PCオーディオ編


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5.ゴンザエモンのPCオーディオ実践  (2011年7月より VoyageMPD の環境に移行しました)

いろいろと試行錯誤の上でたどりついたPCオーディオ環境を纏めてみようと思う。

(追加記載の日付と内容)
2011年2月19日追記 ハードウエア構成とオーディオインターフェース 無線LAN経由NAS実験
2011年4月 2日追記 DACとクロックジェネレータ DACの交換とクロックジェネレータ導入
2011年5月 7日追記 ハードウエア構成とオーディオインターフェース NAS環境への移行

(参考)PC Audioを含むデジタルセクションの全体構成図(2011年3月25日現在)
Digital Section Diagram

(1)PCのケース
まずは物理的なところとして、PCのケースであるが、オーディオラックに収めて、他の機器との違和感があると、視覚的にもちょっと問題となるので、いろいろと探した結果、3R SYSTEMのHT1000というケースにたどりついた。このケースは前面がアルミパネルとなっており、DISCトレイの部分や電源スイッチなどの造作もパソコンぽくないところが気に入った。色はシルバーであるが、他の機器と並べる関係から、シャンペンゴールド(アンプ類がAccuphaseがメインなのでそれらとの色のマッチングから)が本当は欲しかったが手に入らず。PCオーディオ用のケースとしては、もう少しデザイン的にも考慮されたものが望ましいと、オーディオ感覚的には思うのであるが、意外とこれはという製品がない。最近でもおおっ、と云うようなデザインは見かけない。まあ、これは個人の好みの問題かもしれないし、あまりコストを掛けてしまったら販売にも限りがあるであろうことから、商売にならないのかもしれない。一部にはPCオーディオ専用として、ものすごく高価なパソコンを販売している例もあるが、これはこれで行き過ぎかな、と思ってしまう。

3R HT-1000
3R HT-1000

(2)ハードウエア構成とオーディオインターフェース
その他のハードウエア部分であるが、CPUはAMDのDUAL CORE、マザーボードはMicro ATXとそれ程高スペックのパーツは使用していない。起動DISKはSSDとしている。楽曲ファイルについては、現在3.5インチの内蔵ハードディスクを使用しているが、複数台のPCがある環境なので、何とか共有・一元化したいと考えている。具体的な対応はNAS環境の構築であり、これに移行した場合に音質がどう変化するか実験中である。PCの静音化ならびに放熱対策からもNAS化が望ましいのであるが、設置環境上PC本体から有線LANでNASへ接続させることが難しく、無線LANでの接続となるため、安定性や音質の面で一抹の不安がある。このため、無線LAN環境を11n、300MB対応にリニューアルした。結果が良好であれば、無線LANベースのNASに切り替える予定である。

(2011年2月19日追記) 無線LAN経由のNASの実験
一元管理のために楽曲ファイルを無線LAN経由のNASに置くことを目指しているが、実験は現在のところ成功していない。24bit/96KHzのFLACファイルの場合は再生が安定せず、稀にであるが音切れが発生する。これでは音質以前の問題となってしまう。設定を変えたりしながらトライしたが、完全に満足できる状態にはない。16bit/44.1KHzのFLACファイルの場合はこの事象は全く発生しないので、当然ながら無線LAN上のデータ量が影響していると考えられる。16bit/44.1KHzの場合の音質はぱっと聴きには差があるようには感じられなかったが、じっくりと比較すると、わずかに透明感が後退しているように思える。NAS化による楽曲ファイルの共通データベース化は6個ものOSが混在、稼動している当方のPC環境では必然とも考えているのであるが、やはり無線LAN経由の再生は音質の観点からは難しいのであろうか。今後PCオーディオからNASを核としたネットワークオーディオへの進化が自然な流れと考えているが、その場合有線が前提となってしまうのは環境的にちょっと厳しいものがある。LINN DS等を使用している諸氏は皆有線LAN接続なのか、あるいは無線LANにトライして一定の成果を得ている方がおられるのであろうか。かなり気になる点である。当方の場合は利便性を犠牲にしても、現時点では再生専用のPCに直付けハードディスクという構成がベターと考えている。
(2011年2月19日追記終り)

