オーディオ日記 第42章 枯淡の境地を目指し(その15)2018年8月31日


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改めて思うのは人間と言うものは存外に欲深であり、オーディオにおいてそこそこ納得できる音になってきたとしても、次から次にやってみたいと思うことが出てくる。もちろんそのひとつひとつが音の向上、音楽再生の満足感に繋がるものとは限らないのだが、そこに「可能性」のある限り(財力のある限り?)チャレンジしてみたくなるものなのかもしれない。

4wayスピーカーの出口周りの設定がこのところ大分落ち着いてきたこともあって、次なる一手とその優先順位を模索中なのだが、今回は取り急ぎファイル音源をSSDに移行してみることとした。先にNASの利用を止めてMinim ServerをベースとしてPCファイルサーバーに一本化したのであるが、PCに内臓した音源はHDDに置いていた。このファイルサーバーはJPLAY Dual PC構成のControl PCとしても利用するので、発熱、静穏化の対策が必須ではなかろうかと考えていた。コスト的に考えれば2.5インチの所謂ハイブリッドHDDでも良いかなと思案していたところ、2TBのSSDに相当廉価なものがあったので、SSD化に踏み切った。SSDも大分価格がこなれてきて、やっと手が届くことになったという訳だ。なお、流石に音源データの量がそこそこ多いので移行作業には数時間かかったが、これは仕方のないことであろう。

SSDのメリットは低発熱、無音化、アクセス速度の向上であり、これらは論理的(?)にはおそらく音の変化には結び付かないと思う。アクセス速度は音源データの読み出しであれば、音についてあまり恩恵は無いだろうと思われるし、他の要素も影響度は似たようなものであろう。実体験としては各社の高級NAS試聴においてHDD/SSDの差は極僅かではあるが感じられたように記憶しているのだが、まぁ音については過大な期待はしないよう冷静、平静を努めている。なお、iPADからのリモコン操作においては一覧表示の速度が体感できるほど向上したという副次的な恩恵があってこれは期待していなかっただけにちょっと嬉しい。

もう一点、電源タップ、所謂コンセントボックスを4台のパワーアンプ専用に調達した。別途電源タップまでの極太?電源ケーブル(モンスターケーブル)も併せて。こちらはケーブリングの整理の観点で多少重量のある金属製筐体の電源タップにしておきたかったもの。あとは見栄えと言うところか、、、、確かに見栄えはちょっと向上したようにも思う。だが、本来的にはこの手のもので音がたいして変わるはずがない、と素知らぬ振りを決め込んでいる。

つまるところ、このような些細な対応が家のオーディオにおいて何ほどの意義や効果があるのか、、、、冷徹にまとめることは難しい。率直に云えば駄耳の当方でも何となく見通し感や音楽の背景の静けさの向上にも繋がったのかなとプラシーボ満載(?)で僅かに思える程度でスピーカーの置き方や設定、上流機器のブラッシュアップのような「変化」というものとは違うようだ。

もちろん響きやS/Nそれ自体に大きく関与する部屋という絶対的存在の前ではいずれも些末なレベルのものかもしれない。オーディオの面白いところは、絶対的な基準が明確ではなく、多分に主観的な評価判断に依存せざるを得ないところなのであるが、一聴のもとに「良い音」であるかどうかの判断はできてしまうもの。また、世には稀有でもあるが、超絶的に素晴らしいオーディオの音が厳然として存在する。これは単に機器に掛けたコストと比例はしていない。だが、手間暇を掛けるほどに音がブラッシュアップされていくこともまた事実なんだろうと思う。後は感性による吟味と取捨選択が必須なのであるが、結果として「無駄な鉄砲」も数多くあると覚悟しているので、今回のレベルでの対応はある種遊びの範疇かも、と割り切っている。

(閑話休題) 

オーディオにおける機器間のデジタルオーディオインターフェースが今度どのように変化していくことになるのか、あれやこれや考えを巡らせている。当初は光ケーブルあるいは同軸によるS/PDIFくらいだったように記憶しているが、PCオーディオの隆盛に伴って、パソコンからのオーディオインターフェースはPCIやFire Wireなどを経て現在はUSBがそこそこ主流を占めるに至っている。なお、I2Sという主として基板上でのやり取りのための仕様も存在するのであるが、こちらは距離の制限が厳しく、機器間のインターフェースとしてはあまり柔軟には利用できないもの。USBにおいては、廉価であること自体が悪いわけではないが悪貨は良貨を駆逐する、の典型のような気もしている。また、USB DACという機器の表現をベースに新たにLAN DACという言葉も誕生してきている。簡便で確実で距離の制限の少ないLANインターフェース(TCP/IPあるいはUDP)は今後デジタルオーディオインターフェースとしての主役になるかもしれないと推測している。

RJ-45のコネクターとLANケーブルを用いた「デジタルオーディオインターフェース」については、古くからあってオーディオファイルにポピュラーなものとしてはAccuphaseのHS-Linkがある。これはPCMあるいはDSD信号と音量制御信号を合わせて送る仕組みであるが、1対1の通信のみ可能な同社独自のプロトコルで一般的なLANに相乗りできるものではない。(HS Linkケーブル自体は構造、構成的にLANケーブルそのもので、当方が実験した限りであるが、市販のLANケーブルでも接続可能。TCP/IPやUDPとの仕様上の関係性は仕様の公開がなく未把握)

