オーディオ日記 第56章 音楽三昧の日々(その16)2023年12月18日


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ステサングランプリのSP:

ステレオサウンド誌にて今年度のグランプリ(ゴールデンサウンド賞ではないが)となった以下の二機種のスピーカーシステムについて思うことがあったのでちょっと記してみたい。

(左) Marten Mingus、(右) LINN 360 EXAKT
Marten Mingus LINN 360 EXAKT

いずれの機種も再生能力の高さが評価されているものと思うが、当方がスピーカーシステムの構築に於いて目指してきたものとある種の共通事項があるな~と感じた。その大きなポイントはやはり4way構成であること。もちろん各帯域の分割はそれぞれのシステムで大分異なるのではあるが、最上を目指すとすればやはり4wayに行き着かざるを得なかったのではないだろうか(と、推測している)。市販のスピーカーシステムにおいては4way構成というのは(かってのJBL 43XXシリーズが代表格であるが)現行機種では案外と少ない。スピーカーユニットがそれこそ沢山搭載されているものはあるのだが、帯域を4分割して純粋な4wayとするためにはやはり設計、製造上のハードルもあるものと思う。

LINN 360 EXAKTはアクティブ型のスピーカーなのでデジタルチャンデバ機能を内蔵してこの4wayを実現しているが、Marten Mingusはディバイディングネットワーク仕様(注記)なので、アプローチが異なっていることもあってこのふたつを(贅沢にも)並べて聴き比べしてみたい。

(注記)ネットワークは一次(-6dB/oct)の仕様ということなので、我が家でもデジチャンを弄ってこの設定をちょっと試してみたくなる。

Martenは中高域のユニットに3インチベリリウムユニットを搭載していることが当方との共通点でもある。ユニットメーカーのアナウンスはないが(口径やユニット形状から推測して)Bliesma M74Bと同等のOEMであろう。いずれはBliesma M74Bを搭載したスピーカーシステムも登場してくるのではと想定していたが、やはり出てきたか、という感じである。なお、中低域、低域はAccutonから供給を受けたユニット、高域はダイヤモンドなのでAccutonと思うが、もしかしたらBliesmaの可能性もあるかも。

(2023年12月22日追記)ダイアモンド振動板がドーム型なのでBliesmaのOEMのようだ(Accutonの場合は逆ドーム)。(追記終わり)

Bliesma M74B :
Bliesma M74B

(過去のEXAKTシリーズを含めて)LINNの方は、デジチャン機能とアンプを背負っている訳であるが、デジタル入力を受けそのままDSPにて帯域分割することのアドバンテージを認識しているが故と思う。ここは当方と共通の理解だと想定できるのだが、いずれの機種も現状の我が家の構成とは相違点もある。低域ユニットの扱いである。

一般論的には15インチウーファーはそのユニットの大きさもあって扱い難い点(エンクロージャの設計、製作など)があるので、同等に近い低域再生能力を求めようとするとやや小振りのユニットを2発(あるいはそれ以上の数)を使用する、という選択肢になる。どちらがベスト、と単純には云えないと思うが、奇しくもこの両スピーカーシステムとも小口径ウーファーが2発となっている(Marten Mingusはパッシブラジエータが背面にある)。

実は、このような低域ユニットの構成を(妄想レベルであるが)試してみたいと考えていることは先に 紹介 した。今回のような構成のスピーカーシステムが高い評価を受ける背景などをあれこれと考えてみると、それに追随という訳ではないがやはりやってみる価値はあるだろうと、一段と妄想が進んでしまうのだ。ただ、やるからには、ここはウーファーユニットを「背面対向」の仕掛けにしてみたいと思うので、結構実現に向けてのハードルが高いことが悩み。でも、最適と思える以下のようなユニットが現在手に入るのでやってみたいチャレンジである。

SB Acoustics WO24TX-8 :24㎝口径のウーファユニット:
SB Acoustics WO24TX-8

なお、別次元の話にはなるけれど、少々納得しかねるのはそのリストプライスである。昨今の諸事情でオーディオ製品、特に海外製品が高くなってしまうことについては多少の理解はするけれど、それを考慮してもやはり高すぎるんじゃないだろうか。今般、年齢的にも最後の車と思ってそれなりの 車種 をチョイスして買い換えることにしたのだが、その車が三台ほども買えてしまう金額というのはどう考えても尋常ではない。

このスピーカーシステム達の製造原価率は推定するしか無いけれど、そこに使われているスピーカーユニットをはじめ、その他の要素を足し算してみても、車などの製造原価と比せばあまりに懸け離れている。実用品と趣味の品との違い、と言われてしまえば返す言葉も無いのだが、どちらも工業製品であることには違いはない。もちろん生産台数が桁違いに少ない、ということにも起因するとは思うけれどどうにも釈然とはしない。

どんなに素晴らしいスピーカーシステムだとしても、このリストプライスを見て嘆息し購入を諦めてしまうオーディオファイルが殆どだろうし、国内では結果として一体何台出荷されることになるのだろうか。良きオーナーに使いこなしてもらってこそのオーディオ機器でもある。せっかく誕生した垂涎とも思えるスピーカーシステムであるが故に何だか少し可哀想にも思えてしまう。


                 4way構成の-12dB/oct設定値(2023年12月16日)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
(Experimental)
BeW-16
Bliesma
M74B-6
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 97.0 (+7.0) 92.0 (+2.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 +0.7 +2.1 +5.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 86.2 84.1 85.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

355
355

1120
1250

5000
5000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-12 12-12 12-24 24-flat
DF-65 DELAY
設定
cm -7.0 +22.0 +20.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-65 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-65デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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