オーディオ日記 第44章 理想と現実の距離(その16)2019年3月29日


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周波数レスポンスと音質:セラミックドームへの挑戦(その6)

フラットな周波数レスポンスと良い音には相関関係があるのかないのか、その疑問の中に常に葛藤がある。適切な周波数レスポンスとなっていない時の音でもとてもチャーミングに聴こえることがある。だがその魅力は限られた音源にとどまり、他の音源では時にそれが音のクセとなり破綻を示してしまうことにもなる。従って、どんな音源に対しても普遍的な再生を目指すのならば、周波数レスポンスは「リスニングポイントに於いて」平坦であった方が良い。これは多くのオーディオファイルも同様な考えではないだろうか。

セラミックドームの使いこなしに関するチャレンジも少しづつ進んできた。先に簡易的ではあるが バッフルを製作 し、ベリリゥムツィータともインラインで設置できるように工夫した。バッフルの効果もあると思われるが、低域方向のレスポンスがそこそこ改善され、これでまあまあの再生が出来るようになったのだが、周波数特性的には万全ではない。ユニットの特徴として持っている2.5KHzを頂点とする山がこのままでは残るのだ。ただし、この山は悪いことばかりではなく、このユニットの再生音を特徴付ける様なキレや浸透力のある高域を感じさせ、それがまた音楽表現の魅力にも繋がってくる。

だが当然ながら、この山を残したままでは音源に対して「好み」が大きく出てしまう。効果的な音源も結構あるのだが、時にその帯域の盛り上がりが気になってしまうのだ。そしてそれはどんなにチャーミングであったとしても当方が目指す再生の方向ではない。

そこで、これをなるべくフラット(リスニングポイントやや手前位置)になるように試行錯誤しながら設定を変更した。クロスオーバー周波数も1250Hz~4000Hzを想定していたのだが、これを900Hz程度から使用する。ユニット単独では特性上フラットには出来ないところもあるので、ツィータとの組み合わせてベストポイントを探してみた次第。

C51とツィータのみの周波数レスポンス:(リスニングポイント70cm手前)
Accuton C51 Frequency Response

バッフル効果によって900Hzあるいは1000Hzから使用できることも確認できたが、その分1000Hzから2000Hz間のレスポンスには細かい山谷が多少できる。これはやむを得ないと考えるしかないだろう。このため、上記の測定結果は6dB/octでのスムージングを行っているもので案外と綺麗に見える。この周波数レスポンスの状態であれば、SONY SUP-T11の場合とほとんど同じと云って良いと思う。

ここまで周波数レスポンスを一致させておけば、ユニットのキャラクターと再生能力の差異をある程度は正確に判断できるようになるのではないだろうか。そういう思いで設定調整を行ってみて、何とかそこそこの状態とする事はできたのだが、、、、

当然なのかもしれないが、C51というセラミックドームが持っている「ある種独特のオーラ」やチャーミングさは影をすっかり潜めてしまう。それ故どんな音源を再生しても特段気になってしまうような音は出さない。これが周波数バランスをとることであり普遍性なのかもしれない。この状態では概ねの音源において納得の再生ではあるのだが、逆に云えばC51の真の魅力を決して引き出せてはいないようにも感じる。従って、ここからがC51とSUP-T11の対決の本当のスタートなんだろうと思うが、この状態であれば当方にとっては慣れ親しんだSUP-T11にまだ好ましさを感じてしまう。

最初の頃は割りと簡単に設定が決まったこともあって、その音の性格や魅力に一喜一憂したのであるが、よくよく考えてみればエージングとてまだまだの状態。これから時間を掛けてエージングをし、手懐けていかなけばならないし、ポテンシャルが高い故に使いこなしがそうそう簡単なユニットではない。半年あるいは一年程度でこのユニットの本当の実力と魅力が引き出せるようになれば嬉しいのだが。


4way構成の設定備忘録(2019年3月28日更新)Accuton C51-6-286対応設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Accuton
C51-6-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 93 (+3) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.5 +0.7 +3.2 +3.6
 
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -3.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.5 90.7 87.3 87.6
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

200
200

1000
1000

2500
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-48 48-12 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -13.0 -0.0 +0.0 +1.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Rev JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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