オーディオ日記 第49章 終わりの始まり(その16)2020年6月23日


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デジタルフォノイコライザを試す:

久しぶりにアナログディスクばかりを延々と聴いた。これはちょっと気になっていたデジタルフォノイコライザを試してみたため。デジタルフォノイコとはRIAAカーブの補正をFPGAによる演算処理で行い、その後S/DIFなどのデジタル出力を行うという仕様のもの(通常アナログ出力も可)。既に世の中にはこのようなフォノイコもそこそこある( M2TECH JOPLIN MKII など)のだが、今まで試したことはなく今回が初挑戦である。

アナログディスクを聴くのにデジタル? という疑問はすぐ浮かぶかもしれない。当方はデジタルチャンデバ(DF-65)を使用しており、チャネルデバイダーとしての機能はデジタルがベースである。このため、アナログディスクの再生であっても、デジチャンでのA/D変換が行われている。アナログ信号はデジタル化された上でDSPでの演算処理となるためこれは不可欠なのである。

現在CR型管球フォノイコライザを使用しているのだが、DF-65内蔵のA/Dコンバータでまずは176.4KHz/24bitのPCM信号となる訳だ。当方の アナログ環境 は往年の機器が中心で、内容的にも初中級というレベルを越えていない。二年程前にアンプ構成をリニューアルした時に、それまで使用していたAD-290(プリアンプのC-290Vに組み込んでいたもの)から合研ラボのフォノイコ(GK08VCR)に変更した経緯がある。

上段右下がデジタルフォノイコライザ(右上がCR型管球フォノイコ、下段はDF-65)):
Digital Phono Equalizer

現状はほぼ(95%以上?)はPCオーディオからの再生で、正直アナログ再生にはそれほど「力」が入ってはいなので、所謂ハイエンドと呼ばれるような高額のターンテーブルやカートリッジとも縁がない。もちろん、この手の機器によるアナログ再生の「魔力」はある程度は承知してはいるのだが、現実は財力が追い付かないこと(これが大きな要因かも?)や使用頻度の観点から「そこそこ聴ける」というレベルが保持されていれば良い、とも考えてきた。アナログディスクを聴く大半も懐かしのフォークや70年代のJ-POPなどで、この手のボーカルが真空管のトーンともマッチして案外と心地良いので特段の不満を感じている訳ではない。

今般このデジタルフォノイコを試してみたくなったのは、Woody&Allenさんの この記事 を拝見してのこと。詳細や音のインプレッションというよりは「何となくビビッと来た」と云えばいいのであろうか。PCオーディオまわりをいろいろと試行錯誤しデジタルノイズ関連の対策を整備してきたこともあって、このPCオーディオ環境にデジタルフォノイコライザというものが何となくすぽっと嵌るようにも思えたのだ。実際の接続構成図は下記の通りであるが、PCオーディオからの送り出しと同様の構成となっており、各種の施策がこのデジタルフォノイコにも当てはまるのではないだろうかと。

デジタルフォノイコのテスト構成ならびに電源環境:
Digital Phono Equalizer

このデジタルフォノイコは基板を製作されている方がおり、それをベースにまた別の方が 組み上げた ものであるが、いずれの方とも当方は面識が無くWoody&Allenさんのご厚意で今般のテストに至ったもの。感謝、感謝である。

基本的には従来の管球フォノイコとは音の性格が(やはり予想通りと云えば良いと思う)異なる。解像度や音の広がりを確保しつつタイトな低域と密度感の高い再生である。高域方向にはもう少ししなやかさが欲しい気もするがそれはチューブトーンに慣らされているからかもしれない。オーケストラなどもちゃんとマッシブに鳴らしてくれるところは嬉しい。本命であるボーカル系も声の質感など悪くないし、総体の印象としてはかなり好ましい。

稀代の名盤:これが納得で鳴らなければ、、、
Digital Phono Equalizer

自分としてはこのディスクが気に入るように鳴ってくれなければ、というものがある。それは別にハイクオリティディスクという訳ではなく、音楽として心に沁みついているもの。だがら、ここで聴く「15の夜」はまだ完璧とは云えないだろう。音の印象としてはアナログディスクというよりはむしろPCオーディオで聴いているような錯覚にもなる(当方としてはこれはネガティブな表現ではない)。どちらが本来の音に近いのかは自分では厳密にはわからない。15歳であった時の、もう50年以上前となる心情がひしひしと、そして昨日のことのように苦い思い出とともに蘇ってこなければこの音楽を十全に再生したことにはならない。だが、それは無いものねだりであって決して現実とすることはできない類のもの。魔力を呼び起こせるような超ハイエンド機ならそれも可能かもしれないが、、、しかし、このデジタルフォノイコでここまでこの曲が堪能できるのならばそれはひとつの至福と呼びたい。


                 4way SUP-T11構成の設定備忘録(2020年6月17日更新)設定値
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 90 (+0) 110 (+17) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.0 +1.2 -10.0* +4.0
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -7.0 -6.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 90.0 85.2 85.0 80.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

224
180

800
800

3550
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm 0.0 -30.0 +28.5 +32.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Rev Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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