オーディオ日記 第37章 夢の旅路は続く(その10)2016年3月 4日


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さて、 NASに対する実験 の後日談である。今度は間違いなくオス・メスのSATA延長ケーブルであることを作業の前に為念確認した(笑)。早速ノイズフィルターの挿入作業。音源用のHDDはNASから取り出して余っていたUSB HDDケースに入れて底面からリジットにボルト付け。NASのSATAコネクタに延長ケーブルを接続し、片側を外に引っ張り出して、このHDDに差込めば完了。何とも簡単。

下段がNAS、上段が音源用HDD:

NASの上に防振マットをはさんでこのHDDケースを置き真鍮製(銅箔巻き)の重しを載せる。NASの下はちょっと薄い大理石と防振ゴムという構えである。一応工夫はしたつもりではあるが、こんなもんで何がしかの制振効果があるのか正直ちょっと自分でも分からない。

見かけは悪いが何事も実験してみるという精神で、、、:

重しはそこそこの重量であるが、ちょっと心もとない気もするので、もう少し追加してみようかと考えている。現状にて電源を入れた状態でこのHDDケースに触れてみると、HDDが回っていることがはっきり分かる感触がある。やはり重量が不足かもしれない。まあ、重さが増えても内部のHDDへ直接重量のストレスがかかる訳ではないので追加しても問題なかろうと思う。振動をゼロにするのは現実的ではないにしても、HDDのサイズに合わせた厚い銅のブロックで挟み込むような対応を是非してみたいと考えている。

さて、ゆるゆると試聴の開始である。一聴してMozartがとてもチャーミングであることが分かる。PCへHDDを直接SATA接続(この接続には電源線ノイズフィルターは入っていない)した時の音楽の「気配」を感じさせてくれるような出音を比較検証における基準(標準原器)として考えていたのであるが、それをきちんとクリアーしている。雑味が減りより音楽として純化されたような感じで、これは率直に云って期待以上の嬉しい誤算。我が家には400枚近いMozartのCDがあるのだが、多くは中庸の録音のものでオーディオ的にはベストとは云えない音源である。これらであっても音楽に没頭できてとても楽しく聴ける気分になるのだ。いや、これは求めていた「Mozartを居眠りしながら聴く」という理想にまたちょっぴりでも近づけたのだろうか。クラシック系以外の音源でもこの傾向はほぼ変わらないが、少しおとなしくなる、静かになるという印象でもある。

制振自体はさしたるものではないのだが、その効果があるのだろうか。HDDに対するSATA電源線へのノイズフィルターの方が理屈では効果があるようにも思う。また、HDD自体をNASの筐体から出して多少でも遠ざけたことにより、NASの基板部へのHDDによる悪影響が小さくなったということであろうか。PCオーディオの音質向上策をいろいろとやってきた。デジタルの世界において、このような対策が理論的にどのように効果があるのか、あまり判ってはおらず、半信半疑のものもある。一方で、やればやるほどその成果も感じれることも事実である。

ここまでやってみて、DELAやfidataはオーディオ的な対策がきちんと考えられ、検証された上で開発されたNASであるということが良く理解できる。これらを購入すれば、ちょっといい加減な当方の対策に比してさらに効果も見込めるのではないかとも思う。しかし、我が家で何とかこれらの機器との聴き比べ(勝負!)をしたいという願望もある。いや、多分そんなに負けないんじゃ?などという儚い期待も無くはない、、、

NAS対策のまとめ:
1.AC電源フィルター(TDK Lambda RPE2006)
2.NAS基板へのDC電源ラインフィルター (ファインメットビーズ、5穴フェライト)
3.HDDへのSATA電源フィルター(ファインメットビーズ、5穴フェライト)
4.HDDの制振
5.NAS基板からHDDを離す

PCオーディオ周りあれやこれやとやってきたが、まだ終わりではない。次はUSBの信号ラインに対するアイソレータを試してみたいと考えている。信号ラインについてはフィルター類の使用は不可だと思っているのだが、信号ラインに乗っているノイズを完全に押さえ込むには「アイソレーション」が必要となる。USB信号のアイソレーションに関しては、今までも該当するチップ(およびそれを使用した基板、製品)もあるのだが、USB1.0までの対応でUSB2.0の480Mbpsの速度に対応できるものはなく、176.4KHz、192KHzのハイレゾ信号ならびにDSD信号では使えなかったのである。

ドイツの INTONA というUSBアイソレータの存在を当方のHPの掲示板への書き込みでご紹介いただいたこともあって、USBのアイソレーションについて少し調査していたのだが、検討できるような製品はまだほとんどない。INTONA USBアイソレータは元々はオーディオ用という意図で開発されたものではなく、電気的絶縁を目的とした産業用(医療用、計測機器用 )である。内部の構造はSilicon LabのSi8660がデジタルアイソレータとして使われている。USB信号は互いに向き合う二つのXilinx SPARTAN FPGAを介して再生成される形で受け渡されるので、高いレベルのノイズ耐性が保たれている。また、このSPARTAN FPGAの高速性によりUSB2.0の通信が担保されている。結果としてUSB信号上の電源系ノイズをほぼ完璧に遮断することになり、この観点からオーディオ用途の可能性として一部のマニアが注目したというもの。現状日本ではほとんど話題になっていないが、原理的にも頷けるものがある。ただ、従来は電源系ラインに限って対策を施してきているが、信号ラインには手を付けていないので、もう少し調査検討した上で試すかどうか決めたいと思う。

画期的とも思えるUSBアイソレータの内部構成:


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