オーディオ日記 第44章 理想と現実の距離(その13)2019年3月24日


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ユニットの個性を活かす:セラミックドームへの挑戦(その4)

CYBERSHAFT製の10MHzマスタークロックをお借りして 試していた が達人よりお譲りいただく次第となり、結局我が家のオーディオシステムの構成要員として居座り続けることになった。MUTEC MC-3+USBによるリクロックの効能が存外に気に入ったところから想定外(?)のところまで突き進んで来てしまった訳だが、結果に関して云えばかなりの満足ということになろうか。また、MUTEC MC-3+USBの使い方に関してもいろいろと チャレンジ してみたがこちらも用法として落ち着きを見せている。PCオーディオに関しては、ドライバーにてLatencyとBufferサイズが弄れるのだが、JPLAY FEMTOならびにMinim Serverという我が家のPCオーディオの構成に於いては、あまりぎりぎりと追い込む設定ではない方が安定感のある音になることもあって、Minim Serverでアップサンプリングする対応は一旦停止とし、INTONA USBアイソレータを経由する使い方としている(現在のところDAC Linkは100、LatencyはReliableとしている)。また、我が家の古いCDトランスポート(Accuphase DP-90)が蘇った感があるのは何とも嬉しい誤算(?)。これは紛れもなくリクロック機能とマスタークロックのお陰である。

さて、次に追い込まねばならないのはチャレンジとして新たに導入した Accuton C51-6-286 CELL の使いこなしである。我が家の4wayの中高域用ユニットとしているSONY SUP-T11と対抗させているのであるが、こちらはまだまだ落ち着いたところには至っていない。C51とSUP-T11の音の性格の違いについては先にも少し 言及した が、先日達人たちにも両ユニットの音を聴いていただいた。中高域のユニットだけの違いであっても音楽表現に随分と差が出ることについて意見は一致。Accuton C51のユニットの評価(もちろん現状手放しということではなく、そのポテンシャルを含めて)はかなり高かったと思う。音の切れ、広がり、質感のチャーミングさという観点では当方もかなり秀逸なユニットだと実感している。しかしながら、音楽表現の差異については、受け持っている帯域に対する周波数レスポンスが必ずしも両ユニットで同じではないことにも起因している、というご指摘があり、そこを今後煮詰めていかねばならない。

Accuton C51-6-286とSONY SUP-T11:その物量の差は大きい
Accuton C51-6-286 Sony SUP-T11

SUP-T11は800~4000Hzという受け持ちでかなりフラットなレスポンスを示すのであるが、C51は口径が50mmと小さいことも理由のひとつだと思うが、1300Hz以下のレスポンスが弱く、その分2KHzから3KHz辺りのレスポンスが強まる。当方としてはこのC51というユニットを800~4000Hzで使いたい(SUP-T11と同じ帯域)のであるが、そのような使い方の場合は800~1300Hzのレスポンスが弱いために女性ボーカルの艶の聞こえ、管楽器の咆哮などに個人的に不満が残ってしまうのだが、これはそれぞれのユニットの性格云々以前に(当然ながら)周波数レスポンスを合わせた上でないと正しい評価はできないことに通じる。従ってこの部分をちゃんと補正した上で評価を行わねば、ユニットの性能や性格評価にはならない訳だ。

この補正をどのように行うかであるが、デジタルイコライザーなどがすぐ頭に浮かぶが、当方としては全帯域に挿入するようなイコライザー(DG-58やDEQ2496など)は使いたくないし、デジチャン(DF-65)にもイコライザー機能はない。dBX4800であれば中高域のチャネルのみをイコライズするという機能(プロ用では当たり前の機能なのだが)があるので特段難しいことではないが、我が家の環境では事はそう簡単ではない。デジチャンからの中高域の出力チャネルのみにシンプルな補正回路を入れてこれを調整することが次善の策であるのだが、その補正回路をバランス仕様で製作するノウハウ、知見などの自作スキルが無いという寂しい有様。

C51の帯域レスポンスを70cm程度の距離で厳密に測定したものとユニットの詳細仕様をベースにすればそれほど難しいものではないということなのだが、それでC51というユニットの本来のパフォーマンスを引き出せる(可能性がある)というものであれば、他力をお願いすることになってもやらざるを得ないと考えている。

一方で、ある程度の性格の違いは把握できたようにも思えるので、同一条件(あるいはそれに近い形で)でSUP-T11とC51を対抗させ比較するのは一旦休止として、C51の本来の性能や性格を活かせる設定にもチャレンジしておこうと考えた。現状は補正という対応はすぐにはできないので、C51の周波数レスポンスの特徴を活かす想定で4wayの中に組み込んでテストを継続しようというもの。これは手探りでクロスオーバーの設定やスロープをあれこれ試しながら美味しいところを探す、というステップになるので正直しんどくもある。また、周波数特性的にもあまり山谷のある状態は避けなければならないという必要条件が付いてくる。まずはクロスオーバー設定なのだが、下の方は1250Hzくらいが裸のユニット特性からはやはり妥当なのかと思う。上の方はベリリウムツィータとのクロスなのでほぼどの周波数でも行けてしまうのだが、ここは4KHzにてこのユニットの特徴を出してみようと考えた。次にスロープであるが、急峻な遮断特性を使用すると個々のユニットの特性が顕著となり周波数レスポンスの山谷が残ってしまうため、Mid-LowとMid-Highの繋ぎを-24dB/octとして多少の平坦化を意識した。また、Mid-HighとHighの繋ぎについても同様に考え、Mid-High側のみ-24dB/octとしてみた。この状態でタイムアライメントをしっかりと合わせて行く。周波数バランス的にはほぼ破綻のない状態にできたので、最後は試聴の上でレベルの微調整などを行う。

この設定ではC51のユニットの本領発揮に近づいたようで、高域表現の繊細さやふわっと感などの心地良さが出てくる。全体的なバランスも悪くなく、ボーカルの色艶に過度の贅沢(我儘?)を言わなければ高品位で素敵な音である。やはり800Hz辺りから使おうという当方の魂胆はユニットに無理をさせる間違った選択なのかもしれないとも思う。この音の感触に馴染む程に納得のユニットだと思えてくるのは贔屓目か、、、


4way構成の設定備忘録(2019年3月24日更新)Accuton C51-6-286対応設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Accuton
C51-6-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 93 (+3) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.5 +0.7 +1.7 +4.0
 
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -3.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.5 90.7 85.7 86.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

200
200

1250
1250

4000
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-24 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -13.0 -0.0 +0.0 +1.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Rev Rev JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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