オーディオ日記 第60章 音楽に抱かれて眠りたい(その5)2025年10月17日


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深き感動を求めて:

我がオーディオの音を先に 紹介 したような「至高」というレベルにまで高めるには更にどのような施策があるのかあれこれと思案している。だが、簡単な解などそうそうあるはずも無いので、むしろ不足と思う事柄に手当てしこれを補うことを考えて見た。そのためには、見栄など張らず赤裸々に自分のシステムの欠点を洗い出してこれを凝視しなければならない。自分のシステムの音を冷静、かつ客観的に、更に批判的な目をもって検分できれば良いのだが、これは現実としてなかなか難しい。達人レベルのオーディオファイルから的確な指摘をいただくことも極めて重要なことだと思う。だが、そこには大人の世界の事情というものもあって、本来は厳しい内容であるはずの指摘も余程のことが無い限り「やんわり」とした表現になってしまうので、こちらが正しい理解ができず受け止め損ねていることも多々あると思う。

指摘を受けるということはそれが的確であっても赤裸々過ぎれば人情としては「わかっちゃいるけど余計なお世話」という部分も顔を出すだろうし、そもそも批評されることを好まないという人間の特質も自分では意識はせずともここには隠されている。それ故に難しく微妙なものもある。だが、改善すべき点から目をそらしていては高みへと向けた積み上げを行っていくことはできない。そう考えるのが王道だろうと信じている。

Yarigatake

自分のこととなるとどうしても甘くなってしまうのが人間の常であるけれど、試行的に棚卸しとしてマイナスポイントを数え上げてみた。まず第一に挙げられるのは音楽としての熱量の提示が不足していること。音の厚み、という表現でも良いかもしれない。あるいは声の帯域では実体感の不足という感じか。また。爆発的な音量にも揺るぎない強靭さとそれでいてそよ風の如くという再生が求められる。第二として漂うようなエーテル感の不足。たなびくような、ささやくような弦の表現とかホールの空気感とか。この辺りがもう一段欲しいし、漆黒のような静寂さと冷たく透き通る高域の表現はまだまだ不足である。第三には艶とか色気という表現で表すことの多いエモーショナルな部分。官能表現と呼んでも良いかもしれない。思わす胸が締め付けられるような、ほのかな恋心さえ生まれてしまうような、、、こういう音楽表現がもっと加味されていなければならない。

これを逆の観点から、あるいは相反する項目との対比で考えてみることも必要だろうと思う。第一の点は低域の膨満感や声の圧迫感などを伴ってはいけない。大音量で硬質化するのも全くご法度である。第二については、高域の強調感やひりつくような感じ、ささくれなどがあってはならないし、賑やかになったり煩くなるようなことは論外。また、高域過多になることによってバランスが狂い自然さを失うこともあってはならない。第三の点は楽器の質感そのものが演出されてはならないし、余分な音が付加されても、必要な音が欠落してもいけない。あるがまま、かつ多彩な音色でなけばならない。そして音楽として音源に合わせて千変万化する表現力。

総合的な観点として見れば、欠点あるいは不足事項を補うことが狙いであっても、その反面となってしまうような部分が却って表出し、結果として質を落とすものなってはいけないので、このことも念頭に入れておくことが重要だと思う。

このような単純には解決仕切れないほどの音をあえて具現化するとしたら、これは完璧さよりも「微妙な匙加減」なんだろうか、、、と頭では考えてみるのだが、単純な連立方程式とはならないのでこれを満たすような解をどのようにして得るのか、その道筋は容易には見つけられない。結局は「聴いてなんぼ」の話となるので、言葉の遊びをしているだけでなく何らかの前進をさせねば堂々巡りとなってしまう。

このアプローチを実践し、音として実現させなければならない訳だ。機器構成や環境面ではずっと自分なりにブラッシュアップし固めてきたものなので、これをベースに4wayのスピーカーユニットの設定にて解を出さねばならない。今まで求めてきたものが全方位の端正な音とすれば、自分なりの新目標として目指すのは、深き感動に至る音、という超絶ハードルだろうか。云うなれば「No Excuseの音」である。

4way構成の微妙なクロスオーバー周波数の設定や各帯域のレベル調整をここに至るまでずっと続けてきたけれど、ここへ来て現状としてこれ以上はもう無いかも、という設定にどうにか辿り着いたので、これを「最終形」とした(この設定内容は末尾に表として記載)。

もちろん、目標を完全クリアーなどとは決して思えないのだが、呻吟した上で繊細な透明感、高域の自然さを保ったまま音楽の熱量を僅かながらでも上げることができたのではないか、と(贔屓目には)思量する。自分なりのポイントを整理すれば低域と中低域のクロスオーバー周波数の設定で音の厚みが変わるのだが、特に中低域ユニットの能力にマッチさせた絶妙のクロスオーバー周波数に落とし込まねばならない。ここは中高域、高域のクロスオーバー周波数の設定に比せばかなりクリティカルなところだと思っている。

我が家の中低域を担当しているユニットは所謂ロクハン級(6.5インチ)であり、バッフル面積も小さいことから充分なバッフル効果が出せていないという面もあるので、低域ユニット(15インチ)の量感との棲み分けが重要なんだろうと当たりをつけここを重点的に見直してきた。従来180Hzのクロスオーバー周波数を使ってきたのだが、再度試行錯誤しつつ今般の調整で235Hzという微妙な値に落ち着いた。中高域と高域のクロスオーバーについては敢えて弄らずとも、と考えてみたのだが、ここも理想を追って4450Hz/4700Hzという値に変えた(これまでは4700Hz/5000Hz)。ここは僅かに下げたことになる。それでも2wayや3wayの一般的なクロスオーバーに比せばツィータのレンジとしては高い数値だと思う。

Bartolomé Esteban Murillo:「Immacolata Concezione」

Muse

モーツアルト、パガニーニ、ボッケリーニなどの弦楽曲がどのように聴こえるか。ここに至福の音楽は提示されるか。オーケストラのパッションは充分に感じられるか。女性ボーカルは声だけでも恋してしまうほどに魅力的か。この設定に至って連日聴き続けているが(自己満足的に云えばだが)違和感は無い。クラシック系音楽以外にも充分対応できる設定になったかも、と感じている。ただ、完璧か、と問われれば答えには詰まる。つまり未だ先があることは自分でも否定できないものだ。

この上で、次なる課題は「完璧なるサウンドステージ」の出現である。これは更に難しくもあろう。現行のユニット構成でこの点に関して納得のポイントに至れるのかあまり自信はないのだが、ここも越えていなけばならないと思う。場合によっては新しい次元のアプローチを開始しなければならないかもしれない、そういう選択肢も頭をよぎる。遠回りでもそれが必要なのか、あるいは今までの道を先へと進むべきか、新たな悩みも生まれ来ている。




          最終形の4way設定値(Bliesma M74B構成:Memory3) / 2025年10月16日
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- SONY
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
Bliesma
M74B
Scan Speak
D2908
-
能率
(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-75の
出力設定
dB +0.5 +0.7/+1.2 -0.5 +1.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -0.0 -0.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプ
GAIN
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
想定合成
出力レベル
dB 88.5 87.2/87.7 84.5 81.5
(計算上の
出力レベル)
クロスオーバー
周波数
Hz
235
235

470
570

4450
4700

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-12 12-24 24-flat
DF-75 DELAY
設定
cm -23.0 +21.0 +16.0 +11.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Rev Rev  
DF-75 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-75デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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