オーディオ日記 第44章 理想と現実の距離(その3)2019年2月6日


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デジタルトランスポートの最終解?:Lumin U1 Miniを試す

かねてより懸案となっているデジタルトランスポートに関して決着を付け、最終の「解」を得るべく、Lumin U1 Miniを試している。

Lumin U1 Miniを真空管フォノイコの隣においてみた:(案外コンパクト)
Lumin U1 mini

Lumin U1 Miniは「ネットワークトランスポート」と呼ばれる機器の範疇でDAC機能はない。S/PDIF出力をデジチャン(DF-65)にインプットするスタイルを採用している当方にとっては(そのリーズナブルな価格設定?)もあって機能仕様としてはかなりスィートスポットとなる機器である。国内では登場して日も浅いのでインプレッション情報は少なく、是非是非手元にて試してみたいと思っていたもの。

(構成、環境)
1.ファイルサーバー
・Quad Core CPU、Windows 2012 R2ベース、GUIモード、2TB SSDを音源としてMinim Serverを立てている。(JPLAY FEMTOにおけるControl PCと同じもの)
・音源ファイルはFLACとDSFのみ。これをMinim ServerからSoX呼び出しでWAV化、(CD音源の)24bit化、DSFのWAV化(176.4KHz/24bit)を実施。従いLumin U1 Miniでは音源ファイルに関わる変換処理は不要。
2.ネットワーク経路
・上記PCベースのファイルサーバーとHUBを介して接続。
・HUBとしては電源系ノイズ対策を実施しているがオーディオ用ではなく一般的なもの。
3.LANケーブル
・一般的なLANケーブルに対して銅箔テープでのノイズシールド、アセテートテープぐる巻きによる防振処理を自己実施したもの。
・ファイルサーバーとHUB間は50㎝、Lumin U1 MiniとHUB間は1.5mのケーブル長。
・Lumin U1 Mini/HUB間のLANケーブルにはアモルファス系のリングコアを介在させている。
4.電源ノイズフィルター
・Lumin U1 Miniはインレット直結のスィッチング電源のため、取り敢えずの対応としてIECインレットタイプのAC電源フィルター(TDK Lambda製)を挿入。

(コントロールアプリ)
コントロールアプリは標準であろうLumin Appでまずは使い始める。機能的にはほぼ網羅されていることもあってこれはこれで充分に納得できる操作性である。では、あるのだが、、、、

だが、既に「超」極楽とも云える操作性、環境に慣れてしまっている当方にとっては、このLumin Appですら最早もどかしくなってしまっている。やはり一番の課題はコントロールアプリの反応速度である。再生、停止、スキップ等のアクションが僅かに遅い。とかく問題となってきたアルバムカバーアート表示はキャッシュ機能が働いていることもあってミゼラブルではないが、極楽から戻るには抵抗がどうしてもある。また、当方にって必須な機能のひとつである外部プレイリストであるが、その対応は可能なものの、一度に投入可能な外部プレイリストのトラックは210曲しかない。そしてその投入速度もかなり遅い。これは欲求に対しては真に絶望的であるとも云えるのだ。当然ながらLumin U1 Miniに搭載されているおそらくは非力なプロセッサーパワーに相当部分起因するものと推測するのだが、レンダラーとコントールポイントの両方の機能を担っているのである程度はやむを得ないことなのかもしれない。

だが、JPLAY FEMTO導入時も、最終的な環境や操作について落ち着きを見せるまでにかなりの葛藤と紆余曲折があった。Luminとて同じことでもあろう。だが、今回はJPLAY FEMTOで四苦八苦した経験値が活きるのだ。

JRemoteのゾーン設定でLumin U1とJPLAY FEMTOを切り替える:


この画像はiPAD Mini上のJRemote画面の一部分を拡大したもの。当方はJRMC24を単なるコントロールポイントとしてJRemote経由で操作し、JPLYA FEMTO Dual PC環境で使用している。そしてこの構成、考え方はレンダラーがLumin U1 Miniであっても適用できるのだ。当然ながら、「超」極楽の操作環境を維持したまま。レンダラーをJPLAY FEMTOあるいはLumin U1 Miniのいずれを使用するか、このJRemoteのゾーン設定画面で簡単に切り替えられる。(もちろん、デジチャンへの入力経路の物理的切り替えは必要だが)