(2011年5月 7日追記) 無線LAN経由のNASへの移行
16bit/44.1KHzのFLACファイルを中心に無線LAN経由のNASへ楽曲ファイルを移行した。当初よりNAS化に際して無線LANで対応することには不安があり、24bit/96KHzの再生においては未だ完全には満足できていないが、16bit/44.1KHzのFLACファイルあるいはMP3ファイルであれば問題ないと判断して(かなりしつこく比較した結果)環境変更を行った。これによりやっと楽曲ファイルを一元管理できることとなった。各PCからはネットワークドライブ(Z:)として割り当てたDISK上の音楽フォルダーにアクセスさせている。なお、プレイリスト(やCUEファイル)もNAS上で共有しているため、どのPCからでも同一の再生環境となり、従来とても面倒であったメインシステムとサブシステムでの楽曲ファイルやプレイリストの手作業による同期が不要となった。
詳細はこちらに
(2011年5月 7日追記終り)

その他、当初はファンレスのグラボを搭載していたが、そもそもモニターディスプレーを使用しない(操作はiPod Touchから行う)ため、不要なので外してしまった。なお、静音化には徹底的にこだわりたいところであるが、やはり完全なファンレスによる無音化が出来ておらず、これは次のチャレンジ目標としている。デジタル出力の取り出しは、PCIカードタイプ(ONKYO SE200PCI)で行っている。昨今はUSB DACやUSB DDCが流行っているのが、専用のDACを使用する前提なので24bit/96KHzのデジタル出力が出来れば良い、という感覚にて選んでいる。PCIカードにはRMEやLYNXというプロ用のカードがあり、いずれはこちらに移行(高価なので躊躇している)するか、外付けのインターフェース(FIREWIREは選択肢が少なく、今後はやはりUSBがメインか)とするかやや思案しているところである。

ONKYO SE-200PCIカード
ONKYO SE-200PCI

(3)ソフトウエア環境(OSと再生ソフトウエア)
OSについては、WindowsXP(SP2)を使用しており、Windows Update等は一切停止させている。同様に不要なサービスは極力停止、アプリケーションの導入も最小限としている。これにより、OS起動時は200MB程度のメモリしか使用しないし、ソフトウエアによるアップサンプリングの実施(通常は使用していないが)に於いても、音切れや音質の劣化、再生の不安定さは発生しないところまで漕ぎ着けている。
再生ソフトウエアは、Winamp + ASIO4ALL + Ozone MP と云う構成がメイン。サブにはcPlayを使用している。PCオーディオはやはりミュージックサーバー宜しく、BGM的にランダムに再生させるところにお気楽さがあり、この点からはcPlayは音はかなり良いと思うのであるが、使い勝手の難点が残る。Winampはかなりメジャーや再生ソフトウエアであるので、いろいろなPlug-inが楽しめるところがまた良いと思う。Ozone MPというDSP Plug-inは真空管サウンドをシミュレートでき、音も秀逸(有料であるが)であるため、かなり遊べるDSPモジュールだとと思う。

Ozone MPの操作画面
Ozone MP

(4)サンプリングレートコンバータとデジタルイコライザ
PCからのデジタル出力は16bit/44.1KHzまたは24bit/96KHzのソースのまま取り出し、DDC(Behringer SRC2496)にてアップサンプリングとジッターの低減を行わせている。PCにてアップサンプリングを行わせる方法もあるが、安定性を考えて敢えて外部のDDCを使用している。また、アップサンプリングと共に量子化ビット数を24bitへ拡大し、デジタルイコライザ(Behringer DEQ2496)へ送り込んでいる。デジタルイコライジングをする場合、16bit/44.1KHzの信号で行う場合と、24bit/96KHzで行う場合は明らかな差があり、ハイビット、ハイサンプリングのデジタルデータで行うことが推奨される。

Behringer DEQ2496(上) & SRC2496(下)
Behringer DEQ2496 & SRC2496

(5)DACとクロックジェネレータ
最終的な音楽に設えるのは、DACの役割である。デジタルオーディオで一番重要なデバイスと言えるかもしれない。デジタルレベルでどんなに気を使っても、最後はアナログ信号にしてプリアンプに送り込まねばならない。当方は以前はAccuphase DC-91という稀代の名機とも云うべきDACを使用していたが、PCオーディオの実践に際して、16bit/44.1KHz、48KHzしかハンドリングできないことに限界感じ、DACの変更を行った。いろいろな検討を行ったが、なかなかこれは、というDACにはめぐり合えず、かねてより興味を持っていたAK4399というAKM(旭化成エレクトロニクス)製32bit DACを片チャネルで2個、左右で4個使用するEM-DAC 4399Q2という機器を、当方としては極めて稀なことであるが、「音を聴かずに」購入した。DACの基盤等を設計しているEMISUKEさん製作による完成品である。時に直感、と言うものが大事であると思うが、正にこの直感が正しかったと音楽を聴くたびに思う。なお、AK4399というチップはESOTERICのK-01、K-03という新しいCDプレーヤにも搭載されているが、その実力はやはり素晴らしいものがある。

