オーディオ日記 第34章 ブレークスルー(その14) 2014年10月27日


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いまひとつデジタル音源の再生に納得が行かないところがあり、ここしばらくはデジタル絞りにその原因があるのではなかろうかと着眼してこれを極力排除するための試行錯誤を行ってきた。結果としてその方向性の確認はできたがまだまだ求めるベストとは云えない。並行的にPCオーディオ関連の電源の見直しを行って、これをさらに理想に近づけたいと考えてきた。

デジタル再生系の電源については以前にQA5550の試行に際してエネループその他のでのトライを行ってきたが、現行の構成であるVoyageMPD(ベースはシングルボードコンピュータであるALIX3D2)ならびにDDC(JAVS X-DDC)に対しては安直な電源を配するに留まっていた。そこで今回は、その両方に同時に良質な電源を供給しようというプランである。

電源は audiofunさん に特別に製作していただいた。「SICショットキーバリアダイオード仕様のブリッジ回路」というもので、考えられる最高の部品を使っていただいた。もちろん電源の仕様については当方はあまりよ良くは判っていないのだが。なお、ALIX3D2ならびにDDCとも9~12VのDC駆動なのだが、それぞれ個別に電源を供給する必要があることから、2系統のDC出力を用意してある。

VoyageMPDおよびX-DDC用の電源外観:


電源内部:


さて、接続ならびに各機器の立ち上がりを確認して早速試聴開始である。軽量であるVoyageMPDの良さが伝わってくる素直かつストレートな音である。特に高域のS/Nがかなり高く感じられて音楽の背景に対する見通しが抜群である。一音一音の粒立ちも明確で混濁感は全く無いので、聴いていて本当にストレスを感じない。声の質感にも納得。これは素晴らしい電源だと思う。まだ到着したばかりなのでエージング不足もあるし、充分聴き込めてはいない点もあるがどの音楽ジャンルにおいてもその良さがはっきりと伝わってくる。

電源の手当てについて、ちょっと対応が遅かったかと後悔もちらりと。しかし、今までの試行錯誤の中で3way+One方式への移行、電源線をカットした15cmのUSBケーブル、デジタル絞りの廃止やDALEの巻線抵抗への交換などいくつかの改善を経てきたことがあって相乗効果も出てきたものと思う。

VoyageMPDとBug Headとも比較してみた。(Bug Headで再生する場合はDDCにのみこの電源からの供給を行うが、Windows PC自体には通常のAC電源を使用している)Bug Headでは88.2KHz/24bitへアップサンプリングさせているが、この比較は面白い。VoyageMPDは44.1KHz/16bitらしいかっちりとした音の佇まいであり、それに比すればBug Headの音はアップサンプリングの効果もあるのかしなやかである。この辺りは微妙な好みの差が出るかもしれないと思う。こうなるとBug Head用PCの電源についても何らかの手当をしたくなってくるのは人情というものか。

エージングがある程度進んだところで、改めて同一楽曲のアナログ音源とデジタル音源の対決をさせようと思うが、これは今からとても楽しみである。

(閑話休題)VoyageMPDについて
VoyageMPDは一般的にはLinuxベースということで導入のハードルも若干はあると思うが、ハーアドウエアプラットフォーム自体も新しい世代のもの(VoyageMPD自体もSSDにインストール済みで出荷される)になったし、その他派生のハードウエア、ソフトウエアも多様化してきているのでとても楽しみが多い。忘れてはならないのは、音の良さのみならず、その使い勝手である。特に、 MPoD (iPod/iPhone用)、 MPaD (iPad用)等のクライアントソフト(リモコンソフト)の操作性には抜群のものが在る。世のネットワークオーディオ機器ではクライアントソフトに対する不満を時に耳にするが、そのようなビハインドはここには全くない。この操作性、使い方に慣れてしまうと他の方法は(横着となって)受け入れられなくなってしまう。

また環境面でも、当方はNASを音楽データベースとして使用しているが、音源はNASに置かなくても良く、USB経由のデバイスも使える。NASに関してはアクセス手段としてDLNAを用いていないことが特筆すべき点(SMBというWindows系ファイル共有の仕組み)であり、DLNAに係わる諸問題(接続、音楽ファイルの更新、レスポンス遅延など)が全く発生しないことは大きなアドバンテージだと思う。また楽曲もジャンル、アーティスト、アルバム、タイトルというタグ情報のみならず、フォルダーの階層、ファイル名からも検索できるし、そのいずれからでもプレイリストへの投入、作成ができるなどプレイリストに係わる特段の制限事項もない。アルバムカバーアートについては、楽曲ファイル毎に画像を埋め込む方式ではなく、アルバムフォルダーに画像ファイルを置くという単純な方式なので、楽曲データベースとして 後から整備する場合 のメンテナンス性は非常に良いと思う。


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