オーディオ日記 第48章 妄想と葛藤(その13)2020年2月10日


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PCオーディオの実力を考える(6):感慨

ラズパイ3をベースとしたアップデートはおそらくこれが最期となるものと思われるSymphonic-MPD V0.9.4にてBGMを流しながら、この駄文を書き連ねている。PCオーディオも此処まで来たのだ、という深い感慨とともに。

音楽再生専用の PC を最初に設えたのは一体何時のことだったか、、、あまりにも昔過ぎて明確には思い出せないが、筐体だけそれらしくしても中身はWindows(当時は確かXP)の素の状態であり、ONKYOのサウンドカードからの出力という今となってみれば貧相なものだった。それでも一応それなりの評価できる音が出て、以来PCオーディオが音楽再生の主役を占めるようになった訳だ。

そこから幾多の変遷があったのか、、、機器やソフトウエアを含む環境などはひとつひとつ思い出す事はできるが、その過程のそれぞれの音を明確に覚えているとは云えない。VoyageMPD、BugheadそしてJPLAYに出会ったことがいろいろな意味で当方のPCオーディオ環境の大きな転機となった事は間違いなく、その都度音としても進化してきたものと思う。

だが、それらが納得の音を出してくれるまで当方のPCスキルの不足などもあって相当の葛藤、苦労を強いられたことももう一つの事実である。それらをひとつづつ呻吟しながらもいろいろな情報を血眼になって探しそれなりには克服してきた。

特にOSに係わる基本的な知識や設定に係わるノウハウというものは、単に見様見真似でもスタートする事はできるが、何らかの問題に突き当たった時は自力で情報を集め仕組みを理解した上でその課題を解決していくしかない。ポンと買ってきた機器とはまた違う意味での「使いこなし」が必要になるんだろうと思う。

世の中でPCがオーディオとしての存在価値を認められることと同時に、PCオーディオに係わるもろもろの価格にも変動が起こった。所謂オーディオ価格の登場である。ケーブル類は云うに及ばず、周辺機器にもオーディオ用を謳う高価格なものが登場してきた。高品質なパーツや機器の登場は非常に有難くもあるのだが、何故これがこんなに高価?という疑問が拭えないものもまた多数登場することになった訳だ。

PCオーディオの面白さの基本は、OSや再生ソフトにも依存するのであろうけれど自分で音を作り上げることも出来る、という点であろうか。筐体、電源、使用するパーツ、OS、再生ソフトウエア、そしてそれらのチューニングという設定の多様さ、数多から選択可能な電源系デジタルノイズ対策。これらが多分渾然一体となって自分のPCオーディオの音を築き上げていく。更には新しいテクノロジーも登場し、大抵そういうものは音の良さを喧伝するので取捨選択もなかなかに難しくもある。

だがら、自分のPCオーディオの音は己のオーディオにおける考え方やアプローチ、そして哲学すら反映されたものとなり得るのかもしれない。これは逆に云えば、自分の価値判断、音への判断力が問われることにもなる。それぞれの選択肢をどのような観点から選び抜き、最終的な自分の音に繋げるための評価をしているのか、という点である。

あれもある、これもある、これで激変? などなど迷ってしまうような情報は世に沢山あるのだが、現実全てを試すことも出来るほどの余裕は誰しもないと思う。従って、自らの経験と勘も総動員しながら、情報の海から候補を洗い出し、相当に絞り込んだ上でそこから具体的な試聴評価をしていくしかないと考えている。

オーディオには正解が無く、これが真実の音、というものも無い?ので、PCオーディオも多様なアプローチがあって良いと思う。その中で自分が「モアベター?(古いね)」と思うところに行き着ければ幸せなのではないだろうか。時に思う事はオーディオの良い音は「プライスレス」であって、投下した費用と音は必ずしも相関関係を持たない(もちろん近似的な関係性があることは否定しない)。特にPCオーディオを中心とするデジタルオーディオ回りにはその感が強い。

一方で(ここが難しいところではあるのだが)努力や執着心がなければオーディオとしての音は向上しない。 だから常にアンテナを張り巡らせ、改善のタネを探しているとも云える。だがそれが真に音を向上させることになるとは限らず散財に終わることもある。我がオーディオは昔も、今も、これからもそのような浮沈の繰り返しなのかもしれない。そして永遠にゴールには辿り着けないのだろうと思う。

しかし、現実に此処まで来たPCオーディオの音もある。それもラズパイという極めて廉価なプラットフォームの世界で。当然ながらソフトウエアとしては長い長い努力の結晶として磨き上げられたものであって一朝一夕にはここまで到達しないし、このようなものが登場すること自体稀である。趣味の世界では必ずしも廉価なものは評価されないこともある。だが、これは多くの人に聴いて欲しいと願わずにはいられない。どうすればそれが実現できるのか判らないが、それはまた一方でサポートという苦難の道ともなろう。

時に思うことなのだが、自分としてはここにずっと留まっていたい気もする。特にそれが気に入った音楽を納得の音でプレイバックしてくれている瞬間には。しかし、まだ先に進まねならない。プラットフォームやテクノロジーは加速しながら進歩する。PCオーディオを真に享受しようとするならばそれに追随しなければならないのだ。


4way構成の設定備忘録(2019年12月4日更新)設定値

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 -10.0* +1.7 +3.8
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -3.0 -6.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 85.0 82.7 81.8
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

500
500

1400
1400

2500
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -7.0 -37.0 +30.0 +30.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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