オーディオ日記 第55章 この道はどこへ続くのか(その7)2023年4月6日


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オーディオの至福とは:

ネットワークストリーマを中心としたデジタルトランスポート周りのケーブル環境の見直し、そして以前に行ったインターコネクトケーブルの見直しとの合算の効果かと思うが、今のところ存外の至福が続いている。これまでの経験からは、一時何らかの施策によって音の向上が実感できても、すぐにそれが当たり前の状態になってしまい、更なる対応を考えてしまうような(あるいは考えざるを得ない)ことが多かったのだが、現状は不思議なことにそこそこ納得、満足の状態がしばらく続いている。

機器やケーブルの環境が変化すれば音のバランスも微妙に変化するので、これに合わせて4wayスピーカーの微細な調整も実施したのだが、多少はそれも功を奏しているのだろうか。我が家の4way構成は、ミッドハイ、ミッドローのユニットが二組づつあるのでそれぞれを切り替えることによって3パターンの構成で聴けるようにしているのだが、現時点ではそのいずれの構成でも自分なりに合格点に達していると思える。

そして単に各ユニットのレベル調整やクロスオーバー周波数の変更などで感じられるような音の変化を少し「越えてきた」のではないか、とも感じている。つまるところ、音の純度やS/N感などを含め、根源的な部分である最上流のクォリティが機器そのものの変更は行っていないにも係わらず、(僅かかもしれないが)一歩向上したような印象を受けるのだ。

長らくオーディオに勤しんできた中で、このような経験はあまりない。むしろ、音に納得がいかなくて、足掻き続けてきた、という云い方のほうが正解で、若干良くなったと思える施策を行っても、また別の不満が顔を出してくることは度々。実際、そのようなことの連続でしかなかったとも認識している。

オーディオは永遠の無いものねだり、と達観してみたとて、日々聴く音楽が自分にとって納得できなければ、それは極端に云えば灼熱地獄にいるようなもの。とてもじっとなどしていられない。何もせずに音楽に耳を傾けているなどできやしない。だから、何かをしなければ、との脅迫観念が生まれてくる。何をしなければならないか、どこをどう弄れば良くなるのか、どの機器を入れ替えれば効果的なのか、そんなある種普通の人から見れば馬鹿げたこととも思えるような考え(どうどう巡りとも云える)が尽きなくなる。

そして繰り返す苦痛の比較試聴作業、、、僅かの満足は得られても、根本的な納得には届かない、という調整作業の虚しさ。もちろん、それ自体がオーディオ道における真っ当な道のりであって、このステップを楽しむのがオーディオそのものだ、というオーディオファイルもおられるものと思う。だが、否定はしないけれど自分にとってはこれは本意ではない。

自分のシステムによって再生される音楽が、音源に係わらず、依存せず、納得の調べと響きであって欲しいのだ。決して唯一無二の最高峰、究極の極上を求めている訳ではない。ただただ、聴こえてくる音楽に身を委ね、己の魂を解放できれば、それで良いのだ。オーディオに目覚めた後、それを求め続けたことがこの半世紀であったのかもしれない。

だが、自分でも、今、これがどうして現実のものになってきたのか、明確にはその理由が判ってはいない。ある特別な施策のみでこの現状が作り上げられたとも思えない。全ての相乗効果の結論なんだろうとは推測してみる。どこかに自分的に納得できるステップアップのポイントがあったんだとすれば、それは何処か。今後の自分のオーディオの進む道を考えた時に、その要因分析がきちんと出来ていなければ、また暗中模索の繰り返しになってしまうことも必ずや起こり得る。

それだけは避けなければならないし、元の木阿弥には戻って欲しくないと切に願う、、、だが、率直に云って、正確にはその理由が判っていない。単に耳の衰えによって「納得に思えるだけ」ということは断じてないはず、いや無いものと思いたい。

これまでのいろいろな積み重ねを振り返ってみれば、基本的な考え方としてまずは最上と思えるスピーカーユニットを準備し、それを磐石の構成(4wayマルチアンプシステム)で駆動すること。音量調節機構には音の劣化の無いように細心の注意を払うこと。デジタル系機器に対する電源環境の配慮、過剰なDSP処理は避けてデジチャンの利用でもD/A変換一回のみ。概ねそのようなことがベースであったと思う。

これに加えて、このところの施策は、デジタルトランスポート周りのインターコネクトケーブルにも純銀単線を使用する。クロックケーブルにはセミリジッドケーブルを使用し、クロック送受信におけるインピーダンス整合を取る。ということであろうか。

仮に、今までの施策もろもろの総合的な結実であったとすればこんなに嬉しいことはない、、、

だが、自分のオーディオを振り返ってみれば今までに「良いと思える音」が長く続いた試しはない。だがら、現状に安穏としていることは間違いである、と半ば確信的に思う。今が幸せの音ならば、それだけで良いとも思えない。まだまだやるべきことは多々ある。これが心底からの理想の音だとはやはり云えないのだ。

そう考えていくと、やっぱりオーディオは奥が深く、云うなれば沼であり、決してゴールというものはない。そして自分が到達点に対して、今どの位置にいるのかも定かには判らない。日々ウトウトと音楽を聴き続けながら、やはり思うことは「次に何をすれば」もっと良くなるのか、ということ。欲の深さ、業のようなものに捉われている自分も垣間見える。

幾つかの選択肢が今考えられる。ひとつは先の 妄想 のようなスピーカーユニットの全面的なリニューアル。ひとつはスピーカーケーブルをすべて純銀単線(現状はシルバーコートのOFC撚線)に変えるというもの。両方とも当方にとってはかなりハードルの高い(設置スペースやコスト)もの。リサーチはしてみているが現実プランとして起動できる自信はあまりない。

現実的なものとして、もうひとつのアイデアはベリリウム振動板を持つ ミッドハイユニット を導入してみるというもの。現状の二つのミッドハイユニットはそれぞれアルミとセラミックの振動板であるがこちらに特段の不満がある訳ではない。それでも、74㎜サイズのベリリウム振動板を持つミッドハイユニットと、現状の28㎜サイズの高域用ベリリウムユニットをベリリウムをキーとしてコラボさせたらどんな音になってくれるのか、ここにもチャレンジしてみたくなる要素がある。

つまるところ、立ち止まらずに、転がり続けるような生き様が自分にとっての「オーディオの至福」なんだろうか、、、


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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