EMISUKE EM-DAC 4399Q2
EM-DAC 4399Q2

(2011年4月2日追記) DACの交換とクロックジェネレータ導入
EM-DAC 4399Q2の音の良さに欲が出てしまい、EM-DAC 4399 Octに変更を決意。合わせてクロックジェネレータの導入にも踏み切った。EM-DAC 4399Q2は音の自然さが我が家のシステムや当方の好みとマッチングして素晴らしいものであったが、EM-DAC 4399 Octは音の充実感・実在感や演奏空間の広さ、高さをリアリティを持って感じさせてくれるところにさらに磨きがかかっており、今の自分にとっては正に究極のDACであると感じている。(なお、機会があれば本機と同様のAK4399 X 8のチップ構成であるESOTERIC K-01と勝負をさせてみたいと密かに考えている)
また、OCXからのクロック供給で各種デジタル機器を同期させることは、魔法のスパイスの一振りのような効果をもたらし、音楽の味付けを整えてくれることに繋がっており、これも手放せない機器となった。これらの機器構成で聴くモーツアルトは天上の調べであり、ただ黙って頭を垂れるのみである。 

EMISUKE EM-DAC 4399 Oct(下) & Antelope Isochrone OCX(上)
Antelope Isochroe OCX & EM-DAC 4399 OCt
(2011年4月2日追記終り)

(6)PCオーディオのコントロール
さて、そのPCオーディをコントールするやり方であるが、iPod Touchをリモコンとして使用している。ソフトウエアはWmoteというWinamp専用のものであるが、この便利さはこの上ない。まさに、リモコン感覚でコントロール可能。単なる再生の開始、終了だけでは無く、プレイリストの選択、はたまた音楽ファイルの検索までできるし、最後にPCのシャットダウンまでリモコンで出来てしまう。これはもはや手放せない。これがあれば、PCのディスプレーモニターは不要であるし、リモートデスクトップで入り込んでの操作も不要。何とも極上のPCオーディオ再生環境が整う。昨今はLINN DSを始めとするネットオーディオ機器もiPod Touch、iPhone、iPad等からの操作が主流になりつつあるが、これもまた当然と考える次第である。

下記はiPod Touch上の画面であるが、左側がメインの操作パネル。再生中の曲目以外にも選択されているプレイリストの楽曲が表示される。また右側は音楽ファイルのフォルダーを表示している画面。ファイルを直接フォルダーから検索し、再生することもできる。

Wmote Disiplay1 Wmote Display2

(7)今まで、そしてこれから
パソコンで音楽を再生する、というスタイルであるが、当方の場合は思い返せば、もう10年位前になるか、インターネットラジオで音の悪さは我慢しつつ、パソコン操作時にBGM的に聴き始めたことだった様に記憶している。当時のインターネットラジオは64Kから良くて128KのMP3音源であったし、パソコンのオンボード出力を使用していたので、まあ音が出ている、というに過ぎなかった。それでも、いろいろな可能性は感じられたし、iPodを購入してから、デジタルの音楽ファイルに対する当方の考え方も大きく変わった。その延長でとにかく良い音の可能性を追求してきたが、結果として当方のオーディオ道探求において、音源として、あるいは再生装置の一部として、最早PCオーディオ無しには、そもそもオーディオが語れなくなってしまった。今や24bit/96KHzあるいはそれ以上の音源がインターネットで手に入る時代となり、過去には考えられなかったような高音質のデジタルソースも楽しめるようになった。振り返ってみればいろいろな試行錯誤もあり、またそのためにかなりの時間もお金も使ってきたが、ここまでたどり着いたその結果を「良し」としよう。

なお、この先まだまだ可能性を秘めていると思うが、汎用的なパソコンを再生用に使う、というスタイルから、専用機化(LINN DSなどがその例であるし、YAMAHAからもMARANZからもこの手の機器が販売され始めた)に向かって行くのでは、と想像している。もちろんファイルの管理やリッピング等はパソコンがやはりメインとなるとは思うが、再生だけを考えれば、そこそこ管理が必要であったり、多少なりとも起動の時間がかかること、静音化も考慮しなければならないなど、パソコンのデメリットも無い訳ではない。もしかしたら、PCオーディオと言うのは、ある一過性の産物であり、いずれデジタルオーディオ再生専用機とiPod TouchやiPadのような超汎用的な機器によるリモコン、というスタイルに行き着いてしまうのではないだろうか。もちろん、どういう形に進化して行くにせよ、さらにいろいろな楽しみ方が出来るのでは、と大いに期待している。

記載ソフトウエア等のリンクはこちら


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