オーディオ日記 第54章 今は空も飛べるはず(その20)2023年1月31日


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Diretta Target PiでS/PDIF出力:

先にGentooPlayerでDiretta Host/Diretta Targetの構成を 試して きたが、TargetがPCの場合は出力がUSBとなるので、AoE Symphonic-MPDにおけるS/PDIF出力とイコールコンディションではない。音の差としては微妙なもののようにも思うのだが、それがDiretta vs AoE(Audio oever Ethernet)の実力の違いなのか、デジタル入力切替機としても使っているMUTEC MC-3+USBにおけるUSB入力とS/PDIF入力による何らかの差なのか決着をつけてみたくなった。

GentooPlayerのすごいところは、多彩なプラットフォームサポートでラズパイでも稼働できる。そして、当然ながらDiretta Target Piにも設定できるのであるが、それでけではなく出力デバイスも「USB以外」を選択できる。Direttaにおいて、USB以外の出力を使えるケースは他にもあるのか浅学にして把握できていないが、これを試さない手はない。何よりも、この環境にラズパイをセットアップするのもGentooPlayerではWEB UIだけを使って、とても簡単にできる点は結構すごいこと。
(注記)デフォルトのインストールでは44.1KHz再生の試用版となるようだが、これで気楽に試せるのでとてもありがたい。

GentooPlayerで設えたTarpget Pi(ラズパイ4)は今回出力ボードとしてHifiberry-Digi+Proを使用するが、これはAoE Symphonic-MPDのバックエンド用ラズパイ4構成と同じ。つまり「ほぼ」ガチンコ構成での比較(対決?)ができる訳だ。これは楽しい、、、

だが、GentooPlayerのDiretta HostとDiretta Target Piには若干ハンディがある構成にならざるを得ない。つまり、ホストPCは普通のテスト用PC、Target用のラズパイも標準構成のまま。一方のAoE Symphonic-MPDはフロントエンドがオーディオ的対応(?)を多少は行っているファンレスPC、またバックエンドのラズパイもクロック換装を行い、クロックと本体用の二つの専用電源を備えているそこそこの仕様のもの。

Direttaであれば、このハンディを軽く打ち破るのか、否か。ものすごく興味が湧く。そしてラズパイ4に搭載したHAT(S/PDIF出力ボード)によってS/PDIF信号を送り出すという同じ環境で対決となるので、ここは言い訳無用の一本勝負。

GentooPlyaerでのDiretta Target Pi環境:(デバイスとしてHifiberry Digi+Proが認識されている)
Diretta Target Pi

(参考)GenttoPlayerの導入や設定に関しては、懇切丁寧な記事があったので、興味のある方は こちら を参考にしてチャレンジしてみてはいかがだろうか。

で、Diretta側のハンディが多少でも小さくなるように、Gentoo Player上MPDの選択は「MPD bit perfect」から「MPD SoX」に変更した。試用版のDiretta Targetは44.1KHzまでの制限があるが、bit数には制限は無いので、SoXの最高音質設定(Very High)にて44.1KHz/24bitに変換してしまう。もちろんこの設定によって音が良くなる、ということではないのだが、後段(MUTEC MC-3+USBならびにデジチャン)の処理の精度を落とさずに済むだろうということから採用してみた。

比較試聴に使用する音源はクラシック音楽系で高品質のアルバムが多いことで知られる「 Reference Recordings 」から数枚のアルバム。中心は聴き慣れたオーケストラものであるが、小編成の弦楽曲等も取り混ぜながらランダム再生にて行った。

一聴して、おやっと思うほど印象が良い。どのトラックを聴いてもご機嫌である。先のUSB出力(ターゲットはPC)で感じた低域の質感や音楽全体の提示、押し出しの良さはそのままに、S/N感の向上というのだろうか、無音部分の表現が秀逸で音楽の実体感・立体感が際立つ。AoE Symphonic-MPDのアドバンテージと感じてきた高域方向のナイーブさも同時に併せ持っている。これは、、、(元々の録音が良いものなので)あまり褒め過ぎても遺憾と思うのだが、かなりイケてる。

USB出力(Diretta Target PC)とS/PDIF出力(Diretta Target Pi)という違いが、どこまで影響、関与しているのかまだ聴き始めたばかりなので判然とはしないが、この音楽表現なら当方的には文句無く「合格」である。だが推測してきたようなMUTEC MC-3+USB側にもS/PDIF入力とUSB入力による差があるのだろうか。Bluesound NodeのケースではUSB出力がベターに感じているので、単純にはS/PDIFとUSBのどちらかが良いという違いではないと思う。

ただ、このDiretta Targetの場合、ラズパイ4に載せたHAT(Hifiberry Digi+Pro)からのS/PDIFの方が総合的に上回るようにも感じるのだ。構成や方式の優劣はともかくとしても、音楽を気持ちよく、楽しく聴けることは何より。改めて、Direttaの実力を認識することとなった。

ひとしきり、GentooPlayer Diretta Host+Diretta Target Piを聴いて堪能した後、AoE Symphonic-MPDに切り替えて、同じアルバム群をやはりランダム再生で聴いてみる。ランダム再生で何曲も聴いて判断するというのは変わったやり方かもしれないが、単一のトラックだけを切り替えて比較試聴するという方法をとっていない。ちょっとした肌触りの違いにばかり注意が行ってしまい音楽全体を聴くということにならない、という本末転倒に陥りやすいと考えている故である。いろいろな音源を聴いて、トータルでの表現力を把握した上でこれに好き嫌いという自分流の好みを反映させての評価である。

率直に云えば、最早この二つの構成でこうだと語るような差異はほぼ認識できない。ベースとなるハードウエア構成や電源環境等は微妙に異なるのだが、同様の力量を持つものと云えるだろう。やはりDirettaのファンが世の中に多いことが納得される。一方で、ボランタリーベースで開発されたAoE Symphonic-MPDも極めて優秀な再生環境をもたらしてくれているのだという思いに改めて至る。

だが、もしかしたら、、、今回のこのDirettaの環境を、現用構成のいろいろと手を加えてあるPCとラズパイに移植すれば、この同等と思われる評価は多分覆るかもしれない。気持ち的にはそこにも強い興味が湧く。だが、それはそれで自分的にはちょっと恐ろしいことである(AoE Symphonic-MPDはハブ無し、100Mbps/Half duplexでの直結なので、Direttaでこれも試したくなる)。

GentooPlayerはインストールしたハードウェア情報をベースにKEYが発行される。Trial Keyもこの構成情報を送った上で入手するので、単純にインストールDISKを差し替えて起動すれば別のハードウェアで稼動するというものではないようなので、構成を最終的なものとして変更するにはライセンスを取得する必要がある。

これにトライするべきか、否か。それが問題なのだが、Trial期間満了までまずはこのDiretta構成をじっくりと聴き続けてみようと思う。


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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