オーディオ日記 第45章 エンドレス・オーディオ(その17)2019年6月8日


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ラズパイは美味しいか!?(その6):DSDtoPCM編

駆け足でラズパイの可能性を探っている。一部不調もあるのだが概ね良好な結果だと思う。そこで、いよいよ本丸に近づくためのテストである。この先GPIOのI2S/SPDIF基板を使ってみることを想定すれば、DSD音源の扱いについて確認と評価をしておかねばならない。現状ではDSF形式の音源がそこそこあり、リアルタイムでDSDからPCMに変換してデジチャンにインプットする方式を検証しておく必要があるのだ。

現在我が家で可能なDSDtoPCM方法は以下のいずれか。現在使用しているのは(2)。

(1)Minim Serverにてtranscodeを設定しSoXに変換させる。
(2)MUTEC MC-3+USBにDSDのまま送り込んで、そこでDSDtoPCM変換させる。

途中経過としてはいろいろとトライ&エラーを繰り返しながらこれらのスタイルに行き着いたのだが、音の評価としては今は(2)の方が優っていると考えている。これはMUCTEC MC-3+USBに10MHzマスタークロック送り込んでリクロック処理をさせていることと若干関係あるのかもしれないのだが、(1)のMinim Server上で一旦PCM化したものをリクロックする方式よりも鮮度感高く感じている。これは途中であまり弄らない、というシンプルさが影響しているかもしれない。

(1)、(2)いずれの方式でもPCM音源(FLAC形式)の場合は何も弄らずそのまま、DSD音源のみDSDtoPCMするというやり方が可能なのだが、MPDは(標準では)そのような対応が出来ず、アウトプットされるサンプルレートが一律となる、という仕様上の制約、足枷がある。Archphileでも同様なのだが、そこは今は置いとくしかないのでとにかくテストを開始することとした。

なお、ラズパイでI2S/SPDIF基板を使うケースでは(2)のスタイルでは出力がSPDIF信号に限定されてDSDには対応できないのだが、新たな方法として、

(3)MPDにてresampler pluginを指定しSoXに変換させる。

ということができる。これが今回のテストの主眼となる。なお、MPD 0.20以降のバージョンで対応できるようになったこの新しいサンプルレート変換の設定方法(これ故にArchphileを選定した)ではOpenMPというマルチスレッド処理の指定が可能となっているので、実のところここに期待している。DSDtoPCMの変換負荷は結構高いのでラズパイのQuad Coreを活かすようなマルチスレッド処理になるのか試してみたいと考えていたもの。もちろんそれで音がどうなるかはやってみなければ判らないのだが、、、、

このテストのため、一旦設定していたArchphileのUPnP/DLNA対応の為のupmpdcliを停止し、MPaDからの操作に切り替える。mpd.confでの出力サンプルレートの指定は176.4KHz/24bit(固定)。設定変更したらmpdをリスタートして、まずはPCM(FLAC形式)音源から。問題なく176.4KHz/24bitで出力される。よし。次にDSD(DSF形式)音源。同様に176.4KHz/24bitにて再生が継続される。おっけ~!

もちろん、ポイントは音である。今回の(3)のやり方と(1)のMinim Serverでの変換と差があるかどうか、これを検証しなければならない、、、 一聴同じようにも聴こえなくはない。だが、特段の引っ掛かりはないのだが音が幾分かおとなしくなってしまった様で少し元気がない。もっと云えば音楽の精気が失われているのかも? まだ聴き始めなので何らかの心理的なバイアスがあるかもしれない。

更にいろいろな音楽を聴き進めると、音の彫りが甘い。ピークがスッと伸びてこない。というちょっぴりネガティブな印象も顔を出し始める。待て待て、まだ結論は早いぞ。あるいはどこか何か見落としてないか? と自問してみる。いやいや案外悪くは無いんじゃ、期待しすぎなんじゃ、、、とも思ってみる。

だが今ひとつのインプレッションであることはどうやら間違いがない。こういう時は普段の構成に戻して音楽を聴いてみることが一番。オーディオにだってその日の気分があるし、まして今日は雨模様だし湿度も高い。音的には良い条件じゃないし、、、と言い訳しつつJPLAY Dual構成で(2)のMUTEC MC-3+USBで変換させる方法に戻る。なお、念のためにラズパイのプラスチックケースの上蓋を外してCPUのヒートシンクに触れてみる。ありゃ~、あっちっちである。これはやはりそこそこ負荷が高いのかも、、、

USB経由DSDで送り込んでMUTEC MC-3+USBで変換させた音。とても残念なのだが、こちらに軍配が上がる。音の鮮度感、深み、そして音楽の楽しさの表現が違う。やはり、と思う部分もあるし、いやまだこれからだ、と思う部分もある。現状は(ALSA経由)USB出力なので、これをI2S/SPDIFにしたら変わるはずとも、考える。しかし、この(2)の方式でもUSB経由である。USB経由だから「音が悪い」という単純思考は結果から云えば必ずしも通用しない。また、ラズパイの負荷が高すぎるとすれば、変換後のサンプルレートは88.2KHz/24bitでも良いかもしれないし、などなどやってみなければならないことも未だある。Minim Serverでの変換スタイルの(1)とも厳密に比較しなければならない。だが、(1)の方法はUPnP/DLNA機能前提なので、MPD単体構成では実現できないし、こちらの方がもし良いのであれば、無理をしてラズパイで変換させる必要は全くなく、PCM音源のサンプルレートを一律にせざるを得ない制約もない。逆に云えば音として同等であっても、この判断が成り立つので(3)案は結局脱落してしまうことになる。はてさて、やはりラズパイ、期待し過ぎてもいけないのだろうか、、、、だが、(3)案はMPDとしてラズパイ単体動作の環境が選択できるし、その場合はMPaD(あるいは新しいアプリである yaMPC )での極楽操作となる、これも捨て難いのだが。


4way構成の設定備忘録(2019年4月25日更新)SONY SUP-T11暫定設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.4 +0.7 -9.5* +4.8
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -0.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.4 90.7 94.5 91.8
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

200
200

1000
1000

2500
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 48-48 48-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -37.0 -0.0 -58.5 +0.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Rev JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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