ラズパイは美味しいか? (その12):I2S/SPDIF編
首を長くして待っていた
Hifiberry Digi+Pro
がやっと到着した。これでいよいよラズパイお遊びも本命に近づいていく。まずは今までテストしたきたラズパイ用ディストリビューションの中からArchphileで試すこととする。本来はRaspberry-Lite辺りから順を追って試すべきと思うが、Archphileでこの構成の音を聴いてみたいという気持がどうしても勝ってしまう。
物理的なセットアップはGPIO基板を挿して2階建てにするだけなのであるが、ラズパイのスタータセットに付いてきたプラケースは当然使用できないのでちょっと削るなどの加工をしてケースの底板部分は流用できるようにした。
流石に底の部分も基板剥き出しという訳にはいなかいので。それでもこの裸状態というのは何とも危なっかしくて今後どうしたものか、、、Hifiberryにはこの基盤とあわせた専用ケースがあるのだが、BNC端子を取り付けることを想定しているため適合しないのだ。ソフトウエア的な設定変更は/boot/config.txtにdtoverlayを追加して、Hifiberry Digi+Proを認識させるだけ。為念確認としてALSA上のデバイス認識ならびにハードウエア番号のチェックを行ったが、単純にUSB出力から切り替えるだけなのでMPD廻りの変更はなくそのまま。電源関係はフィルターを入れただけで特別な対策はまだなし。
裸状態のままMUTEC MC-3+USB上に置いて実験:
なお、ラズパイからのS/PDIF出力に関しては音をしっかりと確認検証して行きたいので以下の段階を追ってテストしてみることとした。音源は44.1KHz/16bitのCDリッピング試聴テスト用のものを使う。
1.光出力でデジチャンに直接インプットする。(無加工)
2.同軸出力でデジチャンに直接インプットする。(無加工)
3.同軸出力でMUTEC MC-3+USBにインプットする。(リクロック有り)
4.BNC出力でMUTEC MC-3+USBにインプットする。(リクロック有り、後日テスト予定)
(注記)光ケーブルはAnalysys Plus、同軸デジタルケーブルはZAOLA
1.と2.はS/DIF出力をそのままデジチャン(DF-65)に入力して「素の」の実力を確認しておくもの。3.以降はMUTEC MC-3+USB(10MHzマスタークロック入力あり)でリクロックさせてからデジチャンに入れる。基本的に送り出し端子(光、RCA、BNC)とケーブルの差異を検証すべきなのだが、まずは3.まで。最終的なプランとしてはBNCでの送り出しを想定しており、基板と合わせて後付け用のBNC端子も購入してあるのだが、(当方にとっては難問の)ハンダ付けがあるので、この部分は後日のテストとなる。
さてさて、ラズパイ+I2S/SPDIF基板の組み合わせの実力は如何に。まずは1.の構成であるが、拍子抜けする位におとなしい。マイルドで聴き易いと云えば良いのだろうか。そこそこ透明感も担保されているようで爽やかな感じである。モーツアルトのディベルティメントをぽわ~っと聴く用途にはマッチしそうで素敵で気持ちの良い音楽が堪能できる。だが、密度感やキレということになると若干ながら不満も顔を出してくる。やや背景の暗さが足りないのかも、、、2.の同軸出力に変更してみるがほとんど差はなく基本的な傾向は変わらない。この音は当方の好みの範疇かもしれない。傾向としておだやかな音楽が好みの場合はベストマッチかと。基本として考えてみればこのテストケースがラズパイ、I2S/SPDIF基板、Archphileという組み合わせの掛け値の無い実力値でもあろうと思うしやはりそのパフォーマンスはなかなかのものと思う。
次に3.のMUTEC MC-3+USBを経由。MUTEC以下の構成は普段聴いている構成なので、先の1.と2.にはハンディがあるかもしれないと思うのだが、やはりその部分が如実に現れる。ある意味で音が自然なまま活き活きとしてくるが、一方で穏やかさは後退する。経路、構成によって音の機微、音楽との相性はあるんだな~と思う。あるがままに正調派の音を出してくる、と言う意味でオーディオ的な選択肢としてはやはりこちらの構成と云えるだろうか。厳密に云えば3.の構成と比せば1.、2.には僅かなヴェールがかかっているかのようにも思えるのだが、リラックスして音楽を聴くのならむしろ直結構成が好ましい点もある。こちらは決して最短ルートではないし、途中で余分なことをしているというマイナスポイント(若干の張りの強さ)を感じさせるところもある。
この小振りなラズパイの特徴を生かすような使い方としては、「デジチャン直結」で良いかな、と思う(DSD音源への対応は別途考慮必要なのだが)。MUTEC MC-3+USBのリクロック機能を使用するのは先にセットアップした
Ubuntu Server/MPD
からUSB接続で使うこととして、経路の違いによる音の差異を楽しめば良いのかもしれない。
さて、ここまでやってきたラズパイ。もう少し現状であれこれテストをして厳密な音の性格を把握をしてみたい。I2S/SPDIF基板経由の音とUSB接続の音を切り替えられるようにしてその差異も確認しておくべき。(USB出力との比較を行う場合はMPD上で出力デバイスを二つ定義して選択できるようにしておく必要があると認識しているが現段階では未テスト)このI2S/SPDIF基板経由の音は確かに先に確認してきたUSB接続とは違っている。ただし、USB経路にはMUTEC MC-3+USBを介在させているため今回の試聴からも明らかなようにその影響が大きいのでUSB DDCとしてはMUTEC MC-3+USB以前に使用していたエレクトロアートUDA基板ベースのものを使う(リクロック無し構成で)方がI2S/SPDIF出力の実力を正しく比較判断できるかもしれない。
この辺りを着実にステップを踏んで実験しゆくゆくはSymphonicMPDにもチャレンジしてみたいと思うのだが、大分慣れて来たしラズパイ自体の音の特徴も何となくは見えてきたかも。
4way構成の設定備忘録(2019年6月17日更新)暫定設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
Sony SUP-T11 |
Accuton C51-286 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+4) |
110 (+17) |
93 (+0) |
93 (+0) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+2.4 |
-9.5* |
+1.0 |
+3.5 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-3.0 |
-0.0 |
-6.0 |
-0.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0.0 |
-6.0 |
0.0 |
-6.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
96.4 |
94.5 |
88.0 |
89.5 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 630 |
630 ~ 1250 |
1250 ~ 2800 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
24-24 |
24-12 |
24-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-5.0 |
-37.0 |
+37.0 |
+40.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
MPD 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|