日本のPCオーディオユーザーに爆発的(?)な広がりを見せたJPLAYのDual PC構成におけるControl PC~Audio PC間のインターフェースは同様に仕様そのものはクローズドであるが、LAN上にに相乗りさせることも可能なのでUDPベースの仕様だろうかと推測している。音楽再生ソフトウエアが叩くサウンドデバイスとしてJPLAYドライバーを認識させて、音楽再生ソフトウエアから音楽データをいったん受け取りそれを連続してLAN上に送り出すという仕組みは、Audio over IPなどども呼ばれ、プロ用機器の世界ではDante Audio Networkなどいくつかのプロトコルがあり、それぞれの陣営が既にしのぎを削っている状態にある。Dante Audio Networkについては 我が家でもテスト したことがあり、そのシンプルかつ極めてリーズナブルな構成には感銘を受けている。だが、Dante等は流石にプロ用のため、多チャンネル対応であり多数の機器を繋いでの再生タイミングコントロールもできるなどかなりの高機能なのであるが、一般的なオーディオユーザーが利用するにはややオーバースペックで機材も高価なのが難点。なお、JPLAY Dual PCの場合は、Audio PC側でで受信した後に結局USBデバイスに送り出さざるを得ない仕様になっているので、本来の意味でのデジタルオーディオインターフェースとは厳密には云えないかもしれない。

最近少し注目を集め始めたSFORZATOのDirettaも(その詳細は未だ十分把握できていないが)その範疇であると推測される。機器間のデジタルオーディオインターフェースとして考えた場合、S/PDIFは簡便であるが、距離の制約も大きく、また1対1の物理的接続関係しか持てない、という根本的な制約がある。Auido over IPの場合は、所謂LANを共通の基盤、ネットワークとして利用するので、当該LAN上の何処にいてもLANに接続、参加しているだけで良く、また機器間の距離制約もかなり緩和されるなど大きなメリットがあると考えられる。マルチキャスト(複数の機器での同時再生)も可能となる。Direttaも仕様を公開し、各社の機器が標準化仕様に則り相互に接続できるようになると良いのであるが、それにはまだまだ時間が掛かるかもしれない。

もちろん、音楽再生という観点においては、より高品位な再生ができることが理想なので、1対1という閉じた関係性が否というものでもない。ただ独自仕様で、自社機器間しか接続できない、ということだと発展性に欠けてしまうので、やはりインターフェースとしては標準化されることが利用者の立場からすれば望ましいと思う。ここまで書いてふと思ったのは、当方の使用しているデジチャン(DF-65)にはHS-Linkの入力端子がある。もし、PC用のHS-LinkドライバーをAccuphaseが作りそれを公開してくれれば、PCオーディオとデジチャンをLANで直結する仕組みができてしまうように思える。当然ながらPCからのLAN接続で同社の高品位なDACをUSBやS/PDIFを経由せずに使えることにもなる。これはSFORZATO Direttaと基本的に同じ仕組みの範疇となる。各社独自仕様と云っても、それが多くのメーカー、機器で利用されることによって、標準となり寡占化できるというメリットもある。ここはAccuphaseも独自仕様、非公開に拘らずSFORZATOに対抗してHS-Linkドライバーを是非とも出して欲しいものである。

音へのインパクトという観点では、LANをベースにしたデジタルオーディオインターフェースに絶対的優位性があるとは考えていない。XMOSに代表されるUSB対応のチップはそれなりに優秀であり、またチップのコストも安い。だが、USBに対してあれこれ思い悩み、いろいろな対策(電源線カット、外部電源供給、USBアイソレータなど)を実施してきた当方としては、USBを使用する構成からは脱却したいという思いが強い。USB Audio Class 2.0の対応にも苦い記憶があり、シンプルで確実性が高く安定動作してくれることが重要とも思う。

LINNがいち早くスタートさせたネットワークオーディオという範疇の機器はDLNA、OPEN HOMEという標準化仕様に則り一大発展した訳だが、このDLNA、OPEN HOMEという仕様はAudio over IPというものではなく、簡単に云ってしまえばファイルとしての音源データの受け渡しや接続する機器(通信相手)を探して選択する、という機能のものである。少し別の観点で考えると、Streaming再生がこれからのデジタルオーディオの主流となっていくだろうという予想もあり、この場合はStreamingをサポートするネットワークオーディオ機器が一台あり、ネット接続すれば事足りてしまうので、オーディオ機器間のデジタルオーディオインターフェースについてあれこれ勝手な想像を巡らせてもあまり意味のないことかもしれない、、、


4way構成の設定備忘録(2018年8月31日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 +2.0 +7.0
Analog Att
OFF
マスターボリューム
アッテネーション
dB -4.0 0.00 -10.0 -0.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 93.0 90.0 90.0 88.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

200
200

800
800

4000
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 96-48 96-48 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -12.0 +25.0 -40.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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