オーディオ日記 第57章 道の向こうへ(その3)2024年 1月 18日


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片足は墓穴にありて我は立つ:

バッハの有名な教会カンタータ(BWV156)はとても美しい曲である。そのタイトルの意味するところは教義としていろいろな解釈もあろうけれど、 訳詞 を素直に受け止めれば、いずれ誰にでも訪れる真理を示している。自分もまた遠からずその道を歩むことになるだろうし、それに抗おうというものでもない。

けれど、今この時点では片足はこちら側に残っている。辛うじてなのかもしれないが、まだ倒れてはいない。だから、やるべきことはやらねばならない。やり残したと思うことはなるべく少なくしておきたい。そのことが目を閉じる一瞬に顧みる自分の人生に対して、ささやかな心の満足となってくれるかもしれない。

オーディオに対する想いもまた同じである。絶対的に音の良いシステムを造り上げたい、という気持ちはずっと持ち続けてきた。けれど、音源、部屋、機器という三つのファクターから成り立つオーディオの音に関して、唯一無二の解は存在しない。もちろん、これらのファクターが稀有のバランスで成り立ち、究極の音楽を奏でてくれる時には理想の音へ昇華したと実感できるものと思うが、、、めったに起きることはない。

弦の音が何のストレスも無く空間に発散され、音像がつくり上げられる時、弦の音の荒々しやさある種刺激的な音すらも、清々しいほどの純度、伸び、透明度を持って響き渡らねばならない。ピンピンと尖った、角を落とされていない音でなければ全てを包み込むような優しさの表現もリアリティのある音楽も再生できない。そう考えてきた。

けれどその一方で、オーディオシステムの理想の音とは何かという問いに、定かな答えを持てている訳でもない。千変万化する音、音楽を的確に分析できるほどの「聴き分ける力」を持ってはいない。ただ素直に音楽に感動できるかどうか、その程度の尺度しか持ち合わせていない。多少の御託を並べていても良い音を造り上げられる力量は無い。そういう自分に足りないことももう充分過ぎる程に理解はしているが、尚最後まで足掻き続けねばならない、、、

さて左様な想いは一旦脇に置いておくこととして、このところの遮断特性の見直しによって、僅かであるが改めて音について感じることができた点もある。それは自然さと心地良さ、という本来音楽にとってとても重要なポイントで、自分なりではあるが向上が認められたこと。ベリ三兄弟の構成においても、中高域をSONY SUP-T11とする構成においても同様の印象であるので、気のせいばかりとも云い切れない。特に高域のユニットを6,300Hz、-6dB/OCTとする設定がそれなりのインパクトをもたらしてくれていることは、その後もあれこれやってみた結果として確かな評価にもなって来ている。ユニットの性能のみならずシステム全体に於いて高純度化への取り組み(雑味を減らす、低歪化するなどのいろいろな施策)を経て来なければ、この設定はおそらく功を奏さなかったかもしれない。

ただ、この遮断特性の設定見直しによる音が本当に何らかの向上に繋がっているのか(気の迷いではないのか)、さらに時間を掛けての検証も必須と思う。そのためには感覚的なものだけではなく、客観的なファクトも残しておくことがベターであろう。このため、少々恥ずかしながらのレベルであるが、現時点での測定内容を以下に記録しておく。

1.測定はリスニングポイント
2.反射波を含めて測定(部屋の影響を加味)

Smoothing 1/3rd Octave:測定スケールは3dB(インパルスレスポンスの波形は良好)
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Smoothing 1/12th Octave:測定スケールは5dB(500Hz、120Hz、80Hz付近に低下がある)
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Distortion 1/12th Octave:(平均して-40dB程は確保できている)
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Wavelet Spectrogram:(周波数特性に準じて500Hz、80Hz付近に乱れがあるが高域側時間軸は問題ない)
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                 SONY SUP-T11用4way構成の-6dB/oct設定値(2024年1月14日暫定)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
SONY
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 108.0 (+18.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 +0.7 -8.0* +4.7
*Analog Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 86.2 85.0 84.7
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

280
280

1000
1000

5600
6300

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 6-12 6-12 6-flat
DF-65 DELAY
設定
cm -19.0 +20.0 -47.0 +20.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-65 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-65デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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