[はしがき]
先回『動物ジャーナル47』末尾頁に動物虐待防止会報告として、東大阪市の石切神社境内に住む猫の件につき質問状を出したことをお伝えしました。
11月末現在、まだ情況はおちついていませんが、9月以来の書簡の往復をここに公表することにしました。理由は、単に石切神社一個の問題ではなく、普遍に存在するものであるからです。慎重を期して好転を図りたいと考えています。
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二〇〇四年八月三十日
石切劔箭神社宮主 木積 様
認定NPO法人カイアニマルトラスト 代表 甲斐 尚子(大阪府)
(中略)
動物虐待防止会 代表 青島 啓子(東京都)
貴社境内に居住する猫たちについて
呈上 突然ながら上記の件につきお伺いしたいことがあり、一筆さし上げます。
実はしばらく前より貴社周辺住民の方々から、境内居住の猫が姿を消す、又は自分の家の飼猫が遊びに行って帰ってこない等のことがあり、管理する人々が捕獲して府民センターへ送っている、あるいは毒殺している等の噂があることが伝えられました。
私どもは「動物の愛護及び管理に関する法律」その他、法令・条例によることはもちろん、ひろく生命あるものを慈しみ、尊重すべきものと考えて日々活動しておりますが、この度上記の現象を、もし真実であるならば放置できぬことと考え、次の点についてお答えをいただきたいと思います。
(1)貴社のお指図によって猫を排除しておられることは事実でしょうか。
(2)境内ではかなり長年月にわたって猫への給食・不妊手術を実施なさる人が複数存在し、その人々は貴社了解の上とされていますが、貴社の認識はいかがでしょうか。
(3)一ヵ月ほど前、貴社警備担当者から、九月から猫の積極的排除を実行すると告げられた、と、猫たちに食事を与えている人々から聞きましたが、これは事実でしょうか。
上記三点、早急に文書にてご回答下さいますようお願いいたします。
私どもはこのようなことが聖なる空間において行われている、又は行われようとしているとは信じ難く、事実であれば、信仰をもって貴社に参詣する方々を裏切る行為であろうと危惧します。生類を憐れむ神仏に背かぬご配慮を期待し、お返事をお待ちしております。
要用のみにて
〔回答送付先〕動物虐待防止会 (住所略)
http://www.ne.jp/asahi/gpca/tokyo/
追伸 ご回答は九月十日までに文書で頂戴したく存じます。 以上
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二〇〇四年九月三日
石切劔箭神社宮主 木積 様
前略 先だって八月三十日付で、貴社境内に住むねこに関するおうかがい状をさし上げま
したが、この件に関心を持つ動物愛護団体が次々に連名を申し出られましたので、以下に記し
ます。
(団体名省略)
以上七団体です。
関心の強さをご理解の上、まちがいなくご回答を下さいますよう重ねてお願いいたします。
草 々
動物虐待防止会代表 青島啓子
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平成16年 9月11日
認定NPO法人カイアニマルトラスト 代表 甲斐 尚子 様
(中略)
動物虐待防止会 代表 青島 啓子 様
境内の猫に関する質問について
先般貴会から寄せられました質問についてお答えします。
当神社境内に猫がいるのは事実でありますが、ご質問のありました項目で猫を虐待している等の事実関係につきましては当神社事務局としましては認識しておらず、又神に御仕えする立場からも該当する様な事実はあり得ない事ですのでその旨ご回答いたします。
尚、猫の問題につきましては当神社としましても従前より大変苦慮しており、近隣の愛猫家の方々に引き取りを依頼しているところですが、現状はあまり進展していません。
この度、当神社境内の猫問題に関心をもって頂きましたので是非動物愛護に精通されました貴会で引き取って頂きたくお願い致します。
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認定NPO法人カイアニマルトラスト 代表 甲斐尚子(代表団体)
