ラズパイは美味しいか? (その13):DSDtoPCM編
ラズパイの試食もいよいよ大詰めである。Hifiberry Digi+Proを搭載した状態で、DSD音源のダウンコンバート再生にチャレンジ。SoXのマルチスレッドオプションを有効にしてDSFファイルを176.4KHz/24bitにダウンコンバートしての再生である。これはラズパイにとっては負荷も上がるし難問かもしれないが、デジチャンにデジタル入力するという我が家の構成では避けて通れない評価ポイントでもある。
前回
はUSB接続でのテストで今一つ感があったのだが、今回はHifiberry Digi+ProからS/PDIFを直接出力するというシンプルなスタイルでの本命構成である。
なお、これに先立ち192KHz/24bitと176.4KHz/24bitの音源を取り混ぜてのラズパイストレステストを実施した。所謂Hi-Res音源で安定的に長時間の再生を行えるかどうか、である。PCオーディオでは音質、操作性、そして安定性の三項目が非常に重要と考えておりいずれも妥協する事はできない点だ。ラズパイから光ケーブル(ラズパイの電源系ノイズ対策が貧弱な点を考慮)でデジチャンに直接送り込む構成で3時間程連続再生をさせてみた。残念ながらデジチャンでのロックはずれが一回起こった。ラズパイ側の要因かどうかは確定できないのだが、若干のマイナスポイントではある。
今回はDSDtoPCMへのダウンコンバート負荷が加わるが、出力サンプルレートは176.4KHz/24bit一律となるので、はてさてどのような結果となるか。mpd.confのresamplerオプションを有効にして、出力サンプルレートを明示的に指定する。
さて、再生開始。topコマンドでCPU稼動状況を確認するが50~60%の間を推移している。思っていた以上に負荷が高い。ちょっと発熱が心配にもなるので、
小さなファンで外から風を当てて熱暴走を防ぐ処置を実施した。効果があるかどうかは分からないが、、、ダウンコンバートされた音自体は鮮度感も保たれていて、ん?と思うようなところはない。これを書きながら現在まで一時間程度試聴を続けているが今のところロックはずれを含む変調はひとつも起きてはいない。負荷の割には安定していると云えるかもしれない。だが、ダウンコンバート処理がマルチスレッド行われているのかどうかどうすれば確認できるのだろうか。処理状況を把握できるような何らかのツールを見繕ってインストールしておくべきだったかもしれない。(別途やってみようとは思うが)
このmpd.confの設定ではCDリッピング音源も一律に176.4KHz/24bitにアップサンプリングとなってしまうのだが、その場合はCPU使用率は5~6%程度であった(サンプリングレート変換をしなければ1~2%で推移)。DSDtoPCMの処理負荷はラズパイにとってはやはり相当なものだと思う。高負荷で運転を続けると基板自体の寿命が短くなる恐れは大なのでこの構成を常用とすべきはどうかは悩ましい点になりそう。ArchphileではDSD音源だけをダウンコンバートしPCM音源はスルーで流すという仕組みが出来ないが、他のディストリビューションではそれが可能なものもある。全体の音源の量、割合を考えればやはりPCMスルー、DSDのみダウンコンバートということが望ましいな~と思わざるを得ない。(MUTEC MC-3+USBでDSDをダウンコンバートするという仕組みが現在の常用構成なのであるが、これはUSB接続の時のみ有効)
音質的な観点からはどうか。ダメ出しということは全くないのだが僅かにもどかしさが伴う点も無くはない。DSD音源の持つ爽やかな空気感の辺りか。
だがこの構成は充分に合格点と云えるであろう。負荷の割には全く再生が安定していることも特筆と思う(重要!)。何よりこのコンパクトで廉価なラズパイひとつだけでこの柔軟性と音が得られることはことは素晴らしくもある。翻って見ればごてごてと複数台のPCを並べあれこれとチューニングやら対策をするのがPCオーディオであるかのごとく自分でも思い込んできたところがある。Simple & Straight、あるいはSimple is The Bestというアプローチでより良い音を目指せる道筋がここにもあることが発見できた気がする。反省然り、、、
結論として、ここまであれこれやってきてラズパイ(+現状はArchphile)の実力値が相当に高いことを改めて認識させられる結果となったと云って良いだろう。お手軽なサブ機という範疇を超えてそれ以上に使えると思う。もちろん本気になるのであれば、まずは電源系の対応をしなければならないだろうし、何よりHifiberry Digi+Proを装着した状態での裸スタイルを何とかせねばならない。いろいろと金属ケースを調べてみるのだが「これは」というベストマッチが案外とない。結局不恰好でも自分で何とかするしかないかも。だがラズパイの存在意義を考えれば自己満足のために「やり過ぎ」てはいけないような気もしている。
あれこれと思いは尽きないが、多少なりとも経験値を積み上げてきたところでそろそろ次のステップへのチャレンジを考えねばならないだろう。
4way構成の設定備忘録(2019年6月17日更新)暫定設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
Sony SUP-T11 |
Accuton C51-286 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+4) |
110 (+17) |
93 (+0) |
93 (+0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+2.4 |
-9.5* |
+1.0 |
+3.5 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-3.0 |
-0.0 |
-6.0 |
-0.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0.0 |
-6.0 |
0.0 |
-6.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
96.4 |
94.5 |
88.0 |
89.5 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 630 |
630 ~ 1250 |
1250 ~ 2800 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
24-24 |
24-12 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-5.0 |
-37.0 |
+37.0 |
+40.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
MPD 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|