オーディオ日記 第46章 幸せの音(その8)2019年6月30日


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Symphonic-MPDを試す(その4):失敗編

順調な滑り出しを見せていたSymphonic-MPDであるが、もうちょっとだけでも音質向上を図りたい、と欲を出してしまった。 R&Dクラブ の情報としてご教授いただいたCPUクロックをアップさせる方法である。Symphonic-MPDはラズパイ3B用に設えられてあるのだが、当方の持っているのは3B+でCPU性能が強化されているバージョン。この3B+の性能を生かすためにはCPUクロックを3B規定値の1152MHzから3B+用に1368MHzにアップさせた方が良い、と素直に考えられる。

クロックアップする方法は/boot/config.txtにてarm_freqというパラメータでMHz単位のクロック指定をしてあげれば良い(クロックを固定するためのforce_turboという設定も不可欠だが、これはSMPDでは予め設定されている)ので簡単である。また、CPU冷却に関しては外部ファンを設置済みなので稼動温度も平均45℃程度と問題ないであろう。

これだけを素直にやっておけば良いものを、他に合わせてやることはないかな? とあれこれ考えてみた。本来的には電源対策が必須なのだが、ラズパイ4が出ることとなり、3B+(マイクロUSB)と4(USB TypeC)では電源プラグの仕様が異なることもあって、どうせならラズパイ4対応で安定化電源を調達したい。ならば、ということで暫定的に行っていた Vitroperm(リングコア) によるノイズフィルター機能をより強化しておこうと考えた。と云ってもやる事は簡単。従来コアに一周させていたものを二周させて、ノイズフィルター効果を高めようというもの。だが、これが思わぬ結果となった、、、

クロックアップの設定とVitropermへのグル巻き追加の2点を実施して、SMPDを起動。何だか音に切れがない、、、SMPDらしい良さが全く感じられない。ラズパイを見ると電源LEDが点灯している(SMPDでは正常起動するとLEDは消灯)。あらら、これはどういうこと? クロックアップがうまく行っていないのかな、ということでWeb UI(ympd)のDash Boardにて為念状況を確認する。CPUクロックは設定値の1368と表示されるので問題はない、、、はず。だが、Dash Boardを良く見ると、電圧低下が起きたよ、との表示がある。電圧低下?  Archphileでテスト している時に時々電源LEDの消灯があって(Archphileではラズパイの本来の機能として電圧低下が起こると電源LEDが消灯する)何が原因なのか掴めずにいたのだが、Hifiberry Digi+Proを追加した影響かもしれないと考えていた。それと同様のことが起きている。電源アダプターは3B+用に5V3Aのものなので、本来容量不足は無いはずなのだが。
(注記)ラズパイは電源電圧が5Vから4.63Vまで低下するとこのような電圧低下、電源容量不足を検知する仕組みがある。

原因が掴めぬまま納得のいかない音で聴き続ける。ところがWeb UIの操作がえらくもたつくことがある。おかしいな~今までこんな事は無かったのに、と思い再度Dash Boardを確認する。何とCPUクロックが600MHzに落ちてしまっている。ラズパイ本体の電源LEDは点灯したまま。どうもこれは明らかに電源容量不足だろうと思うのだが、、、となると電源アダプターの不良か? テスターでDC出力を測定すれば良いのだが、あいにくとマイクロUSBで端子がえらく小さいこともあって測定困難。ちょっと悶々とする。

音楽を聴きながらも心此処にあらず、でぐるぐると考えをめぐらす。Archphileの時より状況が悪化しているようなので、やはりクロックアップによる電力消費の増大が直接的な原因か、との当然の結論に至り、クロックを元に戻してReboot。まずい、、、状況は全然変わらない、改善してない。どうして?

待て待て、こういう時はだな~と自分に言い聞かせて頭を整理する。悪いところは思いつかない。じゃ、他にやった事は? だいたい何かやったことが悪さをしていることが多いというのが自分流経験値。まずはそれを戻せば良いのだが、、、すぐには思いつかない。あれ~思い当たることがない。

だが、よくよく考えてみればVitorpermへのグル巻きを二周にしている。でも、これが影響する訳はないよな~と理性は否定する。だが、行っている事は事実。ダメ元だけどと思いつつ、一旦Vitropermを外す。何と! 電源LEDがちゃんと消灯する。Dash Boardで確認しても設定値のCPUクロックになっているし、電圧低下が起きたよのメッセージも無い。

再度CPUクロックを試そうと思っていた1368MHzに戻して再起動。電源LEDは消灯する。Dash Boardでも全くの正常。音もSMPDの切れのある本来の音に戻っている。まさかね~とは思うのだが。再度記憶を辿れば、Vitropermを入れた段階から電圧低下の症状が出始めているような気もする(正確ではない)。つまり、電源アダプターからの電源線を一周させると時々電圧低下が起こる。二周させると相当頻度で電圧低下となる。CPUクロックは関係ない、という結論となるのだ。

Vitropermを通した状態での電圧が測定出来れば確認できるのだが、、、マイクロUSBは小さすぎて手強い。ショートさせてもいけない。従い最終的な結論は少しもやもやとしているのだが、Vitropermを外した状態で再生させている。だが、電圧低下の状況は以後起きていない。

ノイズフィルター機能としてVitropermの優秀さは理解しているのだが、DC電圧まで降下させてしまうことがあるのか? これは相当強力はフィルタリング機能と解釈すべきか? 他で使っているところもあるので、これはVitorpermの使い方の見直しをせざるを得ないな、と思う。また別途環境を作ってテスターで電圧降下の有無を実際に確認しておく必要がある。

結果的に、欲を掻いたけど元の木阿弥。CPUクロックアップについては現在実施して聴いているが1152MHzから1368MHzへ速度アップした音の変化は多分に心理的なもので当方の駄耳では聴き分けられてはいない、、、だが、ひとつ貴重な勉強をした、と云うことにしておこう。

(2019年7月2日追記)
上記電圧低下の件、別の電源アダプターにて電圧低下が起こるものかどうかテスターで電圧測定を実施した。6V2A仕様のアダプターでVitroperm有、無とも6.19Vで電圧は変化しない(負荷はテスト用に軽いもの)。また、ラズパイの電源アダプターであるが、Vitropermなしの状態でも夜間(20時~22時くらい)に 頻度は少ないが電圧低下が起きることを確認した。昼間は起きていないことから、集合住宅であるが故に当該時間帯で電力需要が高い時には電源品質に問題( 100Vから低下しているなど)があるのかもしれない。いずれにしてもVitropermは「無罪放免」である。疑って御免! ラズパイ用の電源アダプターの供給電圧がそもそも3Aでもかなりギリギリとも考えられるし、アダプター自体の品質の問題もあるのかもしれない。今後のことを考えると5V4A程度のしっかりした電源を確保すべきと認識。


4way構成の設定備忘録(2019年6月17日更新)暫定設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.4 -9.5* +1.0 +3.5
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -6.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 -6.0 0.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.4 94.5 88.0 89.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

630
630

1250
1250

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -5.0 -37.0 +37.0 +40.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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