オーディオ日記 第58章 遥かなり夢追う日々(その1)2024年 9月 6日


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音を進化させたい(総括):

デジチャンリニューアルを契機として「音を進化させたい」という目標を標榜し普段あまりやっていないことなども含めてあれこれと足掻いてきた。ひとつひとつはそれなりに効果もあったとは思うが、それぞれがストライクゾーンには収まるもののトータル的にはど真ん中に決まったという感触には到達できないところもあった。

個々にベターと思われるものは再認識できたので、総合的かつ普遍的に「これだ!」というところまではどうしても行き着きたく、多少のもどかしさを感じることもあったが地道に取り組んでみた。

このところの対応内容について時間軸でたどれば、概ね以下となろうか。
1.ターゲットカーブをより明確にイメージして4way構成の周波数バランスを設定する。
2.クロスオーバー周波数は新しく設定できるようになった領域を積極的に活用する。
3.リスニングポジションも改めて最適な場所になるよう調整する。
4.個々の帯域の左右のバランス調整をより厳密にする。
5.特定周波数におけるピーク把握とその対策を行う。
6.周波数バランスにおいて「Hi Shelf」の設定にチャレンジする。
7.遮断特性(スロープ特性)も音の吟味において見直す。

ひとつひとつについて考えて見れば、それこそ当たり前のような対応であるが、一連の流れの中でしっかりと音の検証をしつつ最終的には何とか結果を出せたようにも思えるところまで到達できて自分としては(自画自賛になってしまうかもしれないが)ちょっとほっとしている。

取り組みの各ステップにおいてはリニューアルしたデジチャン(DF-75)の音の恩恵のみならず、Eversolo DMP-A6を再評価することにもなった。日本での代理店が出来た以後の積極的な展開もあってDMP-A8がかなり売れ筋になっているようだが、さもありなんと思う。当方の導入したものは国内代理店でも扱っていないベーシックなモデルであるが、デジタル出力において強力なパラメトリックイコライザー機能が使える点が大きく、今回の一連のアクション(上記の4、5、6)においてもその貢献度は大きい。

パラメトリックイコライザ―に関しては、現状欠点となっているところ(我が家の部屋の課題とも思われる)を補うべく(しかし極力ミニマムのレベルにて)使用しているが、やはり効果的である。ただし、この補正機能は改めて強力なものと感じる一方、補正後の実測による裏付けは不可欠と思う。昨今はDiracなど自動補正を行ってくれるものも多いがこれに任せ切りにはせず、どこの周波数をどの様に補正しているのか、またそれが実際の周波数レスポンスにどのように反映され、聴感にどう影響を与えているのかしっかりと把握しておくことが重要なポイントだと考える。

Eversoloの細部についてはまだまだと思える点も散見されるのだが、ファームウェアアップによって着実に進化している点はやはり評価されるべきものと思う。率直に云えば(ストリーミングの楽曲を含む)プレイキューをそのまま任意の名前のプレイリストとして登録できないことは、急ぎ対応して欲しい大きな点なのだが、今後に期待したい。

そう云いながらも、このところEversolo DMP-A6はすっかりと我が家のメインのネットワークストリーマとして陣取っていることは付け加えておかなければならないので、現状の構成について紹介しておく。

Eversolo DMP-A6 Configuration:(ハブと共に115V昇圧)
Eversolo DMP-A6 Configuration

なお、上記の6と7については今まで記載していないのでちょっと補足するが、高域、中高域のユニットの使い方の比重を少々変えてみたものである。少し前から高域については6300Hz/-6dBの設定を是として使ってきたのであるが、この使い方だと高域、中高域の音のオーバーラップがやや大きいかなという気もあった。そこで、せっかくの( Marten Coltrane にも採用されるほどの超優秀な?)Bliesma M74Bをもっと活躍させるべく、高域側の出力レベルとクロスオーバー周波数、そしてスロープ特性の最適化を狙ってみたもの。結果として、下記にあるような各ユニットの設定となった。なお、高域の周波数を4200Hzのクロスオーバー(スロープは-12dB/oct)として全体のバランスをとると具合が良いのだが、この場合Scanspeakのベリリウムツィータとて、リスポジにおいて10KHz以上ではレスポンスが低下した状態となることが現実として避けられなかったため、ここを6のHi-Shelfの設定(9.8KHz、Q=0.8 +2.2dB)で補う仕掛けとなっている。