動物虐待防止会 代表 青島啓子(連絡窓口)
貴社境内の猫に関する回答について
先般私どもの質問状に対し、九月十一日付事務局作成の回答書が速達便にて九月十四日に到着しました。内容は以下の三点にまとめられると思いますが、ご確認下さい。
(1)境内住の猫を虐待している等の事実は認識していない。
(2)神に仕える立場からもそのような事実はあり得ない。
(3)境内の猫には苦慮している。近隣愛猫家に引取りを依頼しているが進展はない。
この上で、私どもへ猫の引取りを要望されました。
これにつき、動物愛護問題・猫問題に“精通”している私どもとしては、現状確認、“従前より”の状況理解、今後の方策等に関して、貴社とのお話し合いが必要と考えます。場所は貴社境内又は近辺で結構です。
具体的日時の設定をご相談したく、第一案、第二案として日程を記しますのでご返事下さい。
時刻はご指定に任せます。
記
第一案 二〇〇四年十月四日(月)
第二案 同十月八日(金) 以上
回答連絡先 動物虐待防止会
ファクシミリ03―3425―9698
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平成16年 9月30日
動物虐待防止会 代表 青島 啓子 様
石切劔箭神社事務局
ご返事
9/11付当事務局作成時の回答におきまして「現状はあまり進展していません。」との内容をお送り致しましたが、その後、近隣愛猫家の方々の努力がありまして、かなりの数が減少致しました。現況では、ほとんど気にならない程度までになりましたので、愛護団体様等のお手を煩わす事なく又ご懸念頂かなくてもよい状態になりました。今回、当神社として近隣住民の方々のお力を借りるという良い方法を学びましたので、ご配慮頂いているお話合いは不要なものと判断していますことをご返事申し上げます。
今後、従来のように当方だけでは対応不可能となるような事態になれば、その時又ご相談申し
上げたく思っている次第です。この度は色々とお手を煩わす事になり大変申し訳なく思っていますと共にご配慮にも感謝致しております。誠に有難う御座いました。
今後の皆々様の益々のご活躍をご祈念いたしております。 以上
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認定NPO法人カイアニマルトラスト 代表 甲斐尚子(代表団体)
動物虐待防止会 代表 青島啓子(連絡窓口)
貴社境内住の猫について(再び)
前略
過日は丁重な「ご返事」(九月三十日付)をありがとうござました。近隣の方により数が減少、お話合い不要とのこと、承りました。
実は私どもはお話合いに向け、手分けして貴社及び周辺の状況を把握しつつありました。そしてその状況は、猫にもヒトにも芳しいものではないと判断しております。
具体的には、貴社ご依頼の警備会社の”横暴“が第一に挙げられます。貴社が「あり得ない」とされる事柄も現実に見聞する人多く、貴社の威令が行われていないと思わざるを得ません。もし警備会社が暴走すれば、一挙捕獲・処分もと懸念されます。これは「動物の愛護及び管理に関する法律」に違反することになります。
このような状況はご存じないかと思い、一応記しました。
お手紙によりますと、猫が目立たない程度なら許容されるように理解できますが、「その程度の数」を増加させないためには、不妊手術と今後境内に捨てさせない対策とが必要です。
その上で、現在の猫たちが安穏に食住を確保し――つまり貴社が居住を許し、食事を与える人(ボランティア)を積極的に活用して――享けた命を全うできるようになれば、参詣者に対する別種の癒しにもなり、ご神徳も高められることでしょう。
一旦かかわりかけた立場から、今後の安心を得たく、以上書きしるしました。なお、不妊手術の実行、給食ボランティアと貴社との”お約束“とりきめなどに関し、お手伝いできることはいたしますのでお知らせ下さい。
P.S. 動物虐待防止会より――当会編集『動物ジャーナル47』に、この件に関する文章を「活動報告」として載せましたのでお目にかけます。近日ホームページにもアップする予定です。 (青島)
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