オーディオ日記 第53章 超えてきた壁越えられぬ壁(その12)2022年3月22日


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質感の評価:

前回、Bassプロセッサーによる低音の質感の変化について 記載 したが、オーディオファイル諸氏がご自分の音の「質感」についてどのような方法によって評価されているのか気になるところ。基本は自分の音を聴きこみ、あれこれと改善策を行い、また他のオーディオファイルの音を聴いて相対的な評価を行っていく、ということだろうか。

音の評価というのは茫洋としており、もちろん出てくる音を聴けばそれなりには判る部分もあるが、言葉ではとても表現できない部分もあり、何を評価軸に、どのように良否を判断して行けば良いのか未だ迷うところがあって、自分自身では絶対的な評価基準を持ち合わせてはいないと痛感してしまうことも多い。

もちろん、自分が納得すればそれで良いんだろう、とも思うのであるが、やはり実感として評価そのものが「ソースに依存」してしまうという危険性を常に感じている。良質な音源であれば不満点は余り無いのだが、自分の聴く音楽のすべてがそのような音源ではない。オーディオシステム全体(特にスピーカーや部屋周り)の自分なりの評価や納得感がソース音源に引きずられてしまっては、的確な向上施策を行うことは案外難しい。

特に現代的な録音の音源は「エアー感」を強調したものが多くて、これがうまく再生できると普通以上に気持ち良さを感じてしまう。これは意図、計算された人工的な付加であって、それがもてはやされることは悪いことではないのだが、自然な普通の音の質感からは離れたところにあるものなので、これを追い求めることが良いことなのかどうか疑問もある、、、

測定によってある程度には平坦な周波数レスポンスが担保できていると思っても、それが音の良さには必ずしも繋がる訳ではないことがもどかしい。リスニングポイントにおいてそれなりの周波数レスポンスが確保されていることは前提条件だとは思うが、それは一次反射や定在波によって音が歪められていない、ということでもある。ただ音自体は、残響時間や環境面のS/N比(静けさ)、またある種の表現として「響きの良さ」というものにも結構依存する。

自然な楽器の響きやサウンドステージが提示され、尚且つ(個性的過ぎずに)濃密な音楽の再現がなされていなければならない。これを質感と呼んで良いのか自分でも判らないところはあるのだが、、、

また「抜けの良さ」という表現や「圧迫感の無い」という、評価軸もある。ピークを持っているような周波数特性であれば、ここで云う圧迫感は少なからず出てきてしまうだろう。今自分のこの部屋で、このスピーカーから再生されている「音」を、音源に依存せず、また感性のみに頼らず適切に評価することは叶わないのであろうか。残念ながら未だその「解」を手には出来ていない。

音の質感という観点について、ニアーフィールドで聴く場合、部屋の影響が少ない?ということも関係しているのか、時に存外瑞々しく感じることもある。これはある程度スピーカーシステムから距離が離れてしまうとそのアドバンテージは失われてしまうように思う。まだミッドフィールド(所謂一般的なサイズの部屋など)で聴く場合は距離や位置に応じて聴こえが変化すると思うことも多い。特に高域については、距離による減衰の影響も考えねばならないのだろう。(これを踏まえて、それを補うように意図した特性を持つスピーカーシステムも世には存在する)

同じ音源、同じシステムであっても、ここで云う質感は聴く位置でも多少なりとも変化するし、サウンドステージはリスニングポジションの影響を更に受けてしまう。スィートスポットと呼ばれるエリアはオーディオシステムの場合、案外と狭いものなのかも知れない。

聴く位置によって変わるといいうことは、それは音の変化なのか、質感の変化なのか、自分でも良くわからない。当然ながら微妙には周波数レスポンスもリスニングポジションによって変化するだろうし、、、その差はどこから来るのだろう?

絶対を求めるつもりは無いのだが、何らかのメジャーメントがあればな~とも思う。当方が多少なりとも参考としているのはヘッドフォントとの質感の比較である。これはヘッドフォン自体の性能にも拠るので危なっかしい面もある。だが、リスニングポイントで今聴いている音が真に正解なのかどうかは、ヘッドフォンで比較してみると案外判る時もある。ヘッドフォンでは距離と部屋の影響を完全ではないにしても排除できていると思う所以である。(もちろんこれが正解かどうかは判らない)

距離と部屋の影響を排除し(たとし)て聴く当該音源の音をある種の基準値と考えれば良いのだろうか。それとの比較によって何らかの差分を自分なりに判断できれば、そこに改善ポイントも隠れているかもしれない。だが、部屋の影響というものをすべて排除してしまった音楽が楽しめるのか? という別の課題も生まれる。逆にヘッドフォンで聴く音はある意味では「自然ではない」と思ってしまう部分も存在する。

なお、当方がこの手の比較で使用しているヘッドフォンはAKG K701という古典的名機? なのだが、本家のオーストリア製ではなく、中国に生産拠点が移ってからのもの。従って、この製品自体の音の良し悪しというものにも影響を受けてしまうかもしれない。世には数十万円するヘッドフォンも結構あって、本来リファレンスとするのであればそのような機種を用いるべきかもしれない。だが、ヘッドフォンを常用する訳ではないのであまり高価なものには躊躇もある。

AKG K701:
AKG K701

だが、このどちらかと云えば廉価な部類であるヘッドフォンの音の質感は実のところあまり侮れないのだ。空間表現やディテールについてはよりナチュラルであるようにも感じてしまう。もちろん、サウンドステージや定位感についてはやはりスピーカーシステムでの表現が望ましいし、音に身体が包み込まれるような感触はヘッドフォンからは得られないものだと思う。

しかし、ここで聴く質感というのは何に起因するのか。距離と部屋の影響の他、振動板のサイズや質量ということも影響していると思う。小さく軽い振動板によって全帯域を駆動しているというアドバンテージもあるんだろうか。あるいは根源的に我がオーディオシステムに何か欠けているところがあるのか。とすれば、その要因を突き止めねばならぬ。

最上の音を求めることは、やはり難しい。足るを知るべき年齢となった今でも未だにこの体たらくである。そこそこまでは来た。だがこの先は、その限界を超えられていないと痛感する。今ここで聴ける音楽に満足すべきなのか、さらにチャレンジ(足掻き、とも云う)を続けるべきなのか。未だ達観できていないことも少々情けないのだが、これはもしかしたらすべてのオーディオファイルにとって共通の悩み、課題なのかもしれないな~と思ってみたりもする。はてさて、どうなんだろう、、、


                 4way MW16TX構成の設定値(2022年3月10日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.0 +1.0 -9.0 +4.0
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -2.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.0 86.5 86.0 85.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz

140
140

560
560

3150
4000

High Pass

Low Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-18 48-48 48-24 24-flat
DF-55 DELAY
設定
cm -8.0 +19.5 -37.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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