オーディオ日記 第45章 幸せの音(その1)2019年6月17日


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二兎を追うもの:

Accutonのセラミックドームユニットを 導入 してからしばらくが経った。中高域のユニットとしてベリリゥムツィータと組み合わせた時に聴かせてくれる明るく明晰で、それでいて柔らかく広がる音に魅せられている。一方でSONY SUP-T11というホーンドライバーの持つ懐の深い音楽表現、特に女性ボーカルにおけるある種の艶や妖気というものはこれなくしては表現が難しいと思っている。どちらも捨てがたい。取っ換え引っ換えしながら切り替えて聴く日々が続いていた。だが、それはある種のストレスともなってちょっともやもや。、二兎は追えない。実のところずっどそう思い込んできた、、、いや待てよ!? 常識に囚われなくてもいいんじゃないか、と昨晩ふと思ったのだ。元々SONY SUP-L11とSUP-T11の2wayで使ってきて、(特に)その声の表現は何者にも代えられないと感じてきた。声の基音に相当する帯域は実のところそれほど広くはない。じゃ、このSONYのふたつのユニットで声の基音のある部分まで担当させて、それ以上のところをセラミックドームとベリリゥムツィータで補完したらどうなるんだろうか、と。

これならば二者択一ではなく、両方のユニットを同時に使える。ある意味で両方の良いとこ採りができるかもしれない、、、何とまぁ、強欲な発想。だが、そこはデジチャンの強み。思い立ったら気軽に試せるというメリットがあるのだ。「思っただけ」ではいけない。試してみるよう、実行あるのみ!

もちろん我が家は4way構成前提なので、これにチャレンジしようとすると今まで中低域用として使用していたFPSユニットが余ってしまうのだが、暫定でのテストと割り切った。(5wayという手もあるのだが我が家の機器構成では無理筋、、、)

ポイントなるのはやはりどこにクロスオーバー周波数を持ってくるか、であろう。低域、中低域はSUP-T11のドライバー能力およびホーンのカットオフから自ずと制限がある。広めに見ても500~710Hz。それより低いところにクロスオーバーを持ってくる事は難しい。妥当なところで2way構成で常用している560Hzあるいは630Hzのいずれかであろう。次はSUP-T11とC51セラミックドームのクロスだが、これは多少は対応の幅が広い。順当には1000Hz~2000Hzのどこかであろうか。あまり高いところに持っていくと、せっかくのセラミックドームの爽やかな高域の広がりが享受できなくなる可能性もある。まずは560Hzと1120Hzでスタートさせてみる。

送り出しはこのところすっかり気に入ってしまっているUbuntu ServerでMPD(Music Player Daemon)を稼働させる構成。最新版のサーバーOSにMPD環境のみをセットアップした超軽量環境。これを各種ノイズ対策を実施済のファンレスPCで動かす。(UPnP/DLNAを使わないシングル構成。音源用のサーバーPCは従来からのWindows Server) 操作はこれも新しいiOS用クライアントソフトの yaMPC で行う。UPnP/DLNA環境とは異なりクィックでシャープな反応である。

すっと出てきた音の浸透力と説得力にちょっと意外な好感触。充実感と解像度に加えてある種半端無い高域感と透明感がある。ふわっと広がる部分が損なわれてはいない。だが、もう少し追い込める可能性もありそう。為念、OMNI MICでタイムアライメンと周波数レスポンスを見ながら、若干の調整を進めてみる。630Hzと1250Hzとした時に、あら、これかな? という感じが強まる。

この良い感じが多様な音楽ジャンル、音源にも対応できるものか、じっくりと音楽鑑賞に入る。低域、中低域の支えがしっかりしているようで、腰高にはならない。だが、中高域、高域の両ユニットが醸し出す繊細感や音の広がりも制限されていない。SUP-T11というドライバーユニットを1250Hzまでしか使わないという贅沢の所以か音にゆとりがある。15インチウーファーのSUP-L11を630Hzまで使うのは4way構成を目指してきた本来の使い方ではないのだが、音の温かみや安定感、ボーカルの表現は納得のレベル。やや高いところまで使っているので最低域の解像度についてはここは求め過ぎてはいけないのだろう。1250Hzというクロスオーバーがまだ正解かどうかは分からないが、ホーンドライバーが時に見せる圧迫感のようなものはここには無くひたすら音楽の実体表現に徹しているように思える。C51セラミックドームは1250Hzから2800Hz(ここだけ-12dB/oct)、ベリリゥムツィータは4000Hzのクロスオーバー周波数。スロープは音の溶け合い具合を判断するために現在のところ-24dB/octを基本としている。

う~ん、随分と面白く予想外の音を聴かせてくれる。世の常識では二兎を追う者は何も得られないはず、、、だが、ここには例え思い着きであろうと何でもチャレンジとしてみたことのご褒美があるようにも思える。まぁ、こういうのは目新しいことが案外と良く思えてしまう、という過去の経験値もいろいろとあるので、早急な判断は禁物だと思うが、「飽きてしまうまで」これで聴いてみようか。それでちゃんと生き残る設定ならば本物だということになる。


4way構成の設定備忘録(2019年6月17日更新)暫定設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
Sony
SUP-T11
Accuton
C51-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+4) 110 (+17) 93 (+0) 93 (+0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.4 -9.5* +1.0 +3.5
*DF-65 Att ON
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -6.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 -6.0 0.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.4 94.5 88.0 89.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

630
630

1250
1250

2800
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -5.0 -37.0 +37.0 +40.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm MPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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