オーディオ日記 第46章 幸せの音(その14)2019年8月3日


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セラミックドームその後:

Accuton C51というセラミックドームユニットを 導入 してから半年程度経過した。このユニットの持つポテンシャルを感じつつもどのように我が家の4way構成の中で活かしていけば良いのか試行錯誤を続けてきた。やはり一番の悩みはSONY SUP-T11というホーンドライバーからこのユニットに中高域の帯域担当を変更してしまうと、女性ボーカルを中心とした艶やかな表現がさっぱりしすぎてしまうというところにあった。

だがその点も、SUP-T11を中域に、C51を中高域に使用する、というちょっと欲張り(かつ無謀?)と思われる試行を行ってみた結果、この構成が存外に気に入ってしまい微妙な細部の調整を続けることになった。基本的にはSONY SUP-L11とSUP-T11で音の密度感や充実度を重視してほぼボーカルの基音となる帯域をカバーしてしまうスタイルなのだが、そこにセラミックドームの中高域、ベリリウムの高域をうまく乗せていくことによって、現代的なオーディオでは重要視される音場表現や高域感にも対応させてみようという試みあるいは魂胆である。

もちろん、ホーンドライバーの音の出方とドーム系ユニットでは音の出方そのものや指向性の違いがある。従って、この部分の違和感が出てしまうとこの構成は成功しない。このため、クロスオーバー周波数とスロープ特性のみならず物理的な前後位置の調整などいろいろな観点から自分にとって音色そのものや音の広がり、透明感などが納得できるところまで詰めようとあれこれとトライを続けている。



今般同時並行的に音の上流としてSymphonic-MPDを試しているので、Symphonic-MPDが持つ爽やか感も併せて活かせればと考えてきた。現状若干ながら落ち着いた状態になりつつあるが、そのポイントは

1.SUP-T11とC51は1250Hz、-24dB/octでクロスさせた時が一番双方の美味しいところとなる。
2.ユニットの前後位置として、C51とベリツィータを多少前に出すと音の広がりや透明感をより出せる。

というもの。まぁ、全くこれは当方の独りよがりではあると思うのだが、、、特に2.については理論的にはユニットは同位置にあるべきとも思われるので多少の引っ掛かりはあるのだが、効果として感じられるメリットを享受したいと考えている。ホーンドライバーとドームユニットにはエネルギー感の違いがあって、音の到達距離による聴こえの違い(距離による減衰量の差なのか?)が生じる。このため、ドームユニットの音の広がりや透明感の表現、さらにはこのユニットの低歪の特長を活かした浮遊感を出そうと思うとやや前に出した位置に設置することが結果として好ましく感じられるのだ。前後位置の距離の差はタイムアライメンを取ることで補正できるのだが、これを物理的な同位置にしてしまうと、C51の持つチャーミングさがホーンドライバーのパワーに負けてしまう?ように思われる。これはおそらくはユニットの構造上の違いに起因するもののようで単純に出力レベルを上げる、という方向では解決できないのだ。もちろん、物理的な配置による指向特性の違いが生じるということもありそう。

このような配置による影響なのかもしれないが、クロスオーバー周波数の変動にはシビアーに反応する。通常マルチアンプシステムの構成において、クロスオーバー周波数の若干の変更では聴こえそのものに大きくインパクトを与えない、ということも経験的にはあるのだが、この前後位置を調整した配置では違う。音楽の密度感や声の表現が微妙に変わるのだ。従って現時点では1250Hzとしているが、もっと最適なクロスオーバー周波数があるかもしれないと考えている。ただし、当方のデジチャンのクロスオーバー周波数はプリセットされたものから選択するしか方法が無く、これ以上のきめ細かい調整は不可能なので、これはややもどかしい点である。

人間の耳の周波数特性は確か1KHzから2.5KHz辺りにかけて高い感度を持っている(うろ覚えだが)はず。つまるところC51というユニットの爽やかさや空気感、素直な高域は極めて低歪な特性に支えられており、その特長を最大限に活かす使い方が望ましいとも考えられる。また逆に、低域に於いては微細な出力レベルの差は人間の耳は感知しにくいように出来ている(音の分厚さはリアリティの面からは必要)のだが、声の帯域に於いては敏感に音の特徴や質感を聞き分ける能力に長けている。そしてこの帯域での解像度や密度感によって人間の声の実在感や艶の表現を感知しているのではなかろうか。そこをボーカル再生能力の高いSONYのユニット達に任せてしまうという方法も一理はあるかも、と認識している。またパワーリニアリティ(直線性)という観点から、高感度のユニットの表現能力はダイナミックレンジの大きい音楽(オーケストラなど)では自然な音楽の盛り上がりを提示する上ではやはり必須なんだと思わざるを得ない。

現状このような解釈は取って付けたようなもので音響心理学的にも正しいものなのかどうかなど全く判っている訳ではない。あれこれやってみた結果が自分の嗜好性にマッチしたというだけかもしれない。だが、長らく4way構成にチャレンジし続けてきてやっとではあるが、自分なりに「幸せの音」に近づけたような気がしてきたことも相違ない事実。単に耳の衰えによる自己満足とも云えなくも無いのだが、と自虐的には思うところもあるが、少しは自分をの感性を信用しなければ。

このところの酷暑なので、閉じ篭りでまったりと音楽を聴き続けているのだが、やっと此処に来てオーケストラの多様な表現から女性ボーカルの機微まで納得できるようになって来た事は望外かもしれない。オーディオの奥の細道を訪ねる旅ももうそう長くは無いのだろうと思う今日この頃なのだが、、、


4way構成の設定備忘録(2019年8月3日更新)設定値(Mid-Highは未補正)

項目 帯域 備考
Low Mid Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +1.7 -9.3* +1.7 +3.2
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -3.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -6.0 -12.0 -6.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 89.7 88.3 85.7 84.2
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

630
630

1250
1250

2240
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-24 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -5.0 -37.0 +37.0 +40.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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