10MHzマスタークロックの誘惑:MUTEC MC-3+USB(その6)
MUTEC MC-3+USBのリクロッキング効果に気を良くしているのだが、こうなるとMUTEC MC-3+USBに10MHzマスタークロックを入力してみたくなる、というのはやはり避けられない人情かと思う。しかしながら、ことクロックに関しては当方はさしたる知見がない。大分昔にAntelope Isochone OCXを
試した
きりでその後の進歩がない。
かってのAntelope Isochrone OCX(上)と EMISUKE EM-DAC 4399 Oct(下) :
(参考)当時のPC Audioを含むデジタルセクションの全体構成図(2011年3月25日時点)
当時それ以上クロック周りを深く追求しなかったのは、使用していた機器構成にも若干の課題があったものと考えている。Antelope Isochone OCXをワードクロックディストリビューターとして、サンプルレートコンバータ(BEHRINGER SRC2496)、デジタルイコライザ(BEHRINGER DEQ2496)、そしてDAC(EM-DAC 4399 Oct)の3台の機器にクロックを配信するスタイルで、DACの後段はプリアンプ経由アナログのチャネルデバイダーの構成。クロックディストリビューションとして使うことでそれなりの効果を上げていたと思うが、結局CDトランスポートやPCオーディオからのAES/EBUのパスが長すぎることや、個々の機器のクオリティが追い付いていない、自分の音の纏め上げが出来ていないということもあっていつしか使うことを止めてしまっていた。その後デジタルチャンデバへ移行したがDF-55、DF-65ともにクロック入力機能がないこともあって、ここに至るまで忘却の彼方であった。
MUTEC MC-3+USBは高精度の1GHzクロックを搭載しており、この内蔵のクロックを使用してのリクロックでも十分効果は感じれらているのだが、それよりも100分の1も遅い10MHz クロックを敢えて外部入力して、効果があるんだろうか?という気持ちもある。(クロックの位相雑音特性と音との関連は実はよく理解できていない)従って、マスタークロックに関しては「是非試してはみたい」けれど「それほど大きな期待でもない」という謂わば中途半端な心情ではある。そんな曖昧な気持ちの背中をグッと押すように、マスタークロックを使ってみたらどう? と達人よりお貸しいただいた。CYBERSHAFT製のOCXOベースの10MHzクロックである。オーブンコントロールのクリスタル故にまずは一晩暖気して温度がしっかりと一定になるのを待って、おずおずと試聴開始。
CYBERSHARTの10MHzマスタークロック:
外部クロック入力によるリクロックの状態:
だが、このマスタークロックの存在意義は「一聴」にして判る。音楽が自然で優しい。そう感じるのだ。奥行?見通し?空間表現?音の芯?具体的にどう表現すれば良いのか言葉で語ることは難しく、それ以上の細かい評価だの、テストだチェックだなど行う気も失せて音楽を堪能してしまう。元々デジタルの再生については何か少し心に引っ掛かりがずっとあったことは事実。どうすれば自然の音に近づき、音楽としてより楽しく聴けるようになるのか、そういう観点からの疑問と拘りである。10MHzクロックを外部入力して、MUTEC MC-3+USBにリクロックさせた音は、そのベースとなっているテクノロジーがどうこうなどすっかり忘れてひたすら音楽だけを楽しめば良いのだと教えてくれる。それだけで十分な効果と云えるかもしれない。
PCオーディオからUSB接続の経路、CDトランスポートからAES/EBUの経路の両方で聴いてみたが受ける印象は同じ傾向にある。ただ音としては我が家の場合やはりPCオーディオからの経路の方が自分には馴染んでもいるのでぴったりとくる。うん、10MHzマスタークロック、素直に欲しいぞ、、、、
厳密な観点から云えば、MUTEC MC-3+USBの外部マスタークロック入力は75Ωで、CYBERSHAFT製マスタークロックは50Ω出力であるので必ずしもベストマッチングではないとも思われる。BNCケーブルについても極力短いものが良さそうなのだが、下記のようなノイズ対策をした1mの長さのものを現状は使用している。この辺りも含めもう少しいろいろと勉強しなければならないだろう。
リングコアとフェライト処理のBNCケーブル:
4way構成の設定備忘録(2019年3月8日更新)Accuton C51-6-286対応設定値
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
FPS 2030M3P1R |
Accuton C51-6-286 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+7) |
90 (0) |
93 (+3) |
93 (+3) |
|
DF-65の 出力設定 |
dB |
+2.5 |
+0.7 |
+1.0 |
+4.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
-3.0 |
-0.0 |
-3.0 |
-3.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
0.0 |
0.0 |
-6.0 |
-6.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
96.5 |
90.7 |
85.0 |
86.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 180 |
180 ~ 1250 |
1250 ~ 4000 |
4000 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-48 |
48-24 |
24-48 |
48-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-10.0 |
-0.0 |
+2.5 |
+5.5 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
JPLAY FEMTO 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|