オーディオ日記 第48章 妄想と葛藤(その8)2020年1月24日


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Symphonic-MPDを試す(その14):UPnP化編

JPLAY FEMTO、Symphonic-MPD、lightMPDといういずれも珠玉の音楽再生ソフトウエアの三つ巴に決着をつけるためにまずは同じ環境条件にした上で比較すべきであろう、とこのところの一連の実験と試聴で思い至ったのだが、事はそうそう簡単にはいってくれないものである。lightMPD UPnP on PCについては音出しまではできたものの結果としては 惨敗、撤退 となった。(いずれ専用プラットフォームを準備してリベンジしたいとは思うが)

だが、ここであきらめてはいけない、、、と(老骨に?)鞭打ってSymphonic-MPDのUPnP化にもチャレンジしてみることとした。Symphonic-MPDの音の良さに負荷分散、機能分散という対応が果たしてどのようなインパクトをもたらすものなのか、確認してみたいという気持ちには勝てない。また、この構成が実用になるようであれば、DSDtoPCMという課題もクリアー出来る(minim server利用でSoXによるDSDtoPCMを行わせる方法が可能)ので、ある意味一石二鳥でもある。Symphonic-MPD単体の場合にはサンプリングレートコントロールの柔軟な対応が現状難しいので、これが我が家の課題でもあったのだ。

だが、これはそもそも当方のスキルレベルで実現可能なのかという躊躇もありながらいろいろな情報を集める。かって、Archphile on Raspi 3B+での経験があるので、 upmpdcli をインストールすれば良い、ということは理解しているのだが、スタート時点ではほぼそれしか判っていないというお寒い状況。だが、 情報 を集めるうちに段々と光は見えてきた。一方で、いろいろな情報、アプローチがあり、どれが正解なのかは試して見なければ判らない。ある程度見えてきた手順を自分なりに整理(末尾に備忘録として記載)して着手してみることとした。ただし、自分の行った方法が正しいものなのかどうか判断はついていない。

ベースとなるSyphonic-MPDはV0.9.3という現時点では公式リリースの最新版で行った。幾つかの試行錯誤はあったが、概ね整理してみた手順でupmpdcli自体のインストールは成功した。だがお断りしておかねばならないのは、これは開発者が意図した構成ではないこと。故にサポートなども期待できるものではなく一切自己責任である点。また、音云々についても、本来のSymphonic-MPDが目指しているものとは異なるものであること、この点は予めご理解願いたい。

さて、無事にインストールが完了したが、果たして動くのか、、、設定が終了した後一旦リブート。mConnectHDを立ち上げる。ややあって、再生デバイスの一覧表に当方の設定したUPnPのFriendly Nameが現れる。おっ、いけるかな? 恐る恐る選曲再生を指示する。何と一発で音出しが成功した。だが、ここで喜ぶのは未だ早い。先のlightMPD UPnP on PCでの痛い前例がある。音質を確認しながら、いろいろな音源を取り混ぜて再生し最低でも一時間以上は様子を見ないと。

しばし再生させ稼動自体はどうやら全く問題が無さそうである。而して、音は? これが正直微妙なのである。Symphonic-MPDは単体での稼動を前提にかなりギリギリと細部にわたっていろいろなチューニングを施していると思われるので、それがupmpdcliの動きとマッチしていないように感じてしまうのだ。さらに、ハイレゾ系の音源では時たま僅かであるがプツノイズが入る。これは実はArchphileのupmpdcli化でも 経験した こと。その時はいろいろと試行錯誤したが結局このプツノイズを取り切れず、またそれを越えるような音質も得られずUPnPでの運用を打ち切った経緯がある。定かではないのだが、やはりArchphileの時と同じ現象ではないだろうか。

なおlightMPD UPnP版と比較すれば、音の個性がかなり異なると思う。ある意味妄想しまくりで「超絶的な音」をちょっと期待し過ぎたのかもしれない。だが、これはまだスタートである。これで早々に結論を出してしまうのではとてももったいない。いろいろなチューニングを施してみる必要があるだろう。少なくともmpd.confのaudio-buffer_sizeとの関連性が強いことも現時点までに判ってきたが、最適値となると未だ暗中模索。また3Bではなく、3B+で稼働させてみるという手もあるし、それ以外にもチューニング要素もあるので、ひとしきりやってみようと思う。

(半日経過しての追記)取り敢えずできそうなところからあれこれと設定を弄っては確認を繰り返してみたが、やはりプツノイズが完全には取り切れない。これはArchphileでの多少苦い経験ともつながることもあってやや諦観の境地になりつつある。まだまだ判断には早いとは思うが、、、また、音の傾向であるが、前述したように随分と印象が異なる。音の切れ込みという点では極めてシャープなのだが、腰高に感じるところもあって音楽表現が異質になる。この辺りは充分にチューニング仕切れていない部分が影響しているものなのか、あるいはpolipoの有無が影響しているのかまだ良く判らないのだが、、、改めて標準状態のSymphpnic-MPDとも比較しないと判断を誤る部分だとも思う。なお、現時点での評価はlightMPD UPnP版の方が安心して音楽を聴ける、というところでポイント獲得か? いやいやまだまだ、Symphonic-MPDのリベンジも楽しみである。

