オーディオ日記 第54章 今は空も飛べるはず(その16)2023年1月10日


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軟派と硬派:

流れ流れて東京をそぞろ歩きは軟派でも心にゃ硬派の血が通う、、、(竹越ひろ子、「東京流れもの」から)

学生時代を体育会の猛者連中と過ごした当方にとってこの歌は何故か懐かしい。徒党を組んでの高歌放吟しかり、またインカレ・レース後の打ち上げではこの歌を自らの気合と根性を示すような替え歌にして他大学に対抗・揶揄したようなことも思い出される。四年間ほどの人生のモラトリアム期間なのだが、今思えば赤面してしまうほど人間としては未熟であったし品行方正だったとはどう転んでも云えないのだが、間違いなく楽しい時期だった。

典型的な「可山優三」の成績だったけれど(単位取得には悪友の助けを借り)それでも何とか卒業、就職できて、人並みには人生が送れていること自体が当時の自分の破天荒を鑑みれば何だか信じられないような気もしてしまう。軟派とか硬派とかそう単純には人間を括れないようにも思うのだが、どこかに僅かな硬派の芯があったればこそ、その後も何とかお天道様の下を歩き続けることができたのかも、と時に思う。

振り返れば若き日には種々万感の思いもあるけれど、それは過ぎ去った時間であって単に想い出として甦っては来るものの最早自分で思う程には確かなものでもなく、少し朧気で自分の事ではなかったような、淡い想いというものはどこか本当じゃないような気にもなってしまうのだが、それはどうしてなのだろう。時の流れとはそういうものなのか、、、

オーディオファイルにも軟派とか硬派というものがあるんだろうか? もしかしたら、ひたすら良い音を目指す求道的な硬派、自分なりに頑張った構成で音楽を楽しもうというのが軟派? 何となくそれっぽい気もするが、これでは茫としていてあんまり定義にしたことにはならないように思うけれど、この分類で云えばやっぱり自分は軟派に属するか。

さてさて、戯言(ざれごと)は切りがないけれど、それでも道が尽きるまではオーディオ道にも精進せねばならない。前回デジタルトランスポート周りでケーブルの リニューアル について記したが、これはストリーミングへの対応に更に注力するため周辺環境のブラッシュアップを行っておきたい、という意図もある。今年の早い時期にはSFORZATOのDST LacertaのリリースやWiiM Proが日本でも登場することなどが見込まれる。密林音楽については、今年は対応機器が更に出てくるものと推測しているので、現状のBluesound Nodeを超えてくれるようなネットワークストリーマ―ならば是非導入したいと考えている。(DST LacertaはUSB出力専用、Wiim Proのデジタル出力は同軸RCA、Bluesound Nodeはどちらの出力も可)

この辺りを見据えたデジタルトランスポート/ネットワークストリーマ周りの環境面での整備ということなのだが、まだまだ完全とは云えない。それはマスタークロック関連で、グレードアップ的なことを考えればMUTEC REF10辺りに行きたいな~と思う。だが、改めて考えてみると接続面での宿題もまだ残っている。マスタークロックとMUTEC MC3+USB間のクロック供給のためのケーブル周りである。10MHzのクロック注入用なのだが、現状ごく一般的なBNCケーブルを使用している。マスタークロック(Cybershaft製)は50Ωの送り出しであるがクロック出力が正弦波の仕様であるため、75Ωケーブルも使えるし(注記)、クロックを受けるMCTEC MC-3+USBが75Ωの仕様ということもあってここは余り拘らなくても問題は無いかな、と考えてきた。
(注記)クロック出力が矩形派である場合は、ケーブルインピーダンスの整合を取ることは必須。正弦波の場合は75Ω/50Ωは許容されるが信号反射は起きる。

やはりここも少し手を加えておくべきだろう。あるべき姿がどれなのか、当方の知識レベルでは正解は判らないのであるが、MUTEC MC3+USB側でインピーダンス不整合が起きないように、50Ω/75Ω整合器を入れるスタイルをまずは試してみようかと。

ここで問題となるのはケーブルの選択である。クロックについては高周波領域なので損失やノイズ混入を考えるとまさにケーブル界の硬派の代表とも云えるリジッドケーブルを使うのがベストと思うのだが、一般的な機器間の接続用として使えるリジッド構造でかつ中心導体が純銀+妥当レベルの価格という我儘に応えてくれる良さげの50Ωケーブルは探し当てられなかった。皆無ではないが(当然かと思うけれど)超高価。単にクロック用BNCケーブルということであればいろいろとあるのだが、リジッド構造のものはあまり無い。そこで、リジッドケーブルの線材を調達して、50Ω用BNCコネクタを自分で取り付けることも考えてはみたが、調べてみると専用の工具が必要なようでお試しとしては当方にはハードルが高い。

使用しているマスタークロックがCybershaft製(注記)なので、それであれば同社の 50Ωセミリジッドケーブル を使うのが次善の策としては一番手っ取り早そうで何より価格もリーズナブル。かっては金属パイプの外被導体が剥き出しであったようだが、現在は改良されて外被は絶縁されているので安心して使用できる。また、50Ω/75Ωの整合器も同社製のものがある。
(注記)当方が所有のものはやや世代が古く50Ω出力のみだが現在のCybershaft製マスタークロックには50Ω/75Ω切替スイッチがあるので整合器は不要。また、 75Ωセミリジッドケーブル も販売されている。

セミリジッドケーブルと整合器:


本来のリジッドケーブルは金属パイプ剥きだしてあることから、機器の内部配線や特殊用途(無線、通信機器など)に適しているようなのだが、セミリジッドケーブルも構造的には基本同じ。外被導体は金属パイプのためケーブルの取り回しは注意が必要なのだが、振動やノイズの影響を受けにくいこともあってクロック伝送に適合している。

もちろん肝心なのは音にどう影響があるか、ということなのだが、クロックの送り出しケーブルくらいなので当方のような駄耳では判別できないかも、と若干悲観的に考えてぐずぐずしていたことは否めない。接続構成としては、Bluesound Nodeからのデジタル信号はUSB(Intona USB Isolator経由)、AoE Symphonic-MPDからはS/DIF(Oyaide DR-510を使用)の二系統で、このデジタル信号入力に対して、CybershaftからMUTEC MC-3+USBに10MHzクロックを注入したものでリクロック処理を行わせる、というもの。

ケーブル変更のために一瞬だけクロックの電源を落として試聴を開始。セミリジッドケーブルのお陰なのか、整合器との相乗効果なのか、判然とはしないが、楚々として自然なのに音の実体感が向上する。音量は小さめでも音の芯が明確で音楽の心地良さが伝わってくる。MUTEC MC-3+USBをお使いで、50Ω出力のマスタークロックをお持ちの方であれば(コストもリーズナブルなので)必ず試していただきたいと強く思う程である。これは対応が遅きに失したと当方としても反省せざるを得ない。クロックケーブルとしてはリジッド構造が理に適っており、硬派が軟派を凌駕する。

(注記:重要)
Cybershaftの 50Ω/75Ω整合器 であるが、その形状から接続については注意を要する。BNC入力、USB入力の両方を入力切替して使う構成を想定している場合、いずれのコネクタも隣り合っているのでそのままではコネクタが干渉し接続ができない可能性もある。当方の場合、外部からのDC電源を使う様に改造してあるためIECインレットへの電源ケーブルは不要なので干渉の問題は回避できているが、この点留意する必要あり。

(参考)MUTEC MC-3+USB背面パネル:



                 4way MW16TX構成の設定値(2022年1月3日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

710
710

4000
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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