パラEQ設定のスクリーンショット:(ピーク対策用のQ設定は20も可能!)
Eversolo DMP-A6 Parametric EQ Settinng

これらの一連の対応により、全体の周波数バランスを保ったまま音の密度感、高域感を向上させることが出来たと思う。どんな種類の音源を聴いてもストレス(圧迫感)や違和感が無く、スムーズに音楽を提示してくれる。音量をそれ程上げなくても心が満足するのだ。ある意味では長年目指してきた音の普遍性の獲得という面で僅かかもしれないが向上できたものと信じる。

この結果を踏まえて、普段比較試聴には使わない70~80年代の懐かしのPOPS、ROCK音源を改めて聴いてみたが全く違和感が無い。むしろとても瑞々しく音楽に没頭できて、若かりし日々に飽きるほど聴いたはずなのに色褪せてはおらず、音楽そのものが心に沁み込んできて素直に感動する。この曲がこんなに良い音!? で聴けるなんて、、、

(参考)Eversolo DMP-A6にて使用しているスィッチングハブ( LHY Audio SW-6 SFP ):
アルミ削り出しの筐体と内部レイアウトや端子構成など魅力満載状態であったので導入してみたが満足度大。

LHY Audio SW-6 SFP:(Isolated RJ45、SFPポート、Clock入力あり)
LHY Audio SW-6 SFP LHY Audio SW-6 SFP

内部レイアウト:(OCXOクロック、電源系は超低ノイズレギュレータ LT3042 を三並列で使用)
LHY Audio SW-6 SFP

(雑記)
自分にとって青春時代、青年時代となる70~80年代の音楽を左様に忘我の境地で聴いていると、いろいろな想いが浮かんでは流れて行く。幼き日の夢、若き日の夢、、、失ったもの、叶わなかったもの、夢半ばのもの。多くの夢を持っていたはずだが、やがては忘れてしまったものもあるだろう。幼き日々の夢は元々明確には自覚できてはいないし、若き日々の夢は、多少の理想もあったろうけれど、金持ちになり、豪邸に住み、美しき伴侶にも恵まれて、という詮無きものも多かったような気がする。それでもその時々に応じて、また家族構成の推移に合わせて、ああしよう、こうもしようと考えてそれなりには夢(らしきもの? あるいは単なる日々の願望?)を実現すべく頑張ってきたようには思う。

実現出来なかったことも含めて数え上げれば、ヨットレースで全日本チャンピオンとなりオリンピックに出ること(叶わず)、飛行機(グライダー)で空を自在に飛ぶこと、スキューバダイビングで南の海を潜って回ること、100名山に登ること(完登せず)、日本全国をくまなく旅して回ること(海外もなるべく)、子供を三人持ち家族でキャンプやスキーを楽しむこと。子供とヨットレースに出ること。子供を一人前の社会人に育て上げること。きちんと仕事を勤め上げいち早くリタイアして四国のお遍路をすること。年を取ったらあくせくせず老夫婦仲良く暮らすこと、、、

人生の時の流れにおいては夢を実現する、あるいは実行するというタイミングも重要なことであって、叶わなかった夢を今から取り戻すことは当たり前だけれど最早能わない。多少なりとも叶えることのできた幸運な夢たちはこの一生のささやかな思い出として宝物のように自分の胸にしまっておけば良い。

オーディオもまた自分にとってそうやすやすとは叶わない夢のひとつとして追いかけてきた。だからと云って希望や憧れを失ったまま夢半ばでやがて来る終わりの日を迎えることをそれで良しとはできないし、今までやってきた甲斐も無いだろう。今年の干支は自分にとって既に六周り目になるので約束の日は遠くはない。けれど、、、ここまでは来た。ここに至る経過や結果は自分自身で総括するしかないが、徒労とはなっていない。未だ足りないものもあるだろう。だからそれを探し求め、それを叶える。夢追う日々が終わることはないのだ。


          DF-75 Bliesma M74B構成の設定値(Memory5) / 2024年9月6日
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- SONY
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
Bliesma
M74B
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-75の
出力設定
dB +0.8 +1.2 +1.5 +2.5*
*Hi-Shelf +2.2
9.8KHz/Q=0.8
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.8 86.7 83.5 82.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz
300
300

680
700

3400
4200

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-12 12-flat
DF-75 DELAY
設定
cm -19.0 +22.0 +20.0 +17.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Rev  
DF-75 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-75デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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