オーディオ日記 第34章 ブレークスルー(その7) 2014年6月25日


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グラフィックイコライザについては、かって いろいろな機種を試した ことがありその得失は経験的に理解しているつもりで、使わずに済むならそれにこしたことはないと考えている。しかし、現実は「全く無し」という状況には出来ずに現在はDEQ2496を 補助的に 使用している。周波数レスポンスは我が家のリスニングルームの特性から 60~80Hz辺りに落ち込み がある。JAZZやPOPS系の再生ではそれほど気にはならないことも多いのだが、クラッシック音楽、特にオーケストラにおいてはやはり低域の支えが寂しく感じることもあり、そのような場合はデジタル入力、デジタル出力という接続にてDEQ2496のお世話になっている。

このDEQ2496というデジイコは廉価なくせになかなか小癪な機能が満載で重宝することこの上ないのであるが、我が家での使用法においていくつかの課題点がある。

1.デジイコを使う時と使わない時に接続自体をその都度変更をしなければならない。

(注記)イコライザ機能をバイパスする機能はDEQ2496にもあるが、精神衛生上はデジイコを使用しない時は、接続からも全く外してしまいたいのだ。デジタル入出力なので僅かとはいえデジイコ挿入による劣化も感知可能なレベルで厳然として存在する。

2.サンプリングレートはDEQ2496という機器名称が示すとおり、24bit/96KHzまでの対応となり、192KHzあるいは176.4KHzのハイレゾ音源には対応できない。

(注記)デジイコ製品として現状存在するほとんどの機器で内部演算処理24bit/96KHzまでとなっている。Accuhpase DG-48も96KHzまでのデジタル入力しか出来なかったが、DG-58になって192KHzまでをデジタル入力として受け付けられるようになった。なお、192KHzのデジタル入力が可能であっても、サンプリングレートコンバータを経由させ内部演算処理は96KHzという機器がほとんどである。これはデジタルイコライザ製品の多くはAnalog Devices社のSharcというDSPチップを使用しているので、このDSPに依存する制約がその理由だと推測している。

より高いレートのハイレゾ音源への流れもある中でこのような状況は何とももどかしいので、何とかこの課題をクリアーできないか考えてみた。ひとつの解決策は前述のDG-58を導入することであろうが、オートイコライジング機能やアナログ入出力など自分では使わない機能が多くその分価格もかなり高い。代替策として考えられるのはPCオーディオである。音楽再生ソフトでデジイコ機能が利用できるものは結構あるのだが、ほとんどがバンド数が少ない。やはり最低でも31バンドのイコライザ機能が欲しいといろいろとインターネット上を漁ってみた。(ただし、再生専用という観点から所謂DAWは選択肢から除いている)

あるところにはやはりあるもんだ。foobar2000は多彩なDSPオプション機能が揃っていることで有名だが、これに別途インスールして使える31バンドのイコライザがあった(デフォルトで入っているイコライザはやはりバンド数が少ない)。現在メインの音楽再生ソフトとしてBug Head Emperorを愛用しており、そのアップサンプリング機能は大いに評価しているのだが、イコライザ機能ははないので少し浮気をしてみた訳だ。なお、foobarにおけるこの31バンドデジイコDSPの機能であるが、その特徴として

1.サンプルレートコンバータDSPとの同時使用ならびにデジイコDSPだけの単独使用が可能。

(注記)44.1KHz音源はアップサンプリングした後でイコライザ処理させることが可能。また、88.2KHz~192KHzの音源はサンプルレートコンバータを通さずイコライジングするということもできる。なお、当方はデジイコ機能を使用するに際して、音質上の観点から44.1KHzの音源は最低88.2KHzへとアップサンプリングしてからイコライザの演算処理をさせるようにしている。

2.イコライザ機能を稼動/非稼動の選択が出来る。(イコライザのDSP処理を全く外してしまうことができる)

3.176.4~192KHzのサンプリングレートのハイレゾ音源もイコライザ処理できる。(参考情報1)

というPCオーディオならではの大変優れものの設定が可能である。これによって、foobar2000上の設定ひとつで課題点として最初にあげた2点の要件を満足できてしまうのだ。

(注記)異なるサンプリングレートの音源を取り混ぜたプレイリスを作成、再生する場合は44.1KHzの音源だけをアップサンプリングすることはできない。一律で指定したサンプルレートとなってしまう。したがって、このような場合はオリジナルのサンプリングレートに対してイコライザ処理を行うことになる。オリジナルレートに基づく条件設定でアップサンプリングができるようになると完璧なのだが。

さて、実際の音質を始めとする再生パフォーマンスはどうであろうか。foobar2000はBug Head Emperorに比すれば少しぱりっとするような音の傾向にあるとも感じたが大きな遜色はない。肝心のデジイコの部分であるが、Omni Micで測定をしつつイコライジング状態を確認したが、効きが良く音質劣化も一聴して判然するレベルでは感じられない。

31 Band Graphic Equalizerの設定画面をひらいたところ:


今までfoobar2000を使ってこなかった理由は音質云々というよりもあまりにも多彩な機能とオプションがあり、相当真剣に取り組まないとうまく自分流にカスタマイズできないという点であった。今回も多少四苦八苦しながらインターネット上の情報を頼りにやってみたが、まだ完璧とは云えないので、もう少し使いこなしてみようかと考えている。最終的にはこのデジイコDSPを通した場合の音楽が納得できるかどうかなのだが、現時点では及第点に達していると思う。なお、このような大変ありがたい機能を手軽に入手して試せるというこは(それも無料で)やはり時代の恩恵であろうか。

(参考情報1)
サンプルレート変換のDSPはデフォルトでfoobar2000に入っているものは96KHzまでの対応である。176.4~192KHzのアップサンプリング、リサンプリングの機能が欲しい場合は追加でモジュールをインストールする。

(参考情報2)
USB DDCとして当方はXMOSベースのJavs X-DDCを使用しているが、このデバイスのパフォーマンスを発揮させるにはASIOで駆動することが望ましい。このため、foobar上の設定でASIOを使用可能にする必要があるので、foobar2000にASIO用のモジュールを追加インストールする。

(参考情報3)
音質面からはアップサンプラー、イコライザ以外のその他のDSP処理はすべて使用しないことがベター。また、曲間のゲイン自動調整はデフォルトで行われるようになっているようなので、これも停止した方が良い。なお、演算処理の順序はアップサンプリングDSP、次にイコライザDSPという構成が良いと思う。

(参考情報4)
foorbarのプレイリストのファイル形式はm3uをオプションで使用することが可能であるが、その内容は実はBug Head Emperorのプレイリストと全く同じである。ただし、Bug Head Emperorではtxtの拡張子を使っているのだが。このため、Bug Head Emperorのプレイリストのファイル名であるBH1.txtを任意の名前.m3uにリネームするだけでfoobar2000でも使うことが出来る。したがって、それぞれの再生アプリで独自のプレイリストを作成する必要がなく、共有可能な点は使い勝手の面から大いに助かっている次第。


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