オーディオ日記 第39章 扉を叩け、開け(その2)2016年9月10日


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先般お借りして テストした Dante Audio Network関連であるが、8ch DACの新しい製品が出るということでこちらを含めて再度試用させていただく機会を得た。基本はファンレスPCとMPP,DSP(デジタルチャンデバソフト)、Dante PCI-e Rカードという構成に変更はないのだが、8ch DACについては使用しているDACチップが変更となり音質向上がなされているとのことで、このDACによる音質評価を中心として試聴したので、初日のインプレッションを記すこととしたい。

なお、今回のテストの構成は以下の通りであるが、前回とちょっと違うのはJPLAY Dual PC構成でDante Audio Networkをテストすること。前回、ファンレスPCの2台構成(当方のものとお借りしたもの)でJPLAY Dual PC構成を 試した のであるが、その音はやはり素晴らしいものがあった。この時のテストはUSB DDCからデジチャン(DF-55)という既存JPLAY環境の接続スタイルで、この2台構成ではDante Audio Networkは試していないのだ。DanteはKernel Streamingが使えず、WASAPIを使用する(注記)ことになるので、敢えて2台構成を試すまでもあるまい、と考えてしまっていたことを返却した後で実は少し後悔していた。

(注記)厳密な表現として、「Virtual Audio Cableを経由してMPP,DSP/Danteを使用する場合、JPLAYからはKernel Streamingを選択することが出来ず、WASAPIとなる」

そこに今回再挑戦のチャンスをいただいたので、これはもうJPLAY Dual PCでまずテストしようと始めから決めていた。ただし、前回のテストとは配置が逆で、当方のファンレスPC(Windows Server 2012 R2)がControl PCとなり、お借りしたファンレスPC(Windows 10 Professional)がAudio PCとなる。これは、こちらのPCにデジチャンソフト(MPP,DSP)がインストールされているためである。なお、Danteにおけるデバイスドライバーの役目を果たすVirtual Audio CableとMPP,DSP(デジチャン機能などのDSP処理ソフトウエア)は当然ながら同じPCで稼動する訳だ。下記の構成図は詳細を記したので複雑なようであるが、実際はLANケーブルでの結線のみなので実にシンプル。

JPLAY Dual PC + Dante Audio Netwrokテスト構成図:
Dante Test Config

この構成のメリットはControl PCにおける楽曲データベースハンドリング、JPLAY Streamer処理、JPLAY Streamerのタブレット端末インターフェースなどの諸機能とAudio PCにおけるVirtual Audio Calbe、MPP,DSP、Dante PCIカードの駆動というサウンド処理を明確に分離できることだと思う。所謂JPLAY Dual PC構成の考え方と同じであるが、Audio PC側にはデジチャン機能(MPP,DSP)やDante PCIカード関連の処理が加わっていることが、通常のJPLAY Dual PCとは異なる。

また、新しい8ch DACはアナログ出力がXLRコネクタ、バランス仕様であるため、当方のマルチチャネルマスターボリュームにはそのままでは入力できないので、ここにはXLR/RCA変換プラグを使っている。当然ながら、DACは早めに電源を入れて充分に時間を置く。

JPLAY周りはWASAPI:Virtual Audio Cableの設定となっていることの確認や、DAC Link値の調整(あまり大きくはしていない)、Minim ServerにおけるTranscode設定で一律に176.4KHz/24bitにすることなどなど。この辺りは特段難しいことはない。

さて、テスト開始。最初は接続変更の確認をするために、4wayのうち低域チャネルだけをこの8ch DACにつないでテスト開始。あれ、音が出ない??? ということでまたまたご指導を仰ぐことになってしまった。結果は当方の単なる勘違いミス。MPP,DSPの電子ボリューム位置がかなり低い位置に設定されていたためと分かった。当方の構成では8ch DAC後段のマルチチャネルマスターボリュームにて音量調節するので、MPP,DSPの出力は常にMAXにしておく必要があるのだ。(汗、汗)

やれやれ、、、ということでまずは小音量で暖気運転。MPP,DSP+Dante Audio Networkの組み合わせにおける「音のアキュレートさ」の印象は今回も変わらない。音場の曖昧さがなく、音のピントがぴしっとしているのだ。それは音の滲みの減少と透明感、S/N感の向上に確実に繋がってきている。

ランダム再生で30分ほど聴き流してから、いよいよボリュームも上げて本格的に試聴開始である。これは率直に云って「素晴らしい」の一言。大げさな表現はあまり好むところではないのであるが、我が家の環境でこれだけの音が出せる、ということに少々感激する。JPLAY Dual PC構成の恩恵もあるのか、新8ch DACによる音質向上なのか。感覚的にはやはりDACの音の質感の変化ではないかと思う。先のテストでは音質面では当方のデジチャン(DF-55、DACチップはES9008)の音に「しなやかさ」という観点で軍配を上げたのであるが、今回はアキュレートで明晰な音に、さらに自然さや音の太さ、そして当方の求めるしなやかさが加わっているのだ。

この構成では、改めて言及するまでもなくUSBインターフェース、そしてS/PDIFが全く介在しない。8ch DACでは Brooklyn II というDante ReceiverカードがLANにおけるIPレベルのインターフェースから直接I2S信号をDACチップに渡す構成なのだ。このような点も音へのインパクトがあるものと考えている。

続けて日頃試聴に使用しているような音源を選択しつつ次々と聴く。女性ボーカルを聴いた時に「ぞくぞくっと来ないような音は駄目だ」というのは当方の尊敬するオーディオマイスターの方の持論であるが、大好きな女性ボーカリストの声に身体がぞわっとする気配、肌が粟立つような感触が確実に感じられるのだ。やはりこの仕組み全体のポテンシャルは只者ではない。いろいろなジャンルの音楽を聴く。ここに音楽を聴く幸せがある、と実感する。

Danteの基本的な部分はある程度理解できていると思うので、今回はクロスオーバー周波数など微妙な調整も測定を交えて追い込んでみようと思う。合わせて、PC構成の差異による音の確認も行ってみようと思うのだが、本音はそんな余分なことをせずに「音楽を聴き続けたい」である、、、


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