オーディオ日記 第57章 道の向こうへ(その2)2024年 1月 14日


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Can I hear the difference?:

先の スロープ特性を若干変更している件の続きとなるが、SONY SUP-T11を中高域に使用する構成に於いてもBliesma M74B-6と同様の考え方を採用してみた(詳細の設定内容は末尾参照)。

率直に云えば、何が功を奏しているのか、自分でも良く判らないのだが、この設定で聴く音楽の高域(感)の方が好きだな~と思う。音の透明感やのびやかさが一段と引き立ったような感じがする。加えて、SONY SUP-T11の穏やかさとも絶妙にマッチしているようで、決して声高に主張するような弦の音ではないのだが、それが却って音楽の提示が自然に思えて心地良く聴けてしまう。

音源によってはBliesmaによるベリ三兄弟を超えているんじゃ?と思わせる点もあって、はて、、、これはホントに本当なのだろうか。

何か先入観のようなものが、正しく音を聴き分けようとする判断を曇らせてはいないか、そう自問してあれこれと聴き直してもみるのだが、総合的な印象はそれほど変わらない。いったん、SUP-T11のスロープ特性を以前のものに戻してみたが、元の設定(-24dB/OCT)ではそのような感は無い。やはりスロープ特性の変更が何らかの差異をもたらしているものだと思う。弦以外でボーカル系を聴いてみても好ましさは失せない。

改めて、-6dB/OCTを採用したBliesmaのベリ兄弟の構成とガチンコ勝負させてみる。僅かかもしれないが中高域のユニットの違いによる音の傾向の差異はやはりあって、Bliesma構成の方が密度感と広がりがあるがややカチッとした音にもなる。SUP-T11はちょっと茫洋としたところもあるように感じるが、ごく自然で心にしみわたるような音楽を提示してくれる。オーディオ的にはどっち(オーディオ的完成度 vs 心地良さ)なのよ? とも思うが好みの範疇で総合点をつければSUP-T11の構成となるかも。

だが、スロープ特性の設定によって、このように評価が大きく変動するようなことは実際本当なのだろうか。単なる思い込みではないのか、そう自問せざるを得ない。

Landscape:小音量でも部屋を音で満たしたい
Air Volume

いったん、SONY SUP-T11とBliesma M74B-6の比較からは離れるが、今回のスロープ特性の変更をあれこれとやってみた中で、一番高域の聴こえに対してインパクトのあるのはベリのツィータユニットではないか、と思っている(定かではないところもあるので確定とまでは云えないが)。トライしているのはクロスオーバー周波数を6,300Hzとした-6dB/OCTの設定である。このような使い方は今までしてこなかった。-24dB/OCTの設定を永らく使ってきたことは前回書いたが、クロスオーバー周波数は(ほぼ)4,000Hz、3,550Hz、3,150Hzのいずれかであった。その経験上の値に比せば、今回のクロスオーバー周波数は明らかに高い数値と思う。

一般論的には各ユニットに受け持たせる周波数の範囲は特性と能力を鑑みて可能な限り「低く」する、ということが自分でもセオリーと思ってきた。だが、今回のこの高域ユニットの設定は今までの自分なりの常識とは異なっているのだ。ベリツィータ単体で測定すれば、-6dB/OCTのスロープ特性ということもあって6,300Hzのクロスオーバー周波数からだらだらとレスポンスが下がりながら、1,000Hz辺りまで音を出している。良くも悪くもこの影響が音の差異に関係しているようにも思える。

Scanspeak D2908/714000 はかなり高性能のスピーカーユニットなので、このような使い方をしても一切気になるような音は(多分)出して来ないようで、これが中高域のユニットと相俟って高域感、透明感を感じさせる音になっているようにも思えるのだ。スロープ特性から考えれば、Scanspeak D2908と中高域の両ユニット(SONY SUP-T11、Bliesma M74B-6)とはある程度オーバーラップしているし、実際の測定でもそうなっている。

つまりはここに今回の一連の実験で感じているような音の主たる要素があるんじゃないか、と推測している。もちろん、高域、中高域のオーバーラップがやや広い周波数範囲であるとすれば、両ユニットのタイムアライメント、位相が正確に一致していることが極めて重要な前提になる。デジチャンによるタイムアライメント調整と、-6dB/OCTのスロープ特性が持つ位相回転の少なさ、というふたつの要素の効能によってこのように感じる音になっているのかも、と思うのだ。

従って、ベリ三兄弟の構成に於いてはベリリゥム振動板同士の相乗効果がやや強まって、密度感やカチッとした印象にも繋がる。一方で、SONY SUP-T11はアルミ振動板であり元々若干の甘さのある音を聴かせてくれるのだが、ベリリゥムツィータとの重なりで穏やかな心地良さを残しながら高域感、透明感を感じさせてくれる? という(かなり強引かつ手前勝手の)推測である。

当方レベルの駄耳にて、このような微妙な質感を本当に正しく聴き分けられているのかあまり自信は無いのだが、何にせよ自分にとってより好ましい(と思う)音となってくれているのはありがたい事。これをまたベリ三兄弟の設定にもフィードバックして行こうと思う。本当にこの差異を「聴き分けた」上での評価・設定となっているのであれば、「I can hear the difference.」と胸を張れるのだが、、、


                 SONY SUP-T11用4way構成の-6dB/oct設定値(2024年1月14日暫定)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
SONY
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 108.0 (+18.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 +0.7 -8.0* +4.7
*Analog Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 86.2 85.0 84.7
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

280
280

1000
1000

5600
6300

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 6-12 6-12 6-flat
DF-65 DELAY
設定
cm -19.0 +20.0 -47.0 +20.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-65 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-65デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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