お出かけセットのチューニング:
先日来
ラズパイお出かけセット
の最適化をしてみようとあれこれ聴き較べている。発端はラズパイ4の発熱課題もあり、これ程のCPUパワーが必要なのかどうか、疑問に思ったこと。古のPCオーディオではクロックをぎりぎりまで下げるなどとあれこれ工夫をしていた経験もあったので、その辺りを適用してみたらどうなるかな、と。
お出かけセットのラズパイ4は2GメモリモデルをightMPD UPnP構成で稼働させている。HAT基板のクロックを高精度のNDK2520に交換し、さらにクロック専用の電源を配しているおかげだと推定しているが、音が素直でスムーズ。それでいて明晰、強靭でもあるというちょっと不思議な出音。直接デジチャンにS/PDIFを入れる方法とMUTEC MC3+USBでリクロックするという二通りの使い方があるのだが、比較した結果では、MUTECを経由した方が更に好ましくなる。音楽の背景にあるはずのホールのエコーなど演奏場所そのものを彷彿とさせてくれるような表現が微妙に醸し出されてくるのだ。余分な機器を介在させ、リクロック処理を行うことの是非や得失もあるものと理解しているが、デジタルにおけるクロックの重要性がここにもあるように感じられる。
そこで基本はリクロックさせる構成に固定して、ラズパイ4のCPU速度を1.5GHzから徐々に下げていく。合わせて、LAN速度も1Gbpsから100Mbpsへ落として(注記)試聴する。僅かにCPU速度を下げただけではあまり変化は感じ取れない。LAN速度についても微妙かな?
そこで思い切って一気に900MHzまで落としてみる。900MHzというのは1.5GHzの60%に相当する。この速度でもハイレゾ系音源の再生も全くノイズ混入無く安定して再生してくれる。まぁ、かってのALIX3D2が600MHz程度であったことを考えればこれでも十分なんだろうとは思う。(lightMPDにはminim serverでWAVにtranscodeしたものを送り込んでおり、フォーマット変換やサンプルレート変換は行わせていない)
900MHz、100Mbpsとした時の音であるが、これはプラシーボあるいは気のせい? なのかもしれないが、当方にとってはかなり心地良く感じる。何より音に突っ張ったような感じがなく普通、自然である。ふぁ~としたホールトーンの広がりなども納得。UPnP構成なのでPUSH再生でメディアレンダラーとして動かしているだけで、あまり余分なことをしていないということの恩恵もあるかもしれない。
この観点からあれこれ考えてみると、音楽再生用として使用するラズパイは実は3Bで充分ということにもなるのかな~という推論も導き出される。現状のSymphonic-MPDが3Bに特化して音質の追い込みを行っていることも改めて頷ける結果になる。
Symphonic-MPDについては、我が家では現在3B+の構成で使用しているので、上記ラズパイ4での評価結果は不確かなものではあるかもしれないが、こちらもCPUクロックを1152MHz(推奨値)、LAN速度を100Mbpsに落として(注記2)テストしてみた。同じ設定と云ってもプラットフォームが異なるので厳密には3Bと同じにはならないと思うが、、、(テスト環境としては比較のためUPnP化したものを使用)
こちらは正直なところ微妙過ぎて明確には差異を認識できない。どうかな~っと思いつつ、使わない機能(spotifyd.service、shairport-sync.service、ympd.service、ympd.socketなど)を念のために止めてみた。ここでもプラシーボ的な差異はあるかもしれないが、当方の駄耳では判別は困難。まぁ、気休めの意味はあるかも? なのでしばらくこれで聴き続けてみようと思う。
現在我が家のラズパイは何時の間にか?4台に増殖している。内2台がラズパイ4である。新しく、パワーのあるプラットフォームそれ自体は大いに歓迎するところではあるが、こと音楽再生に特化させて使う場合、果たしてそのパワーの存在意義があるのだろうか? 高速化したCPUは時に余分な処理をするためだけに消費される、というセオリーもある。世の多くのネットワークオーディオ機器に内蔵されているCPUの処理能力との具体的な相違を明確に把握できている訳ではないが、それほど高速なものが使われてはいないと推測している。高価格なものはそれだけ電源の充実や電源系ノイズ対策に注力されているものと思うが、やはり音楽再生(デジタル再生)という観点ではそのようなアプローチの方が正解なのではないだろうか。
等々、邪推にも似た考えが頭の中を巡る。であれば、このお出かけラズパイ、電源系やクロックについてはやるべきことをやり、極めて高い水準にあると思うので、ここで使っているラズパイ4を3Bに換装したらどうなるか? という思いが沸々と。いや待て。Symphonic-MPDのラズパイ4対応版も基本のところが動き出しているという情報もあるので、そちらを試してみる機会は遠からず来るであろう。それを待ってからでも遅くはない、、、
(注記)ラズパイ4のLAN速度を落とすには以下のethtoolコマンドを使用する(lightMPD環境)
#/usr/sbin/ethtool -s eth0 speed 100 duplex full
なお、恒久的に適用するにはlightmpd.confの「post-up」として記述しておく。
(注記2)ラズパイ3B+では、本来config.txtに「dtparam=eth_max_speed=100」と記載すれば良いはずなのだが、この設定をしても我が家では100Mbpsに落ちない(という不具合?がある)。そこで、rc.localの末尾に下記のethtoolコマンドを記述した。
#sudo ethtool -s eth0 speed 100 duplex full
(2020年3月7日追記)
LANケーブルは通常8線であるが4線の方が良いとの情報もある。この場合通信はFull Duplex(全二重)ではなくHalf Duplex(半二重)となる。生憎と当方は4線式のLANケーブルを持っていないので、便宜的に設定でHalf Duplexを試してみた(上記コマンドでは「duplex half」と記述すれば良い)。差は微妙なような気もするが、僅かにこちらの方が良いかなとも感じた。物理的なケーブルの変更とは異なるとは思うのだが簡単にできるので興味ある方はお試しあれ。(追記終わり)
4way構成の設定備忘録(2019年12月4日更新)設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
Sony SUP-T11 |
Accuton C51-286 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+4) |
110 (+17) |
93 (+0) |
93 (+0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+1.2 |
-10.0* |
+1.7 |
+3.8 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-3.0 |
-3.0 |
-6.0 |
-3.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
-6.0 |
-12.0 |
-6.0 |
-12.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
89.2 |
85.0 |
82.7 |
81.8 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 500 |
500 ~ 1400 |
1400 ~ 2500 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-48 |
48-24 |
24-18 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-7.0 |
-37.0 |
+30.0 |
+30.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
MPD 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|