ある意味これは想定外、反則の使い方(?)なのかもしれない。JRMCをコントロールポイントとして(のみ)使用するだけでもJRMC本体とJRemote両方のライセンス料がかかり、無料に近いコントロールポイントが多い中ではそこそこ高い感もある。だが、操作性やレスポンスに関してはそれだけに「No Excuse」を享受できる。当方にとってはLuminを使う場合でもJPLAY FEMTOを使う場合でもJRMC+JRemoteを組み合わせたコントロールポイントを当面は使うことがやはり最善であろうと確信した次第。ただし日本でのサービス開始を心待ちにしているTIDALへの対応を考えればやはりLumin Appに帰結するとは思う。

(注記)JRMC+JRemoteをコントロールポイントとして使用する際の注意点:
JRMCはかなり設定項目も多く細かく、シンプル&ストレートにコントロールポイントして使用するための設定が判りにくい難点がある。 ここに 少し自分でも引っかかってしまった点をまとめてあるのでご参考まで。また、Minim ServerやJRMCのタスクプライオリティも上げた方が音的にも良さそうな結果が得られたと感じているが、それについては こちらに 方法を記載してある。「サーバーリスト上でJPLAY FEMTO Serverを非表示にする」という点も重要事項である。

(Lumin U1 Miniの音)
テストしているLumin U1 Miniは全くの新品状態であったため、現在暖気と負荷を兼ねてランニングを続けているのだが、まだこの時点で音質面の確定的な判断は難しいかも。傾向としては音がとても素直で優しく柔らかく、ある意味ふわっと広がってくれてMozartをぼ~っと聴きたい当方としてはかなりのストライクゾーン。JPLAY FEMTO Dual PC構成での音との比較は上述の環境、使い方によって割とシンプルにできるので結論は早いかもしれないのだが、やはり双方の音の差はある。解像度や押し出しという観点ではエージングとの兼ね合いもあるだろうが、JPLAY FEMTOの方に色濃く感じる。この差がこの先どう変化していくか楽しみでもあるのだが、やはり「レンダラーだけの違い」であってもデジタルトランスポートとしての音には当然ながら印象の違いがある。さてさて、楽しみは続く、である。

JPLAY FEMTO Dual & Lumin U1 Mini Configuration:


(閑話休題)

「旅に病んで夢は枯野を駆け巡る」

その意味するところはある意味甘い感傷なんだろうか、と今までは想像の世界でしか捉えらておらず、切実な想いに考えを至らせることは皆無であった。夜の病室ですることも無くただ想いを巡らせていると己の小心さが手に取るように判り、またこうもしよう、ああもしたい、という希望的欲求がどんどんと募ってくる。今は動けない、仕方が無い、だから想像力を働かせ出来るようになる日を心待ちにする。

やはり必要だろうと思って持ち込んだiPODとヘッドホン。音楽の有無は重要でこれには相当救われた気がする。約3,500曲ほど入れていたので同じ曲の繰り返しとなって飽きてしまうようなことも無かった。もう古びてしまっているiPODだがこんなにも重宝し、ともすればネガティブ思考となる我が身を多少なりとも前向き方向にはしてくれたようだ。

さて、そのあれこれ想像するなかでオーディオについても必死に考え続けた。部屋の問題、装置の問題、財力の問題、使いこなしの問題、そして音源選択、、、究極なる領域には届かず理想は理想として夢の中に存在し続けるはずだ。そして現実は必ずしも悲観するほどのことではない。ただ、不満や問題、課題があった場合は我慢したり放置することはもう止めようと思った。音と使い勝手、良いものは良く駄目なものはだめ。次なるもっと良いものを積極的に探して取り入れるべきだ、ということ。時間はお金では贖えないし、残高数字をあの世まで繰り越していく必要も無い。

我侭になろう!  

つまりはそういう結論に何となく達したのかなと感じている。もちろん単に高額なものが優れているわけではないし、バランスも勘案して行けば野放図に散財しまくるということにもなるまいと思うのだが、何より重要なことは「音の価値」に対する自分の判断能力である。これをさらに磨かなければたどりつけないところがあるのはもう判っている。そして、自らに残されたはず(?)の時間軸とも勝負して行かねばならぬ。


4way構成の設定備忘録(2019年2月8日更新)

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +3.0 +1.2 +0.7* +4.2
*Analog Att
ON(-10dB)
マスターボリューム
アッテネーション
dB -4.0 -0.0 -4.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.0 91.2 90.8 88.2
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

290
290

900
900

3550
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-48 48-48 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 -0.0 -37.0 +4.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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