オーディオ日記 第45章 エンドレス・オーディオ(その19)2019年6月10日


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ラズパイは美味しいか!?(その8):Hi-Res編

ArchiphileとMPaDの構成に於いて、無事カバーアートが取得できることが出来るようになったので、多少気を良くして次のステップのテストである。これで、ラズパイ、Archiphileでのお勉強、検証もいよいよ大詰めとなるか。続いて行うのはHi-Res音源(含むDSD音源)に対する再生パフォーマンスの確認である。

比較試聴する構成は以下の三通りで、ArchphileのUSB出力はサンプルレート変換無し(DSDtoPCM変換も無し)という「素」の再生スタイルである。

1.Archphile単体 (MPaDからの操作)
2.Archphile UPnP/DLNA構成 (JRemoteからの操作)
3.JPLAY FEMTO (JRemoteからの操作)

我家には数百アルバム以上の所謂Hi-Res音源があるので、これを完璧に再生できることが常用する上での必須条件となる。もちろんHi-Resなど不要という意見もあるとは思う。偽Hi-Res(CD品質の音源を単にアップサンプリングしたもの)は論外として、きちんと製作されたHi-Res音源は音楽としての充実感、満足度をもたらしてくれると思っている。特にクラシック系の音楽においては、静けさやホールエコー、ダイナミックレンジなどの観点から録音に於ける「器の大きさ」を感じさせてくれる優れた音源が多い。逆に云えばHi=Resで録音されたものは案外と駄録音は少ない。過去のアナログ名盤をトランスファーしたものでもきっちりと製作してあるものはやはりその良さを感じさせてくれる。従ってその音源の持つポテンシャルを十分に発揮させてあげられるオーディオ環境が必要となると考えている。

ラズパイは小なりと言えどもコンピュータであるのだが、プロセッサーパワーは価格なりに貧弱である。ノイズ面の影響もあるので必ずしも高速処理能力が必須とは思わないのだが、意外と弱点を見せる部分かもしれない、、、という思いを抱きつつ試聴をスタートさせる。

まず(1)のArchiphile単体でDSD音源から聴き始める。音楽としては悪くないと思うのだが何だか華やかな感じとなる。多少音が軽くなるようにも思える。また背景の静けさに欠ける、、、など聴き続けるに従って課題が顔を出す。一番気になるのは時折小さくプツノイズが入ること。この音の傾向と症状はパワーが足りていないところから来るのな、電源系ノイズか、あるいはCPUの過熱か? ラズパイの蓋を開けてヒートシンクを触るとやはり相当熱い。念のためにファンで風を当てるようにしてみたが音の傾向、症状は変わらず。ただし、DSD音源の場合は後段のMUTEC MC-3+USBでDSDtoPCMさせているのでこちらとの連携の問題も考えれる。そこで、音源をDSDからPCM(192KHz/24bit)に変えてみる。やはり音は明るい。ただこれはこれでありかな、とも思わせられる音なのだが、時折入るプツノイズの症状は皆無にはならない。オーケストラの演奏の弱音部分でこのプツノイズが入るのは全く興ざめなので、このままでは不合格、、、

単体での稼働では無理があるのかな? ということで(2)のArchphile UPnP/DLNA構成にPCM音源のまま変更してみる。さて負荷分散の効果は、、、一発で不合格である。音の傾向は更に華やかになり(端的に云えば煩くなり)、プツノイズの頻度も増える。これでは負荷分散にもなっていない。これはどういうことか、頭を整理してみようと思うが正解は見いだせない。考えられるのはUPnP/DLNA化させているupmpdcliとmpdのインターフェース部分の負荷影響でまともにHi-Res音源は再生できないということなのかも。推測してはみるのだがこれが要因なのかは不明。

(2)の構成はHi-Res再生ではどうしようもないので、いったん(1)の構成に戻す。音の傾向はともかくとしてプツノイズを何とかしなければならないのだが、、、音源搭載のPCサーバーはQuad Coreの3GHz級のCPUだし、1GbpsのLANだし、ということでネットワーク経路上では改善策が見い出せない。推測としては、音源ファイルを追加で読みに行くタイミングでプツノイズが来るようにも思えるのだが定かではない。あるいは電源供給量の不足かも、と推測してみるのだが、現状は5V電源で3A以上のものを持っていないのでこの点は改めて後日のテストとせざるを得ない。

ちょっぴりもやもやっとしながらもリファレンスである(3)JPLAY FEMTOに変えて聴いてみる。率直に云えば思った以上に(1)との差がある。感覚的な部分ではあるのだが、44.1KHz/16bit音源での比較の時よりも落差があると感じる。決して悪い音ではないのだが、明るく華やかな傾向がHi-Res音源では強調されると云えば良いのか。これには多少の好き嫌いもあるものとは思うが、当方にとっては宜しいとする傾向ではない。また、プツノイズ問題が解決に至らなければ現時点ではやはり「合格判断」とはならない。

44.1KHz/16bit音源を聴く限りにはそう遜色はないものと思っているのだが、Hi-Res音源の完璧な再生はそう容易くはないものだな、と改めて考えざる得ない。だが、これで決着という訳でもないので、試行錯誤はまだ続きそう。

(プツノイズ対応としてやってみたこと):

1.不要なプロセスの停止 (avahi-daemon、ympd、devmon@root):変化なし
2.remapler pluguinを設定を削除:変化なし
3.伝送バッファーサイズの変更:悪化
 mount optionのrsizeはデフォルトの1048576を使用していたので、fstab上にArchphileサンプルとして記述されている8192に変えてみたが、却ってノイズまみれに近くなる。ただし、このオプションの変更でこのような差が出るということは、この辺りに何か原因があるのかも。

4.ラズパイ、Archphile以外の環境面の問題か切り分け:ラズパイ、Archphileの問題
 ラズパイよりさらに非力なALIX3D2、VoyageMPDにてDSDならびに192KHz音源を再生、プツノイズ発生なし。ネットワークあるいはUSB DDC以降の下流にも問題が認められず。

5.サンプルレートの差異による切り分け:44.1KHz/16bitはOK、96KHz/24bitでは発生

(2019年6月11日追記):本記載は誤り
6.CPU動作クロックの固定 (ラズパイ3B+では設定不能)
 プツノイズ対策としてCPUの動作周波数を固定してしまう、ということが有効であった過去のPCオーディオの経験から本件トライしてみた。cpufrequtilsというツールをインストールするとCPUの動作状況の照会や動作モードのセットが出来るようになる。しかし、cpufreq-setコマンドを使用してpowersaveモードとしても動作周波数を一定にすることはできない。動作モードをondemandから変更すること自体はできるのだが、3B+では肝心の周波数が一定(600MHz)にはならない。

(2019年6月30日上記訂正)
CPUクロックの変更は/boot/config.txtにarm_freqとforce_turboの指定を行うことによって3B+でも実施可能であった。クロックを1368MHzに設定して テスト実施済


4way構成の設定備忘録(2019年4月25日更新)SONY SUP-T11暫定設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.4 +0.7 -9.5* +4.8
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -0.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.4 90.7 94.5 91.8
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

200
200

1000
1000

2500
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 48-48 48-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -37.0 -0.0 -58.5 +0.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Rev JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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