。

そもそも「猫の被害」があるために、捕獲という短絡的な非常手段がとられるもの
と思われ、「猫の被害」を受ける住民の迷惑は理解しますが、違法の「駆除」が許されるものではなく、根本的な解決策が探られるべきでありましょう。その努力がなされていないために、無益の殺生が横行していると想像されます。
何故猫がそのように存在するかを地域全体で考え対処しなければ、問題は解決しません。
幸い過去に、前述海士町不妊手術の会の努力により海士町において不妊手術が実行され、今は犬猫の引取りは皆無という成果をおさめています。
この方法を参考にされ、各地域で繁殖制限が行われるようになれば、離島という好条件ゆえに、短期間におぞましい手段は根絶できると愚考いたします。僭越ながら上記のように考えましたので、ご一考いただけましたら幸いに存じます。

隠岐諸島は先ごろ世界ジオパークに認定されました由、その要件とされる「人の営み=文化」が古代からの守旧的なもののみでなく、新しい取組みが「大地の公園」に寄与するとなれば、賞賛の声の大きさは計り知れないと考えます。

「照会」に加えご提案まで記してしまいましたが、意のあるところをお酌みいただき、11月26日までにご回答下さるようお願いいたします。
なお、ご回答の有無を含め、応答を当会ホームページ及び当会編集の『動物ジャーナル』に掲載しますこと、お含みおき下さい。
また、念のためこの文書を隠岐郡4町村にも送付することにいたしましたので、申し添えます。   
                                 以上   
 
     動物虐待防止会  156-0052 東京都世田谷区経堂1-37-10-305

電話 03-3425-2900
電子メール gpca@cool.email.ne.jp
          ホームページ http://www.ne.jp/asahi/gpca/tokyo/



平成25年12月11日

動物虐待防止会 代表 青島啓子 様
島根県健康福祉部薬事衛生課長

平成25年11月18日付けで照会のあったことについて、下記のとおり回答します。

1)住民が行政の捕獲器で猫を捕獲し殺処分していることについて

ご指摘をいただきました件については、管轄の保健所が関係者からの聞き取りを行ったところです。関係者の話によると、合鴨農法に使用する合鴨の被害防止のため、捕獲した野良猫を捕獲場所から5km離れた他の場所へ放したと聞いております。
関係者から捕獲した猫の保健所への引取り申請はありませんでした。

2)県の対応について

今般調査した関係者は、合鴨農法に使用する合鴨が猫による被害を受けており、猫による被害を避けるため猫を捕獲し別の場所へ放したと聞いております。猫の処分を目的とする捕獲ではなく、放した先は猫にとって生命活動が困難な場所ではないと聞いており、動物愛護管理法によるみだりな虐待や遺棄には該当しないと管轄の保健所では判断しています。しかし、同保健所では、飼い猫を捕獲する可能性もあることから、関係者に対し、捕獲器による捕獲を中止し、忌避剤やガーデンバリアの利用など、捕獲以外の方法で防除するよう指導したところです。

3)2005 年当時の猫の捕獲器所有数と回収漏れについて

県では猫の捕獲器は保有しておりません。
市町村の猫の捕獲器の保有数や回収数については、お問い合わせがあったことから、県内の市町村に照会し確認したところです。
2005 年当時、県内の市町村で合計46台の猫の捕獲器を保有し、住民に貸し出しを行っていました。2005 年6月以降、市町村での猫の捕獲器の貸し出しを一斉に中止し、貸し出していた捕獲器については速やかに回収したところです。
今回、1自治体で1台の回収漏れが発覚し、本年10月30日に回収されたところです。この自治体でさらに詳細な調査を実施したところ、廃棄した2台について書類上の確認がとれていないことから、引き続き過去の書類等を精査する旨、回答をいただいております。
他の自治体においては、回収漏れはありませんでした。

現在、本県では動物愛護ボランティアなどと協働し、収容動物の譲渡や適正飼養講習会の開催などの普及啓発、ボランティア、市町村、住民などと地域猫活動への取組みも行っております。処分される命を少しでも減らし、処分によらない解決方法について引き続き住民や市町村と協力しながら取り組んでまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いします。



 常々行政等へ問合せ事項のメールを送る時「返事はあとでも、取りあえず受信した旨はお知らせ下さい」としていますので、このファクシミリもそれに準じました。
 その返信に「日限は猶予を」とあり、「しばらくお待ちします」と返し、一度「いつごろ?」と尋ね、「準備中」との連絡の直後に回答着信。
 着信御礼は常識と聞きますから、次の文章を送りました。
 以上、ご報告いたします


拝復 ご回答を ありがとうございました。

これからゆっくり拝見しますが、大変なお手間をかけていただき、感謝いたします。
発端は、海士町の松田順子さんの得られた情報でした。
この方の郷土愛の大きさ、動植物への愛情の深さに、私どもはつよく共感し、十年に及ぶ猫や犬の不妊手術普及活動をずっと尊敬しております。
この度の照会が、そして 貴県庁の今後の施策が、ゆくゆくはこの国全体に行われるものとなりますよう、今は欲張ってのぞんでおります。
余計なことに及びましたが、とりいそぎ 御礼まで。 かしこ
 (発信者名省略)