(2020年1月28日追記)
プラットフォームを3Bから3B+に変更し、ベースとなるSymphonic-MPDもV0.9.3からV0.9.4b4に変更したことにより、ハイレゾ音源におけるプツノイズ問題は解消し、また音も非常に安定、普遍的なものとなったことを追記させていただく。

(備忘録)Symphonic-MPD 0.9.3 UPnP化
    (注記:前段となる一般的なセットアップの部分は割愛してある)

1.準備
「/etc/apt/sources.list.d/upmpdcli.list」というファイルを作成し下記の二行を記述。

deb http://www.lesbonscomptes.com/upmpdcli/downloads/debian/ unstable main
deb-src http://www.lesbonscomptes.com/upmpdcli/downloads/debian/ unstable main

(注記1)この記述については下記の情報もあるが、これはRaspbian Stretch専用と思われインストール不可。情報は こちらに。
deb http://www.lesbonscomptes.com/upmpdcli/downloads/raspbian/ stretch main
deb-src http://www.lesbonscomptes.com/upmpdcli/downloads/raspbian/ stretch main

(2020年2月19日追記)下記のRaspbian Jessie版はインストール可能で正常に稼働する。
deb http://www.lesbonscomptes.com/upmpdcli/downloads/raspbian/ jessie main
deb-src http://www.lesbonscomptes.com/upmpdcli/downloads/raspbian/ jessie main

2.鍵の取得と設定
#gpg --recv-key '4C6E 80B6 374D CD5F 53AB 706A 32D9 C2A8 35ED 066C'
#gpg --recv-key 'F8E3 3472 5692 2A8A E767 605B 7808 CE96 D38B 9201'
#gpg --export '32D9C2A835ED066C' | sudo apt-key add -
#gpg --export '7808CE96D38B9201' | sudo apt-key add -

3.インストールの実施
#sudo apt-get update
#sudo apt-get install upmpdcli

(注記2:2020年2月19日改訂)何通りか試してみたが、上記に記載したバージョンの内、Jessie版、Debian版はインストール可能かつ正常に稼働する。ただしDebian版を3Bで稼働させるとハイレゾ系の音源でプツノイズが確認される。なお、インストールされるupmpdcliのバージョンはJessie版ではV1.4.5、Debian版ではV1.3.8と異なる。このため、Symphonic-MPDとの整合性という観点からはJessie版の方が好ましいかも。また鍵については、以下のみでもdebian版のインストールは可能な模様。情報は こちら に。ただし、念のために端折らないことをお薦めする
#gpg --recv-key 'F8E3 3472 5692 2A8A E767 605B 7808 CE96 D38B 9201'
#gpg --export '7808CE96D38B9201' | sudo apt-key add -

4./etc/upmpdcli.confの設定
checkcontentformat = 0
openhome = 1
ohmetapersist = 1
lumincompat = 1 (一応この設定をしてみたが、Luminでは動かないかも?)

(注記)デフォルトのレンダラー名では「UpMpd」と少しダサいので適宜名前を変更することも可能
    friendlyname = SymphonicMPD  (当方の設定例)
    ohproductroom= SymphonicMPD

5.upmpdcliの有効化
#sudo systemctl enable upmpdcli.service

6./etc/mpd.confの設定(基本的に通常の設定通り)
port "6600"
bind_to_address "any"
mixer_type "none"
#direct_io "yes"  (コメントアウトしたが意味あるかどうかは不明)

(以下はチューニング要素のひとつ、現状はデフォルトとしているがおそらく要変更)
audio_buffer_size "640" (Symphonic-MPDのデフォルト値640)
buffer_before_play "75%" (デフォルト値)

7.リブートと確認
一通りの設定が終わったら、念のためリブートし、UPnPレンダラーとして認識されるか、mConnectHDなどのコントロールポイントから確認。upmpdcli.confで設定したレンダラー名が表示されれば基本的にOK(のはず)

(2020年1月25日追記)
8.UPnPモード停止 (Stand Aloneへの復帰)
upmpdcliによるUPnPモードとStand Aloneモード(NASを使用する通常のスタイル)とは下記のコマンドで行ったり来たりが可能
(戻す場合)
#sudo systemctl stop upmpdcli.service
#sudo systemctl disable upmpdcli.service
#sudo reboot

(UPnPモードへの移行)
#sudo systemctl enable upmpdcli.service
#sudo reboot

(2020年2月17日追記)
9.WEB-UI(ympd)の停止
UPnPモードでWEB-UIを使用しない場合は停止も可。但しshutdownはssh経由で行う必要がある。
#sudo systemctl stop ympd.socket
#sudo systemctl stop ympd.service
#sudo systemctl disable ympd.socket
#sudo systemctl disable ympd.service

(2020年2月25日追記)
10.その他の使用しない機能の停止
SpotifyやAir Play(Amazon Music HD)を使わない場合は停止して稼働プロセスを減らすことも可
#sudo systemctl stop spotifyd.service
#sudo systemctl stop shairport-sync.service
#sudo systemctl disable spotifyd.service
#sudo systemctl disable shairport-sync.service


4way構成の設定備忘録(2019年12月4日更新)設定値

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.2 -10.0* +1.7 +3.8
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -3.0 -6.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.2 85.0 82.7 81.8
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

500
500

1400
1400

2500
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -7.0 -37.0 +30.0 +30.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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