オーディオ日記 第33章 原点への回帰(その10) 2013年8月18日


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4Wayマルチへの幻想が続いている。

暫定構成による4Wayのテストを更に進めてみた。今回のポイントはミッドバス領域を担当するELAC BS403の設置位置の調整である。先にはニアーフィールドリスニング用のポジションから前後位置の差を小さくするように移動したが、それでも45cmの前後位置のズレが出来ていた。今回はバッフル面が同一線上となるところまでさらに後退させ、メインスピーカーの真横の位置まで持ってきた。

この位置ではメインシステムのエンクロージャが真横に壁があるのと同様な状態になるので、最早単体でBS403を聴くことは放棄せざるを得ないような位置である。少なくともボトムエミッションの仕組みによる低域の拡散はあり得ないので、考えようによっては大きなデメリットをも発生させ得るポジションと云える。それでも前後位置のズレを最小とし、他のユニットと近づける効果が得られるかどうか。やはり試してみねばなるまい。

BS403を外側位置に持ってきたケース:


ミッドバスの受持ち周波数帯域はまだ模索中で確定していないが、現在の設定は250~900Hz。ミッドバスユニット単体で音出ししてみて特段の不都合と思われるような感じはないので、一安心。さて、他のユニットも鳴らして音を合わせてみる。なかなか良い。従来の前後位置の離れた状態では、デジタルディレイによるタイムアライメントの操作はしていても、物理的に音源位置が離れていることを感じさせてしまう再生であったことが良く判る。当然ながら、なるべく近い位置にユニットを配置し、前後位置も「デジタル加工」による調整になるべく頼らない方がベターと当然ながら感じられる。こちらの方が音のフォーカスがちゃんと合ってくるのか、音楽の芯がしっかりとする。

BS403を内側位置に持ってきたケース:


ユニットの位置であるが、これは外側よりも内側に置いた方が若干ながら音の密度感が良いように感じた。感覚的には外側の方が音の広がり等があって、良いのではと思っていたが、却って拡散しすぎてしまうのかもしれない。ただ、曲によって印象は変わる。リバーブ成分の多い録音の場合は外側の方がベターのようだ。

さて、ここまでやってこの暫定4wayとメインの3wayは相互にどのような関係となるであろうか。傾向を整理してみると

1.音楽全体、帯域のまとまりは4Wayに軍配。とてもバランスが良く感じる。クラッシック系の音楽とは全般的に相性が良いと思う。(200~250Hz以下の帯域のみレベル設定できることによるメリット)
2.密度感、音色の一致感は3Wayに軍配。質感もやはり3Way構成の方。ボーカルやJAZZにはこちらが向いていると思う。
3.4Way構成でボーカルを厳密に聴き込むと、声の音色、質感の部分に気になる点を感じる。

上記は、永らく聴いてきた3Wayの方が身体に馴染んでいる、ということかもしれないが、やはり声に微妙な違い(ミッドバス帯域はボーカル領域にほぼ重なる)を感じてしまうことは、常用に向けては心理的には少し大きなインパクトとなる。この微妙な「差」が、ELACのAS-XRウーファーユニットのキャラクター(アルミとセルロースパルプのハイブリッドコーンである)、あるいはクオリティに依存する点かなのどうか、もっとボーカル中心に聴き込んでの最終の判断が必要と思う。(この暫定4Wayテストのミッドバスユニットには内臓のディバイディングネットワークが介在していることもこの点に多少関係があるかもしれない)

やはり当初BS403の 単体との比較 で感じた「永田萌」とメインシステムの「岩崎ちひろ」という微妙な差異がこの暫定4Way構成でも感じられてしまうのだ。もちろんミッドバスユニットが主として声に係わる周波数帯域を受け持っている訳なので、これは当然のことなのかもしれないのだが。

ミッドバスユニットの選定においては、クオリティの観点から、第一級のユニットを使用するべきであることは論を待たないが、音色の問題となるとこれは実は思ったより難しいかもしれない。そもそもSONYのユニットに音色が見合うミッドバスユニットが存在するだろうか? ミッドバスユニットの選定に関しては、 Accuton をそのユニットの低歪性能から第一候補として考えてきたが、あまりに異質であるセラミックドームと「音色の相性」の問題が起こるかも知れない。もしかすると Scanspeak のようなペーパーコーン製のユニット方が、「音色の繋がり」という観点からは好ましいのかも、などと考えてみる。もちろん、これは「聴き慣れ」という問題もあるかもしれないので、結論を急いではならないと思う。

しかし、ここまでやってみて、この微妙な差は初めて判ってきた点でもある。スピーカーユニット選びはなかなか単体でそのキャラクターを把握することは難しいので、勘を頼りに、えいやっと判断するしかない。おそらく一筋縄では行かないだろうと思う。けれどこの迷いはこれはこれで楽しい。


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